最強勇者無双 ~異世界召喚された俺が勇者だ~

くろげブタ

文字の大きさ
4 / 96

4.森での急襲

しおりを挟む
 前回の探索で小屋の北をある程度調べることができた。
 今回は反対方向。南を探索するとしよう。

 ザクザク、カタカタと二人縦列で行進する。


 樹々の広がる森林。

 最初の探索では景色を眺める余裕はなかったが、あらためて見渡すと果物やキノコ、野菜といった食べられそうな物がチラホラ見えている。

 だが、食べて大丈夫かどうかは別の話だ。
 俺に植物などの知識はない。

 そういえばイノシシ獣も何か地面の果物を食べていたな。
 あの果物を調べておけば良かった。
 獣が食べても大丈夫なんだし、俺が食べても大丈夫だろう。

 そうか……毒見か。

 ちょうど右手にある樹に赤い色合いの果物がなっていた。
 リンゴのようにも見えるが、赤は赤でも少々毒々しい色合いをしている。

 俺は手を伸ばしてリンゴ風果物を一つ手に取った。

「サマヨちゃん。疲れただろう? このリンゴ食べる?」

 本来なら俺が食べたいところだが、まずはレディファースト。
 勇者は仲間に優しい紳士だからだ。

 もっともスケルトンは空腹無効で食事の必要はない。

 だが、歯はあるんだし噛めるはずだ。
 それなら噛んだ時点で何らかの反応があるんじゃないか?

 俺の手渡すリンゴを手にとったサマヨちゃんがリンゴに噛り付く。

 シャクシャク……ボタボタ

 口を通って肋骨を通り抜け、噛み砕かれたリンゴが地面に落ちていく。

「味はどう? おいしい?」

 カタカタカタ

 サマヨちゃんが首を横に振る。
 どうやら駄目なようだ。残念。

 おいしそうな果物を見つけたからプレゼントしたのだが、まさか食べられない物だったとは。

 仕方なく毒リンゴを諦めて進む俺の後ろで、サマヨちゃんがゴソゴソ何かをやっていた。

 なんだろうと振り向く俺の前で、サマヨちゃんがキノコを噛っていた。

 これまた毒々しい紫色のキノコ……
 まさか、サマヨちゃん先ほどの毒リンゴでおかしくなったのでは……

 ひとしきりキノコを噛ったサマヨちゃんが、俺にキノコを差し出していた。

「あ、ああ。ありがとう。サマヨちゃん」

 うむ……これを食べろということか。
 まさか毒リンゴの件で怒っているんじゃ……

 いや、勇者は美少女を疑わない。

「いただきます」

 パクリ……おいしくない。
 だが、毒でもない。
 うん。食物繊維が豊富で身体に良いんじゃないか? これ。

 まさか本当に毒見をやってくれているのか?

「おいしくないけど……でも、おいしいよ! ありがとう。サマヨちゃん」

 感謝の気持ちをこめてサマヨちゃんの頭蓋骨を撫でてみる。
 ツルツルして触り心地が良い。
 心なしかサマヨちゃんも嬉しそうだ。

「よし。元気でてきた。行くぞー」

 その後もサマヨちゃんは色々な果物、植物に噛り付いては捨て、噛り付いては俺のところまで持ってきてくれる。

 そのたびに頭蓋骨を撫でてやるのだが、なんだか少し申し訳なくなってきた。
 サマヨちゃんの働きにたいして、俺は撫でることしかできていない。

 だが、今は撫でるしかできなくても、いずれきっとこの恩を返してみせる。

 ザクザクザク
 カタカタカタ

 サマヨちゃんから渡された干物のような物体を噛りながら探索を続ける。

 ドンッ

 突如、俺の胸に何かが直撃する。
 たまらず俺はその場に倒れ込んでしまっていた。

 痛ってー! いったい何が?!

