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第2章
番外編 ⑯ ~星くんの恋愛相談~
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番外編 ⑯
早朝。俺が教室で詩織さんと一緒にライトノベルを読んでいると、ガラリと教室の扉が開いた。
こんな時間に珍しい。一体誰が来たんだろうか?
俺がそう思いながら扉の方を振り向くと、
「やぁ、悠斗くん。おはよう。黒瀬さんとの蜜月の時間を邪魔して悪かったね」
「どうしたんですか、怜音先輩。こんな時間に教室に来るなんて珍しいどころか、初めてでは?」
俺がそう聞くと、先輩は笑いながら答える。
「昨日の夜に君からラブメッセージを貰っただろ?その返事をしようと思って来たんだよ。恋する乙女は行動力が高いからね」
「……悠斗くん?ラブメッセージとは、一体なんですか?」
ジトリとした視線の詩織さん。
俺は少しだけため息混じりで怜音先輩に言う。
「そうですね。蓮堂伊月のプレイ動画が欲しい。対価として怜音先輩の『おねがい』をひとつ叶えますよ?という内容でメッセージをしましたね」
俺のその言葉に、怜音先輩はニヤリと笑う。
「悠斗くんへの『おねがい』はもう少し考えて使わせてもらうからね。さて、君のために蓮堂伊月のプレイ動画を持ってきたんだよね」
昨日の夜に頼んで、今日の朝に持ってこれるのか!?
さ、流石だな……この人は……
怜音先輩はそう言うと、USBをひとつ渡してきた。
「この中に動画が入ってる。まぁ軽く見たけど、サッカープレイヤーとしての技術は低い。ただ、ラフプレーに関して言えば超一流だね」
「なるほど。聞いた話の通りですね」
「で?私をここに呼び付けたんだ。もうひとつくらい要件があるんだろ?」
「はい。実は蓮堂伊月のラフプレー対策のひとつとして、あとは彼に約束を守らせる強制力として、新聞部に星くんと彼のサッカーバトルを動画として配信してもらいたいんです」
俺がそう言うと、怜音先輩は少しだけ思案する。
「まぁ、それは構わないよ。こちらとしても美味しい映像が撮れると思ってるからね。ただ、良いのかな?万が一星くんが負けた場合……」
「いえ、俺は負けませんよ」
「星くん……」
怜音先輩の言葉を遮るように、教室の扉の前に立つ、星くんの声が教室に響いた。
「蓮堂くんとは昨日話しをつけてきました。そして、ここには桐崎くんに話を聞きに来た次第ですよ」
「そうか。ちなみに蓮堂伊月の動画は彼に渡してる。私としては面白い映像が撮れるなら勝敗は問わない」
怜音先輩はそう言うと、星くんの方へ歩いていく。
「学園の王子様の敗北。も映像としては面白そうだが、やはり私はハッピーエンドが好きだからね。負けないでくれよ、王子様」
そう言い残して怜音先輩は教室を去っていった。
「おはよう、星くん。君がここに来た理由はさっき言っていたね」
「おはよう、桐崎くん。そうだね。蓮堂くんとは一週間後にこのグラウンドで勝負をすることになった」
「そうか。場所をここにしたってことは、ルールは向こうが決めた形かな?」
「ご名答。一体一で三点先取。そして、多少の身体的接触はありになった」
星くんのその言葉に俺はため息をついた。
「はぁ……多少の身体的接触はあり……ね。ラフプレーし放題だな」
「あはは。それは覚悟してるよ」
俺は怜音先輩から貰ったUSBを星くんに渡す。
「これは君にあげるよ。怜音先輩から貰った蓮堂伊月のプレイ動画だ」
「……良いのか?」
その問いに俺は首を縦に振る。
「もちろん。俺が見たってそこまではわからない。だが、君が見れば彼のプレイの癖がわかるだろ?」
「あはは。そうだね。穴が空くほど見ることにするよ」
星くんはそう言うと、USBを握りしめる。
「ありがとう、桐崎くん」
「お礼は勝ってからにしろよ、王子様?」
俺がからかいながらそう言うと、星くんはニヤリと笑って言い返した。
「そうだね、俺はここを去ることにするよ。じゃないと学園の聖女様とハーレム王の逢瀬を邪魔しちゃうからな」
「ふふふ。そうですね。王子様が教室から居なくなったら悠斗くんとキスでもしようかと思います」
「あはは。じゃあ邪魔者は消えるとするよ」
星くんはそう言うと教室を後にした。
「仲間はずれみたいにしてごめんね」
俺は詩織さんにそう言って謝った。
「ふふふ。良いですよ?待つのは嫌いではありませんから」
詩織さんはそう言うと俺の身体に抱きついてくる。
「誰も居ませんよ?」
「そうだね。じゃあ……少しだけ……」
誰もいない早朝の教室。
いつものやり取りが始まった。
そして、一週間が過ぎ、約束の戦いの日がやってきた。
早朝。俺が教室で詩織さんと一緒にライトノベルを読んでいると、ガラリと教室の扉が開いた。
こんな時間に珍しい。一体誰が来たんだろうか?
