村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

文字の大きさ
69 / 262
第七章 王都公認 案内人適性試験編

69.第二次試験

しおりを挟む
 時刻は集合時間の十二時となり、パーティーを作った一次試験突破者が続々と集合場所に集まってきた。

「さぁ、一次試験合格者の皆さん! 全員グループを作れたかしら!? それではこれから二次試験の内容についてご説明していこうと思います!」

 さぁて、あの子たちは……?

 スーザンはきょろきょろとあたりを見渡した。

 お、いたいた。ナヴィさん、ケビンさん、ルナさん。ちゃーんと三人でパーティーになれたみたいね。ふふ、楽しくなってきたじゃない。ちょっとぎこちない感じには見えるけど、まぁしょうがないよね。


「見たところ全員グルーピングはできたみたいね。今からのパーティー変更は認めないのでご注意ください」

「では二次試験の『グループによるダンジョン探索』のルールを説明していきたいと思います!」
「まず、ここにいる皆さんを転移魔法で、私が試験用に作ったダンジョンに飛ばします」



「すごい! そんなことできるのね。あたしにもできるのかしら」
「お前じゃ無理だ。転移魔法まで使えるとはさすがはアドバイザークラス」
「あ、あのわたくしは、あの!」


 ふふ、騒がしいわねあの三人。

「皆さんのスタート地点はランダムでそこからダンジョン内にあるゴールを目指していただきます」
「そして、この二次試験の合格の基準は『早い者勝ち』です」


「早い者勝ち?」
 ナヴィは首を傾げた。

「要するに『早くゴールに着いたら』合格です」


「す、すごくシンプルね」
「え、ええわたくしたち大丈夫でしょうか」
「お前ら落ち着け……」


「ルールは一つだけ。『パーティー全員でゴールすること』あとは自由です」

「じ、自由?」

「はい、『自由』でございます。では五分後に転送を開始するので準備してくださいね」


「なるほど、これがスーザンさんの言ってた『多ければ多いほどいいということではない』ってことね」

「あぁ。要するに一人でも戦闘不能で倒れたら終わりってことだ」

「うぅ、なんかそれってすごいプレッシャーですね、わたくしもモンスターにやられないようにしないと」 

「あはは、ルナ大丈夫よ。あたし達の『ケビン様』が助けてくれるわ!」

 ケビンの背中をナヴィはバシバシと叩いた。

「おい、自分の身は自分で守れ」

「なによ。こんなか弱くて美人な二人に囲まれてるんだからそのくらいしてくれてもいいじゃない!」

「か弱い奴は自分でか弱いなんて言わないから大丈夫だ」

「ぶー!」

「お二人は仲がいいんですね……」

 会話に入れずもぞもぞとするルナ。

「お前もこれからそうすればいいだろ?」

「?」

「こんな望んでもない名前を付けられて不遇な扱いを受けたんだ。仲良くする理由はそれだけだも充分だろ」

「……あ、ありがとうございます」

 ナヴィは口をぽかんと開けた。

「ケビン! あんたルナには優しいじゃないの」

「それはそうだろ、お前と違ってか弱いとか自分で言わないし」

「ちょっとー!!」

「ふ、ふふ」

 ルナはその夫婦漫才のような二人のやり取りにくすくすと笑った。

「ん? どうしたのよルナ」

「い、いえ」

 わたくしもいつかはこうやって仲良くできたらな。そのためにもまずはこの試験足を引っ張らないようにしないと……。


「あ、そろそろ始まりそうよ!」


「はい時間です。それでは時間になりましたので転移を転移を始めていきたいと思います!」
<転移魔法 アクシステレポート!>

 受験者の足元に大きな魔法陣が展開された。

「うわ、何だこれ!」
「魔法だから大丈夫だろ!」
「隣の奴がいなくなったぞ!」

 動揺する受験者たちにスーザンは上品に手を振った。

「では皆さん。ご武運を。ゴールでお会いしましょう」


 三人は目を開けると目の前にはダンジョンの入り口があった。

「なんかあたしたち、どこかに飛ばされたって感じよりかは、スーザンさんの魔法の中に入ったって感覚に近いわね」

「まぁあの人が作ったダンジョンって言ってたしその解釈で間違いないだろ」

「お二人とも、落ち着いている場合ではありません……この試験『早いもの順』ですよね」

「あぁそうだった! ルナの言う通りあたし達も早くいかないと!」

「ちょっと待て、何か聞こえないか?」

 三人はダンジョンの入り口で耳を澄ませた。

「ぎゃぁぁぁぁ!」
「やめてくれぇぇぇ!」
「な、なんで俺たち同士が戦いあうんだよぉ!」


 ルナとナヴィは血の気が引いたのか顔が青ざめていった。

「ケビン。これってどういうことかしら。あたし達の試験って早くゴールすることよね?」

「それは間違いない。だが、あの人はこうも言っていたぞルールは『パーティー全員でゴールすること、あとは自由です』って」

「確かにわたくしもそのように聞きましたがまさか『自由』って……」

「あぁ、多分だが、ただダンジョン探索をするだけではなくなりそうだな。ナヴィ、ルナこの意味がもう分かるな?」

 ナヴィは顎に手を当てた。

 今のは確実に対人戦闘による悲鳴だった。早い者勝ち、それ以外は自由ってことは。

「ライバルを減らせばその分早くなくても順位が上がる……」

「あぁその通りだ。つまりこの試験は『ダンジョン探索』とは名ばかりの『ダンジョンのゴールに向けた何でもありのサバイバル』ってことだな」

「……とても案内人の試験とは思えないわね」

「あぁ、なんかおかしいとは思ったんだがな」

「少し作戦を練ってから入ろう」

 こうして数分間三人は作戦会議を行った。


「ではルナ、ナヴィこの作戦で行こう」
「えぇ、分かったわ!」
「この作戦ならわたくしでも力になれるかもしれません!」

「じゃあ入るぞ!」
 三人の二次試験が始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...