 俺の身体に当たった物体は、ヤシの実にも似た大きな木の実だった。

 誰かが俺に投げつけたのか?
 頭に当たらなくて良かったが、ゴホッ……息がつまる。
 勇者じゃなければ死んでもおかしくない衝撃だぞ。

「ゴホッゴホッ……サマヨちゃん。警戒してくれ……何か居るぞ」

 森の中の見通しは悪いが、見渡す限りには樹々が広がるのみでモンスターの影は見当たらない。

 胸の痛みが残っているため、うずくまったまま盾を構えて警戒する。
 そんな俺の元まで棍棒片手に歩み寄ろうとするサマヨちゃんだったが

 ガシャーン

 俺の目の前でサマヨちゃんの頭部が吹き飛んでいた。

「サマヨちゃんっ!」

 どこからか飛んできた木の実がサマヨちゃんの頭部を直撃。
 その衝撃でサマヨちゃんの頭蓋骨は身体を離れ、転がっていく。

 だが今の攻撃で敵の位置は分かった。

「樹の上だ! サマヨちゃん。樹の上からの攻撃に気をつけてくれ」

 俺の隣で立ち止ったままのサマヨちゃんに警告する。
 もっとも頭のない、身体だけのサマヨちゃんには聞こえていないだろうけど。

 再び飛来する木の実を盾の影に隠れてやり過ごす。
 小さくうずくまり盾を構えて守りに徹した俺には、半端な飛び道具は当たらない。

 俺への攻撃を諦めたのか、棒立ちのまま立ち尽くすサマヨちゃんに木の実が集中する。

 ガシャーン、ガシャーン

 サマヨちゃん。俺のために囮になってくれているのか。

 木の実が当たるたびに腕が折れ、肋骨が吹き飛ぶサマヨちゃん。
 遂には足を砕かれたサマヨちゃんは、俺の上に折り重なるように崩れ落ちていった。

 くそっ! だが、サマヨちゃんの犠牲を無駄にはしない。

 これまでサマヨちゃんの影から敵の攻撃を観察していた俺は、すでに敵の正体を看破していた。

 樹の上を走り回り木の実を投げつける獣。

 その姿はサルに似ていた。

 安全な樹の上から一方的に攻撃をしかけるとは、卑怯なモンスターめ。

 サル獣の攻撃によってバラバラの骨の山と化したサマヨちゃん。
 そして、その骨の山に埋もれたまま身動きしない俺。

 その姿に勝利を確信したのか、サル獣じゅうは地上に降り立つと、俺に止めをさすべく近づいてきた。

 ……バカめ。俺の死んだふり作戦に引っかかったな。

 俺はサル獣が間近に迫ったところで骨を跳ね除け勢いよく起ち上がる。

「ウキャッ!?」

 サルが勇者の知能に勝てると思うなよ。

「おらー勇者パンチ!」

 驚愕を浮かべたサル獣の顔面に渾身の右ストレートを叩きこむ。

「ウギャギャーッッ!?」

 効果ありだ。

 だが、サルに似ていても相手はモンスター。
 ボクサーでもない俺のパンチで倒せるのか?

 何か武器があれば……あるじゃないか!

 俺はサル獣の攻撃でバラバラになったサマヨちゃんの右足を手に取ると

「おらー! サマヨキック!」

 そのままサル獣へと叩きつける。

「ギャヒーンッッ」

 これまた効果ありだ。

 衝撃でサマヨちゃんの足はバラバラに砕けたが、腕も肋骨も武器はまだまだある。

「おらー! サマヨチョップ! サマヨエルボー! サマヨアバラアタック!」

「ウギャッ! ウギャギャッ! ウギャギャッッー!」

 息をもつかせぬ俺とサマヨちゃんの連携攻撃。
 倒れ伏したサル獣は、青息吐息の様子で両手を上げ、お腹を見せていた。

 なんだ? 降参とでもいいたいのか?

「ウキッ! ウキッ!」

 だが、勇者は卑怯な奴は許さない。
 そして、何より──

 最後にサマヨちゃんの右手を脳天に思い切り叩きつける。

「ウギィィィィィヤァャャーーー!」

 貴様は俺のサマヨちゃんをバラバラにした。
 許そうはずがない。

<<サマヨちゃんがラストアタックボーナスをGET!>>

 これで少しはサマヨちゃんに恩を返せただろう。
しおりを挟む
感想 50

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

処理中です...