26 / 30
青年期編
準備
しおりを挟む
公爵閣下と父から、どちらかがオメガになることを前提の交際を黙認されてからレオンと話し合った。
父に相談し、貴族街への入り口付近にある裕福な商家向けの屋敷を一棟もらい受け、そこで転化のために会うことにした。
流石に、意図的にフェロモンを交らわせるのにあのサロンカフェの二階を使うのは流石にな。
「平民の家というものには初めて入ったが、なかなかいいな。こじんまりとしていて。お前の匂いがよくわかる」
「平民の家の中でも広い方だけどね」
レオンを招き入れた屋敷の中。家具などは以前住んでいた商人一家が置いて行ったものだ。
その中でベッドだけは買い換えた寝室の中、レオンと二人でベッドに腰掛ける。
「レオン、本当にいいのか?」
「ああ。……ヒートアタックにあった僕を助けに来てくれた時のことを、覚えているか?」
「忘れるわけがない。俺は、あの後ラットに陥ったとき、想像の中でお前を汚した。ずっと……、それが許せなくて、レオンからの求愛を受け取れずにいた」
罪を告白するようにそう告げると、レオンは少し驚いたようだがすぐに俺の手に指を絡めた。
「僕も、あの時君への恋を自覚したよ」
俺の手を自身の顔へと導き、触れさせる。
「あの日、カイルのフェロモンを浴び、あの強く煌めく目を見てから。僕はずっとお前のつがいになりたくてしょうがなかった。カイル、僕を君だけのオメガにしてくれ」
「…………怖かったら、言ってくれ」
転化の条件は、アルファの威嚇フェロモンに中てられること。
それにより、転化する側が本能的に『敵わない』と思うことで、その強いアルファの子孫を残そうと体が転化する。
だから、俺はレオンを完全に屈服させるつもりで強く威嚇フェロモンを出した。
すぐにレオンの体は固まり、わずかに震えだす。
本能的な恐れだ。それなのに、顔はとろりと蕩けて俺を見上げてくる。
なるほど。これは。なかなか心臓に悪い。
いますぐに、自分のつがいを押し倒し、体の奥底まで貪りたい衝動に駆られるが、オメガでもないのに負担があまりにもデカすぎる。
服を脱いではいけないと、自身を戒める。
真に体を繋げるのは、レオンが本当にオメガになってからだ。
「レオン、うなじを見せて」
ごくりと唾を飲み込む音が大きく聞こえる。
レオンが、非常にゆっくりとした動きでベッドの上にのぼり、俺に背を向けた。
俺が言った通り、うなじがよく見えるように髪をのけて少し頭を下げた。
無防備に晒された白いうなじに、たまらず飛びつき歯を立てた。
「ぁッ!」
「レオン、れおん。俺のつがい。俺の唯一」
ぶわりと余計に自身から放たれるフェロモンが濃ゆくなるのを感じる。
何度もなんども歯を突き立て、噛み跡を残す。
その跡をなぞる様に舌を這わせ、そのたびにびくりと跳ねるレオンの反応を楽しむ。
「ッ……かいる、ぞわぞわするっ」
「うん。もっと感じてくれ」
「は……ッ。くそっ、下は触られてもいないのに……ッ」
よく見ると、レオンの下半身の一部がわずかに盛り上がり、呼吸も荒くなっている。
むらっとくるが、我慢だ。手を出して止められる自信がない。
自分のモノも、硬く反応している。
「レオン。早く、俺だけのオメガになってくれ……っ」
そんな逢瀬というにはあまりにも濃密な時間を何度もレオンと共に過ごす。
タイムリミットは、成人する十八歳までの数年だ。
俺もレオンも、訓練先での休みをかぶせてできるだけ会えるようにした。
国境騎士団の記録でもあったように、たとえ転化の兆候が出始めていても、しばらく離れてしまうと意味がなくなる。
毎日会うことができない分。会えた時には飛び切り濃いフェロモンをレオンの体に刻み付けた。
屈服しろと、俺の子を産めと。そうレオンの体に言い聞かせるように。何度も何度もそのうなじに歯を立てた。
何度目の逢瀬だろうか。気づけば、訓練期のほとんどの時間が過ぎ去り、学園への入学が目前に迫っている。
オメガへの転化は順調と言ってもいいだろう。
回数を重ねるごとにレオンの体の反応はどんどん顕著になっていく。
最近では、何度か一時的なものではあるけれど発現熱のような症状も現れるようになってきた。
今日も、いつもと同じようにレオンをオメガへ転化させるために寝室のベッドの上でレオンのうなじに歯を立てる。
「ぁ……ッ、カイル、カイルッ。もう、むりだ……っ」
「レオン、まだだよ。逃げないで」
ベッドにうつぶせになって逃げようとするレオンの上から覆いかぶさるようにして、彼をシーツに縫い付ける。