俺がそう思いながら扉の方を振り向くと、
「やぁ、悠斗くん。おはよう。黒瀬さんとの蜜月の時間を邪魔して悪かったね」
「どうしたんですか、怜音先輩。こんな時間に教室に来るなんて珍しいどころか、初めてでは?」
俺がそう聞くと、先輩は笑いながら答える。
「昨日の夜に君からラブメッセージを貰っただろ?その返事をしようと思って来たんだよ。恋する乙女は行動力が高いからね」
「……悠斗くん?ラブメッセージとは、一体なんですか?」
ジトリとした視線の詩織さん。
俺は少しだけため息混じりで怜音先輩に言う。
「そうですね。蓮堂伊月のプレイ動画が欲しい。対価として怜音先輩の『おねがい』をひとつ叶えますよ?という内容でメッセージをしましたね」
俺のその言葉に、怜音先輩はニヤリと笑う。
「悠斗くんへの『おねがい』はもう少し考えて使わせてもらうからね。さて、君のために蓮堂伊月のプレイ動画を持ってきたんだよね」
昨日の夜に頼んで、今日の朝に持ってこれるのか!?
さ、流石だな……この人は……
怜音先輩はそう言うと、USBをひとつ渡してきた。
「この中に動画が入ってる。まぁ軽く見たけど、サッカープレイヤーとしての技術は低い。ただ、ラフプレーに関して言えば超一流だね」
「なるほど。聞いた話の通りですね」
「で?私をここに呼び付けたんだ。もうひとつくらい要件があるんだろ?」
「はい。実は蓮堂伊月のラフプレー対策のひとつとして、あとは彼に約束を守らせる強制力として、新聞部に星くんと彼のサッカーバトルを動画として配信してもらいたいんです」
俺がそう言うと、怜音先輩は少しだけ思案する。
「まぁ、それは構わないよ。こちらとしても美味しい映像が撮れると思ってるからね。ただ、良いのかな?万が一星くんが負けた場合……」
「いえ、俺は負けませんよ」
「星くん……」
怜音先輩の言葉を遮るように、教室の扉の前に立つ、星くんの声が教室に響いた。
「蓮堂くんとは昨日話しをつけてきました。そして、ここには桐崎くんに話を聞きに来た次第ですよ」
「そうか。ちなみに蓮堂伊月の動画は彼に渡してる。私としては面白い映像が撮れるなら勝敗は問わない」
怜音先輩はそう言うと、星くんの方へ歩いていく。
「学園の王子様の敗北。も映像としては面白そうだが、やはり私はハッピーエンドが好きだからね。負けないでくれよ、王子様」
そう言い残して怜音先輩は教室を去っていった。
「おはよう、星くん。君がここに来た理由はさっき言っていたね」
「おはよう、桐崎くん。そうだね。蓮堂くんとは一週間後にこのグラウンドで勝負をすることになった」
「そうか。場所をここにしたってことは、ルールは向こうが決めた形かな?」
「ご名答。一体一で三点先取。そして、多少の身体的接触はありになった」
星くんのその言葉に俺はため息をついた。
「はぁ……多少の身体的接触はあり……ね。ラフプレーし放題だな」
「あはは。それは覚悟してるよ」
俺は怜音先輩から貰ったUSBを星くんに渡す。
「これは君にあげるよ。怜音先輩から貰った蓮堂伊月のプレイ動画だ」
「……良いのか?」
その問いに俺は首を縦に振る。
「もちろん。俺が見たってそこまではわからない。だが、君が見れば彼のプレイの癖がわかるだろ?」
「あはは。そうだね。穴が空くほど見ることにするよ」
星くんはそう言うと、USBを握りしめる。
「ありがとう、桐崎くん」
「お礼は勝ってからにしろよ、王子様?」
俺がからかいながらそう言うと、星くんはニヤリと笑って言い返した。
「そうだね、俺はここを去ることにするよ。じゃないと学園の聖女様とハーレム王の逢瀬を邪魔しちゃうからな」
「ふふふ。そうですね。王子様が教室から居なくなったら悠斗くんとキスでもしようかと思います」
「あはは。じゃあ邪魔者は消えるとするよ」
星くんはそう言うと教室を後にした。
「仲間はずれみたいにしてごめんね」
俺は詩織さんにそう言って謝った。
「ふふふ。良いですよ?待つのは嫌いではありませんから」
詩織さんはそう言うと俺の身体に抱きついてくる。
「誰も居ませんよ?」
「そうだね。じゃあ……少しだけ……」
誰もいない早朝の教室。
いつものやり取りが始まった。
そして、一週間が過ぎ、約束の戦いの日がやってきた。
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