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第2章 冒険者編
141話 悲痛の叫び
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大河は予想外の事実発覚により今世紀最大レベルの難問に頭を悩ませていた。
お、落ち着け俺。冷静にもう一度パーティーの戦力を分析してみよう。まずはあの王女姉妹だか、あいつらは何故か王族なのにも拘らず懐に爆発物を所持している危険人物だな。
魔王軍襲来の時にはその歩く爆弾が功を奏したが日常的に考えると二次被害を生み出す危険の可能性が高い、デメリットの方が大きい。
自身も爆発範囲内にいるにも拘らず気にしないどころか嬉々として起爆させるようなネジの外れた奴らを先頭に立たせると何が起こるかわからん。大体仮にも王女様だからな。最も危険な前線に立たせるわけにはいかない。万一の時は俺が首が物理的に飛ばされるだろうし。
そうなるとあいつらの立ち位置は強制的に最後尾になる。俺が自爆特攻の巻き添えを食らわない為にも必要なポジションだ。
そう、ここまでは予定通りだ。問題はさっき発覚した事実によりあの馬鹿ヘッドズコンビが前線でも役に立たない可能性が濃厚であるという点だ。
まさかステータスがメイド以下とは…この世界のモンスターレベルと冒険者の力量を把握しきれているわけではないが、なんとなく前世で言うところのスライムレベルのモンスターでなければ前に出して戦わせてはいけないように思える。
そうなるとあいつらの戦闘での立ち位置は後衛で女性陣の護衛という型にせざる得ない。つまり俺一人が前衛で残りの4人は後衛で待機という事になる。そしてそうなるとある一つの考えが浮かび上がってくる。
『あいつら要らなくない?』
酷い言い方に聞こえるかもしないが正直俺にはそれ以外抱ける感情が湧き上がってこない。だから少々不安はあるものの、宿のベットに括り付けるなりして置いていくという選択がベストだと思う。
ただヘットズの方は兎も角、姉妹の方はどうやっても付いてくる気がする。というより最悪拘束を解いて自分らだけでクエストに行こうとするだろうな。そしてそれが一番不味いパターンだろうな。文字通り何が起こるかわからないし。
だから精神的平穏なの為に精神的平穏を自ら削る選択をしないといけないわけだな…なんか自分で言ってた頭が痛くなってきた。
と、なればやっぱり姉妹は連れて行かざるおえないわけだが、そうなると結果的に残りの2人もついて来る気がするだよな。コイツらには身分明かしてないだろうに何故か姉妹を崇拝しているというか崇めてる感じだからな。
そうするとお荷物を抱えたまま戦わないといけないシュチュエーションになってくるわけなんだが…
「なあ、お前らの冒険者カードも見してもらえないか?」
「!!」
「お断りします。まだそんなプライベートな内容を教える間柄ではありません」
「仮にも俺らってこれから冒険者として行動を共にして行かないといけない間柄ではあるよね?だったら仲間の情報を把握しておきたいんだが?」
状況によって最悪最後の手段としてこいつらにも前線に立ってもらわないといけないかもしれないからな。判断を誤らない為にも知っとかないとな。
「嫌です」
「…何でだ?」
「なんとなく」
「なんとなく!?」
「はい。なんとなくお見せするのは嫌です」
「そ、そうだな。私も姉上同様なんとなく嫌というか、まだなんかこう抵抗感があるな」
メイドらの様に面倒な言い回しでない文わかりやすくていいが、まさかこうもストレートに拒否してくると…こうなったら強硬手段だ!
輝明はため息を吐く素振りを見せた直後エルノアヘ急接近。同時にすぐさま彼女の持つ冒険者カードへと手を伸ばした。
大河の突然の行動に意表を突かれたものの反射的にカードを守ろうとした。しかし僅かに遅く大河の手に掴まれてしまいカードの掴み合いが始まった。
すぐに大河の方に引き寄せられ決着がつきかけたが、クラリスが素早くエルノアの方へと加勢した事により一気に持っていかれる事を免れた。
「ど、同志よ!やめ、辞めよ!今すぐ辞めるのだ!」
「そうです!とっととその欲望に塗れた手を離すのです!」
「そっちが離せ!今回くらいはそっちが折れろ!」
こっちは生活と人生と命が懸かってるんだ!引けるかよ!
力の差により保たれていた均衡が破られ始め、徐々に徐々にカードが大河の方へと引っ張られ始めた。
「やめ、ろ…やめてくれ!」
あと少し、あと少し!
そしてもう数㎝で彼女らからカードを奪い大河にカードが渡りかけたその時だった。
「やめ…やめてぇえ――――――!!」
エルノアの口から大きな悲鳴がギルド内に響き渡り大河の手が止まった。そしてその力が緩んだ一瞬にカード自身の胸元に手繰り寄せ決して奪われないように壁際まで走って行き、今にも泣きそうな表情で怯えながらこちらを伺っていた。
大河は目の前で見たほんの数秒間の出来事に呆気にとられていた。今までにも似たようなセリフは聞いて来た。しかし今しがた目の前の少女から発せられた悲鳴はそれとは一線を画す心からの叫びだった。
「お願い…辞めて、ください」
辺りはシーンと静まるかえり、重い空気のなか部屋の温度が一気に下がっていくように錯覚し、彼女の演技とは思えない怯えたように体を震わせる動作がより罪悪感を感じさせた。
しかし一番突き刺さったのは先程の彼女の悲鳴。独特ではあるものの普段の陽気な雰囲気の彼女から到底考えられないような年相応の一般的な少女の心の叫び。そしてそれが発生してしまった原因。それはきっと迂闊に触れてしまった事だろうと大河は思った。
自分にとって他者に踏み込んできてほしくない領域。その部分に無情に土足で入り込んでしまったのだと理解した。かつて大河自身が前世でそういう経験をされて精神的悲鳴を上げたのと同じようにエルノアも自分が彼女の立ち入ってほしくない何かに遠慮なく踏み込んでしまい、それに精神の限界に達したエルノアが防衛本能のように強く悲鳴を上げたのだと。
「悪かった」
正直何が悪かったのかはわかっていない。俺の今の行動の何がそこまであいつを精神的に追い込んだのか明確にはわからない。けれどきっと…
『やめ…やめてぇえ――――――!!』
きっと、あのカードの情報の中にあったんだよな。触れてほしくない何かが、あったんだよな…
「もう聞いたりしないから許してくれ」
エルノアは大河がもう追求しない事を宣言したことで安堵すると共にハッと我に帰った。
「い、いや。わかってもらえればよいのだ同士よ。こっちこそ取り乱したな」
少しの間大河を観察していたクラリスは再びエルノアへと視線を戻した。
「…エルノア、私含めて皆冒険者となる手続きは完了したようですから現在あるクエストの確認をして来たらどうです」
「そ、そうですね姉上!受付嬢殿、クエスト一覧を確認させては頂けないだろうか」
「それでしたらこちらをどうぞ」
先程の事を忘れて。或いは忘れようとしなが、目の前の資料に目を通し出した。
お、落ち着け俺。冷静にもう一度パーティーの戦力を分析してみよう。まずはあの王女姉妹だか、あいつらは何故か王族なのにも拘らず懐に爆発物を所持している危険人物だな。
魔王軍襲来の時にはその歩く爆弾が功を奏したが日常的に考えると二次被害を生み出す危険の可能性が高い、デメリットの方が大きい。
自身も爆発範囲内にいるにも拘らず気にしないどころか嬉々として起爆させるようなネジの外れた奴らを先頭に立たせると何が起こるかわからん。大体仮にも王女様だからな。最も危険な前線に立たせるわけにはいかない。万一の時は俺が首が物理的に飛ばされるだろうし。
そうなるとあいつらの立ち位置は強制的に最後尾になる。俺が自爆特攻の巻き添えを食らわない為にも必要なポジションだ。
そう、ここまでは予定通りだ。問題はさっき発覚した事実によりあの馬鹿ヘッドズコンビが前線でも役に立たない可能性が濃厚であるという点だ。
まさかステータスがメイド以下とは…この世界のモンスターレベルと冒険者の力量を把握しきれているわけではないが、なんとなく前世で言うところのスライムレベルのモンスターでなければ前に出して戦わせてはいけないように思える。
そうなるとあいつらの戦闘での立ち位置は後衛で女性陣の護衛という型にせざる得ない。つまり俺一人が前衛で残りの4人は後衛で待機という事になる。そしてそうなるとある一つの考えが浮かび上がってくる。
『あいつら要らなくない?』
酷い言い方に聞こえるかもしないが正直俺にはそれ以外抱ける感情が湧き上がってこない。だから少々不安はあるものの、宿のベットに括り付けるなりして置いていくという選択がベストだと思う。
ただヘットズの方は兎も角、姉妹の方はどうやっても付いてくる気がする。というより最悪拘束を解いて自分らだけでクエストに行こうとするだろうな。そしてそれが一番不味いパターンだろうな。文字通り何が起こるかわからないし。
だから精神的平穏なの為に精神的平穏を自ら削る選択をしないといけないわけだな…なんか自分で言ってた頭が痛くなってきた。
と、なればやっぱり姉妹は連れて行かざるおえないわけだが、そうなると結果的に残りの2人もついて来る気がするだよな。コイツらには身分明かしてないだろうに何故か姉妹を崇拝しているというか崇めてる感じだからな。
そうするとお荷物を抱えたまま戦わないといけないシュチュエーションになってくるわけなんだが…
「なあ、お前らの冒険者カードも見してもらえないか?」
「!!」
「お断りします。まだそんなプライベートな内容を教える間柄ではありません」
「仮にも俺らってこれから冒険者として行動を共にして行かないといけない間柄ではあるよね?だったら仲間の情報を把握しておきたいんだが?」
状況によって最悪最後の手段としてこいつらにも前線に立ってもらわないといけないかもしれないからな。判断を誤らない為にも知っとかないとな。
「嫌です」
「…何でだ?」
「なんとなく」
「なんとなく!?」
「はい。なんとなくお見せするのは嫌です」
「そ、そうだな。私も姉上同様なんとなく嫌というか、まだなんかこう抵抗感があるな」
メイドらの様に面倒な言い回しでない文わかりやすくていいが、まさかこうもストレートに拒否してくると…こうなったら強硬手段だ!
輝明はため息を吐く素振りを見せた直後エルノアヘ急接近。同時にすぐさま彼女の持つ冒険者カードへと手を伸ばした。
大河の突然の行動に意表を突かれたものの反射的にカードを守ろうとした。しかし僅かに遅く大河の手に掴まれてしまいカードの掴み合いが始まった。
すぐに大河の方に引き寄せられ決着がつきかけたが、クラリスが素早くエルノアの方へと加勢した事により一気に持っていかれる事を免れた。
「ど、同志よ!やめ、辞めよ!今すぐ辞めるのだ!」
「そうです!とっととその欲望に塗れた手を離すのです!」
「そっちが離せ!今回くらいはそっちが折れろ!」
こっちは生活と人生と命が懸かってるんだ!引けるかよ!
力の差により保たれていた均衡が破られ始め、徐々に徐々にカードが大河の方へと引っ張られ始めた。
「やめ、ろ…やめてくれ!」
あと少し、あと少し!
そしてもう数㎝で彼女らからカードを奪い大河にカードが渡りかけたその時だった。
「やめ…やめてぇえ――――――!!」
エルノアの口から大きな悲鳴がギルド内に響き渡り大河の手が止まった。そしてその力が緩んだ一瞬にカード自身の胸元に手繰り寄せ決して奪われないように壁際まで走って行き、今にも泣きそうな表情で怯えながらこちらを伺っていた。
大河は目の前で見たほんの数秒間の出来事に呆気にとられていた。今までにも似たようなセリフは聞いて来た。しかし今しがた目の前の少女から発せられた悲鳴はそれとは一線を画す心からの叫びだった。
「お願い…辞めて、ください」
辺りはシーンと静まるかえり、重い空気のなか部屋の温度が一気に下がっていくように錯覚し、彼女の演技とは思えない怯えたように体を震わせる動作がより罪悪感を感じさせた。
しかし一番突き刺さったのは先程の彼女の悲鳴。独特ではあるものの普段の陽気な雰囲気の彼女から到底考えられないような年相応の一般的な少女の心の叫び。そしてそれが発生してしまった原因。それはきっと迂闊に触れてしまった事だろうと大河は思った。
自分にとって他者に踏み込んできてほしくない領域。その部分に無情に土足で入り込んでしまったのだと理解した。かつて大河自身が前世でそういう経験をされて精神的悲鳴を上げたのと同じようにエルノアも自分が彼女の立ち入ってほしくない何かに遠慮なく踏み込んでしまい、それに精神の限界に達したエルノアが防衛本能のように強く悲鳴を上げたのだと。
「悪かった」
正直何が悪かったのかはわかっていない。俺の今の行動の何がそこまであいつを精神的に追い込んだのか明確にはわからない。けれどきっと…
『やめ…やめてぇえ――――――!!』
きっと、あのカードの情報の中にあったんだよな。触れてほしくない何かが、あったんだよな…
「もう聞いたりしないから許してくれ」
エルノアは大河がもう追求しない事を宣言したことで安堵すると共にハッと我に帰った。
「い、いや。わかってもらえればよいのだ同士よ。こっちこそ取り乱したな」
少しの間大河を観察していたクラリスは再びエルノアへと視線を戻した。
「…エルノア、私含めて皆冒険者となる手続きは完了したようですから現在あるクエストの確認をして来たらどうです」
「そ、そうですね姉上!受付嬢殿、クエスト一覧を確認させては頂けないだろうか」
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