お互い、服は着たままだ。それがかろうじて俺の理性を引き留める。
「かいる、カイルッ。も、あつい……ッ」
「ん。大丈夫。そのまま、俺を受け入れてくれ」
濃いフェロモンをレオンにぶつけながら、それが早くレオンの体を作り替えてくれと願いを込めてうなじに噛みつく。
それ以外には何もしていないのに、びくびくと震えるレオンの体。
この行為を始めたばかりのころは、今ほど敏感ではなかった。
しかし、回数を重ねるごとにレオンの反応はどんどん顕著になっていった。
いますぐに、ここでレオンを奥まで拓きたい衝動に駆られる。
しかし、まだオメガになっていないレオンの体では負担が大きすぎる。
抑えきれぬ欲をフェロモンに込めてぶつければ、呼応するようにレオンの香りにも甘さが混じる。
「レオン、愛してる」
「ひぁっ!」
びくりとひと際大きく体を震わせ、甲高い声を一度上げたレオン。弓なりに反った背中が艶めかしい。
信じられないとばかりに真っ赤に染めた顔でこちらを振り返るレオンの表情で、この愛撫未満の行為だけでレオンが達してしまったのだと察した。
言い様のない愛おしさが募り、再びそのうなじに強く嚙みついた。
すっきりとした甘みを含んだベルガモットのようなフェロモンの匂い。
レモンの皮のように、少しばかり苦みの残るそれに、どうしようもないほど煽られる。
噛みつくたびにあがる高い声が、ガリガリと俺の理性を削っていく。
早く、はやくオメガになってくれ。
父に相談し、貴族街への入り口付近にある裕福な商家向けの屋敷を一棟もらい受け、そこで転化のために会うことにした。
流石に、意図的にフェロモンを交らわせるのにあのサロンカフェの二階を使うのは流石にな。
「平民の家というものには初めて入ったが、なかなかいいな。こじんまりとしていて。お前の匂いがよくわかる」
「平民の家の中でも広い方だけどね」
レオンを招き入れた屋敷の中。家具などは以前住んでいた商人一家が置いて行ったものだ。
その中でベッドだけは買い換えた寝室の中、レオンと二人でベッドに腰掛ける。
「レオン、本当にいいのか?」
「ああ。……ヒートアタックにあった僕を助けに来てくれた時のことを、覚えているか?」
「忘れるわけがない。俺は、あの後ラットに陥ったとき、想像の中でお前を汚した。ずっと……、それが許せなくて、レオンからの求愛を受け取れずにいた」
罪を告白するようにそう告げると、レオンは少し驚いたようだがすぐに俺の手に指を絡めた。
「僕も、あの時君への恋を自覚したよ」
俺の手を自身の顔へと導き、触れさせる。
「あの日、カイルのフェロモンを浴び、あの強く煌めく目を見てから。僕はずっとお前のつがいになりたくてしょうがなかった。カイル、僕を君だけのオメガにしてくれ」
「…………怖かったら、言ってくれ」
転化の条件は、アルファの威嚇フェロモンに中てられること。
それにより、転化する側が本能的に『敵わない』と思うことで、その強いアルファの子孫を残そうと体が転化する。
だから、俺はレオンを完全に屈服させるつもりで強く威嚇フェロモンを出した。
すぐにレオンの体は固まり、わずかに震えだす。
本能的な恐れだ。それなのに、顔はとろりと蕩けて俺を見上げてくる。
なるほど。これは。なかなか心臓に悪い。
いますぐに、自分のつがいを押し倒し、体の奥底まで貪りたい衝動に駆られるが、オメガでもないのに負担があまりにもデカすぎる。
服を脱いではいけないと、自身を戒める。
真に体を繋げるのは、レオンが本当にオメガになってからだ。
「レオン、うなじを見せて」
ごくりと唾を飲み込む音が大きく聞こえる。
レオンが、非常にゆっくりとした動きでベッドの上にのぼり、俺に背を向けた。
俺が言った通り、うなじがよく見えるように髪をのけて少し頭を下げた。
無防備に晒された白いうなじに、たまらず飛びつき歯を立てた。
「ぁッ!」
「レオン、れおん。俺のつがい。俺の唯一」
ぶわりと余計に自身から放たれるフェロモンが濃ゆくなるのを感じる。
何度もなんども歯を突き立て、噛み跡を残す。
その跡をなぞる様に舌を這わせ、そのたびにびくりと跳ねるレオンの反応を楽しむ。
「ッ……かいる、ぞわぞわするっ」
「うん。もっと感じてくれ」
「は……ッ。くそっ、下は触られてもいないのに……ッ」
よく見ると、レオンの下半身の一部がわずかに盛り上がり、呼吸も荒くなっている。
むらっとくるが、我慢だ。手を出して止められる自信がない。
