学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第十話 ~狂乱の体育祭~ ⑨

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 第十話 ⑨



 蒼井視点



 昼休み。僕は怜音と琴音と三人でご飯を食べていた。
 目下のところ。話題の人はやはり『彼』だったね。

「はぁ……空。やっぱり悠斗くんのことは諦めないのかよ?」
「……ん?怜音。なにか諦める要素でもあったかな?」

 グラウンドの中央で行われた悠斗くんと二人の女性のキスシーン。あんなものを見せつけられたものの、休憩時間に入り、生徒たちはある程度の落ち着きは見せていた。

 羨ましい。僕もあそこに混ざりたかったよ。

 なんて思っていると、怜音が

「いや。あれに割り込むのは流石に難しいと思うけど。それに、彼があそこまでの『覚悟』を見せてるとは思わなかった」
「あはは。怜音。そんなのはわかってる事だよ。でもね、僕はそれでも、桐崎悠斗が欲しい」

 僕がそう言うと、琴音が不思議そうに聞いてきた。

「この際、あのハーレム王のキスシーンに関しては何も言わないでおくよ。でもさ、なんで空は彼にそこまでご執心なのかわからない」
「あはは。そうか、二人には話してなかったね。僕が彼をどうしてそこまで欲しいと思っているか」

 僕はそう言うと、二人に話をする。

「簡単な話だよ。僕は自分を優秀な人間だ、恵まれた人間だ、そう理解している。簡単に言えば『他人を使う立場』の人間だよ。そして今までもそうやって生きてきた。『蒼井空は優秀だけど少し抜けてるところがある』そんな印象を利用してね」

「だけど、悠斗くんはこんな僕を『利用した』んだよね。あはは!!やってくれたよね。それほど悔しいと思ったことは無い。だけど同時に僕は嬉しかったんだ。こんな僕の『上』に居る男が現れてくれた」

「僕だって女の子だ。背伸びをしてキスをしたい。僕より下の男しか居なかったけど、ようやく背伸びが出来る男が現れた。本気を出せる男が現れた」

「藤崎朱里も黒瀬詩織も彼の魅力を上げる要素にしかならない。あのキスシーンだって流石は悠斗くんだな。と思っただけだよね」

 僕がそう話をすると、怜音は少しだけため息をついた。

「親友が大変な恋をしてるから、本当に心配になる。でも本気なんだな」
「うん。まぁとりあえずは彼の『時間』は手に入れてある。まったく勝負にならないわけじゃないよ」

 カードとしては最弱だろう。だけど、無いと有るでは全く違う。このカードを使って次のカード『身体』を取りに行く。

「体育祭が終わったら話をしようか。空が本気なんだったら、私も手を貸すよ」
「あはは。ありがとう、怜音。君が味方なら百人力だよ」

 正直な話。彼女が敵に回ることも考えていた。
 そのくらい。彼女は彼に好意を持ってると思ってたからだ。

「悠斗くんとはギブアンドテイクの関係に終始した方が良いってわかったよ。私にはあの恋愛関係の渦中にはやはり入れないな。あの光景を外から見てるだけで十分だよ」
「僕は怜音が的に回らなくてほんとに良かったと思ってる」

 僕と怜音がそんな話をしていると、琴音が

「はぁ……正直な話。私は普通の男の子が良いな。そんなかっこよくなくて良い。だけど一途で誠実な人が良いな」

 なんて言ってたので、

「放送部の彼はどうかな?」

 なんて聞いてみると

「……え?誰かな、放送部の彼って??」

 なんて言葉が返ってきた……

「あはは……何でもないよ」

 彼の恋路は難しそうだな……


 僕より困難な道のりの人を見つけて、僕は少しだけ勇気を貰ったのだった。
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