最強勇者無双 ~異世界召喚された俺が勇者だ~

くろげブタ

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7.一日の終わり

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 サマヨちゃんの頭蓋骨を抱えて夕闇を駆け抜ける。

 樹々の生み出す影が地面を暗闇に染め上げ視界の悪い森でも、俺にはスマホのオートマップがある。

 はあっはあっ……さすがは勇者だ……はあっ……ここまで休憩なしで……はあっ……走ってこれるとはな……はあっ……

 全く息が切れないというわけにはいかないが、異世界に来るまえに比べれば明らかに体力は上がっている。

 迷うことなく休むことなく走り続けたことで、モンスターに遭遇することなく無事に小屋まで戻ることができた。

 ふうー疲れた。

 サマヨちゃんをテーブルに置き椅子に腰かける。
 落ち着いたところでスマホのメニューを開く。

 【所持金】一万ゴールド

 サル獣の死体はオオカミ獣に食べられた。
 だが、戻る前に食べ残しがないか調べたところ魔石を見つけた結果がこれだ。

 オオカミ獣に比べると安いが、これは戦闘力の差だろう。
 強いモンスターほど高価な魔石を落とすというわけだ。
 分かりやすくて良い。

 それじゃ【ショップ】から買い物をしていこう。

 魔法のランタン……8000ゴールド
 魔法のライター……1000ゴールド
 安物ナイフ……1000ゴールド

 しめて一万ゴールド。
 テーブルの上にランタンを設置、ライターで火を点ける。

 やっぱり明かりがあると落ち着く。

 明かりを確保したところでイノシシ獣の解体にとりかかる。
 もちろん初めてのため方法など分からない。

 だが、別に売るわけじゃないから綺麗にバラす必要もない。
 俺の目的は肉と魔石だけだ。

 とにかくバラバラにすれば良い。
 適当にお腹にナイフを突き刺してみるが……毛皮が固いな。

 悪戦苦闘のすえ、ようやくお腹を切り裂く。

 血と内臓があふれ出すが、魔石はどこにあるんだ?
 お腹の中といってもな……

 そうだ!

「サマヨちゃん。魔石の場所って分かる?」

 カタカタ

「よし。それじゃちょっとお願いするよ」

 俺はサマヨちゃんの頭蓋骨を掴むと、イノシシ獣のお腹に突っ込んだ。

 お腹の中でサマヨちゃんが何やらガタガタうごめいている。
 冷静に考えれば気持ち悪いな。

 カタカタカタカタ

 サマヨちゃんの揺れが激しくなる。これはOKってことかな。
 引きずりだしたサマヨちゃんの口には魔石がくわえられていた。

「やった。さすがサマヨちゃんだ。凄いぞ」

 そうして換金したイノシシ獣の魔石は一万ゴールド。

 サル獣よりイノシシ獣の方が強いと思うんだが金額は同じ。
 サル獣はすばしっこい上に卑怯な奴で戦いづらいからか。

 とにかく追加資金ができた。

 再び【ショップ】メニューを開きアイテムを購入する。

 タオル……1000ゴールド

 今日の戦闘とお腹の中での魔石探しでサマヨちゃんは血と油でベトベトに汚れている。
 頑張ってくれたご褒美に綺麗に磨いてあげよう。

「サマヨちゃん綺麗にしてあげるよ。ちょっと我慢してね」

 まずは机の上のサマヨちゃんに壺の水を振りかける。

 ジャバジャバ

 サマヨちゃんは何も反応しない。やはり水に毒は入っていないか。

 これで安心して水が使える。

 購入したタオルでサマヨちゃんの頭をゴシゴシ磨きあげる。

「サマヨちゃんの頭はツルツルで気持ち良いねーもっとピカピカになろうねー」

 そうだ。もっとお金を稼いでお風呂を買おう。
 そして、ガイコツだけどロシア系美少女のサマヨちゃんと混浴だ。
 女の子なんだから全身すみずみまで綺麗にしてあげないとね。

 ムクムク

 これは……サマヨちゃんを洗うのを想像したせいか?
 だが無理もない。なんといっても俺は23歳の学生。

 元の世界では一日一回の日課を欠かしたことはなかった。
 なら、環境が変わった今も同じだ。

 継続は力なり。

 異世界であっても勇者は毎日の訓練を欠かさない。

 こういう時、召喚モンスターがガイコツというのはありがたい。
 自我がないということはただの人形。無機物みたいなものだ。

「どうだい? サマヨちゃん。俺の物は」

 俺は訓練の様子をサマヨちゃんに見せつける。
 知能のあるモンスター相手にこんな恥ずかしいことはできないからな。
 気兼ねなくやれる。

「見るのは初めてかい? さわっても良いんだよ」

 指を縦横無尽に動かし刺激する。
 今日は我慢するしかないが、明日からはサマヨちゃんの指を拝借しよう。

「うう……サマヨちゃん……なんて指捌きだ……ああっ」

 ふう……美少女に見られながらというのも良いものだ。
 サマヨちゃんの虚ろな眼窩には何も見えていないだろうけど。

 日課を終えたことだし、これでやり残したことはない。

「サマヨちゃん。疲れただろう? 一緒に寝ようか」

 サマヨちゃんを手に取りランタンを消してベッドに移動する。


 100/7/2(土)7:30
 【所持金】9000ゴールド

 【お知らせ】NEW!

 セーフハウスについて

 君たちが最初に目覚めた場所はセーフハウス
 モンスター避けの結界と水を用意してある
 有効に活用することだ

 すでにセーフハウスを離れた者は
 モンスターに襲われないよう検討を祈る

 なお、セーフハウスの利用期限は一週間
 期限切れと同時に機能は停止するのでそのつもりで


 【最近の出来事】20人のプレイヤーが死亡


 どうせなら最初にセーフハウスだと教えて欲しかったところだ。

 そして初日で20人のプレイヤーが死んだのか。
 死にすぎだろう……ゲームとかやらないのだろうか?

 とはいえ、これは良いニュースである。
 【ランキング】という項目があることから、俺たちプレイヤーを競わせようとしているのは明白。
 ライバルが減ったというわけだ。

 それより、問題はセーフハウスの利用期限。
 一週間。いや、あと六日か。
 それまでにセーフハウスなしで生活できる基盤を作らなければ。

 もっとも賢明な勇者は焦らない。
 勇者の道もスライムから。

 有効期限いっぱいまでセーフハウスを拠点に地道に探索していくとしよう。

「おはよう。サマヨちゃん。よく眠れた?」

 ガイコツだし眠らないだろうけど挨拶は基本である。

 俺は【ショップ】から冒険者の服一式を8000ゴールドで購入する。
 素材は麻だろうか。
 肌触りはよくないが長袖長ズボンで安全性が大きく向上した。

 ナイフを腰に、木の盾とサマヨちゃんの頭蓋骨を手に取り小屋を出る。

 結局サマヨちゃんの骨は一片も小屋に戻ってこなかった。

 俺の骨レーダーによると、サマヨちゃんの骨はオオカミ獣と戦った場所からバラバラの場所に移動している。
 ある程度近くまで戻っている骨もあれば、何故か遠くに移動している骨もある。

 どういうことだ? 誰かが骨を持っていったのか?

 とにかくサマヨちゃんのためにも一本一本骨を回収していこう。
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