自分のモノも、硬く反応している。
「レオン。早く、俺だけのオメガになってくれ……っ」
そんな逢瀬というにはあまりにも濃密な時間を何度もレオンと共に過ごす。
タイムリミットは、成人する十八歳までの数年だ。
俺もレオンも、訓練先での休みをかぶせてできるだけ会えるようにした。
国境騎士団の記録でもあったように、たとえ転化の兆候が出始めていても、しばらく離れてしまうと意味がなくなる。
毎日会うことができない分。会えた時には飛び切り濃いフェロモンをレオンの体に刻み付けた。
屈服しろと、俺の子を産めと。そうレオンの体に言い聞かせるように。何度も何度もそのうなじに歯を立てた。
何度目の逢瀬だろうか。気づけば、訓練期のほとんどの時間が過ぎ去り、学園への入学が目前に迫っている。
オメガへの転化は順調と言ってもいいだろう。
回数を重ねるごとにレオンの体の反応はどんどん顕著になっていく。
最近では、何度か一時的なものではあるけれど発現熱のような症状も現れるようになってきた。
今日も、いつもと同じようにレオンをオメガへ転化させるために寝室のベッドの上でレオンのうなじに歯を立てる。
「ぁ……ッ、カイル、カイルッ。もう、むりだ……っ」
「レオン、まだだよ。逃げないで」
ベッドにうつぶせになって逃げようとするレオンの上から覆いかぶさるようにして、彼をシーツに縫い付ける。
お互い、服は着たままだ。それがかろうじて俺の理性を引き留める。
「かいる、カイルッ。も、あつい……ッ」
「ん。大丈夫。そのまま、俺を受け入れてくれ」
濃いフェロモンをレオンにぶつけながら、それが早くレオンの体を作り替えてくれと願いを込めてうなじに噛みつく。
それ以外には何もしていないのに、びくびくと震えるレオンの体。
この行為を始めたばかりのころは、今ほど敏感ではなかった。
しかし、回数を重ねるごとにレオンの反応はどんどん顕著になっていった。
いますぐに、ここでレオンを奥まで拓きたい衝動に駆られる。
しかし、まだオメガになっていないレオンの体では負担が大きすぎる。
抑えきれぬ欲をフェロモンに込めてぶつければ、呼応するようにレオンの香りにも甘さが混じる。
「レオン、愛してる」
「ひぁっ!」
びくりとひと際大きく体を震わせ、甲高い声を一度上げたレオン。弓なりに反った背中が艶めかしい。
信じられないとばかりに真っ赤に染めた顔でこちらを振り返るレオンの表情で、この愛撫未満の行為だけでレオンが達してしまったのだと察した。
言い様のない愛おしさが募り、再びそのうなじに強く嚙みついた。
すっきりとした甘みを含んだベルガモットのようなフェロモンの匂い。
レモンの皮のように、少しばかり苦みの残るそれに、どうしようもないほど煽られる。
噛みつくたびにあがる高い声が、ガリガリと俺の理性を削っていく。
早く、はやくオメガになってくれ。
1,092
あなたにおすすめの小説
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
【第一部・完結】毒を飲んだマリス~冷徹なふりして溺愛したい皇帝陛下と毒親育ちの転生人質王子が恋をした~
蛮野晩
BL
マリスは前世で毒親育ちなうえに不遇の最期を迎えた。
転生したらヘデルマリア王国の第一王子だったが、祖国は帝国に侵略されてしまう。
戦火のなかで帝国の皇帝陛下ヴェルハルトに出会う。
マリスは人質として帝国に赴いたが、そこで皇帝の弟(エヴァン・八歳)の世話役をすることになった。
皇帝ヴェルハルトは噂どおりの冷徹な男でマリスは人質として不遇な扱いを受けたが、――――じつは皇帝ヴェルハルトは戦火で出会ったマリスにすでにひと目惚れしていた!
しかもマリスが帝国に来てくれて内心大喜びだった!
ほんとうは溺愛したいが、溺愛しすぎはかっこよくない……。苦悩する皇帝ヴェルハルト。
皇帝陛下のラブコメと人質王子のシリアスがぶつかりあう。ラブコメvsシリアスのハッピーエンドです。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
ヒロインの兄は悪役令嬢推し
西楓
BL
異世界転生し、ここは前世でやっていたゲームの世界だと知る。ヒロインの兄の俺は悪役令嬢推し。妹も可愛いが悪役令嬢と王子が幸せになるようにそっと見守ろうと思っていたのに…どうして?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる