村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

文字の大きさ
71 / 262
第七章 王都公認 案内人適性試験編

70.スリーマンセル

しおりを挟む
 第二次試験が始まり、ナヴィ、ケビン、ルナのパーティーはダンジョン探索に励んでいた。

 ナヴィのマッピング力、ルナの占いと直観力、そしてモンスターとの戦闘になった時でのケビンの戦闘力。それぞれが上手く掛け合わさり順調にゴールへと近づいていた。

「ふぅ結構進んだんじゃないかしら」

「あぁ、それは間違いないんと思うんだが、他のパーティーの進捗状況も気になるところだな」

「はい、でもお二方のお陰でわたくし達以上に進んでいるパーティーはそう多くはないかと……」

「こりゃあたしたち今回は楽勝かもね」

 あたし達はそんな会話しながら進んでいると何度目かの分かれ道に出くわした。

「うーんまた分かれ道、今回は五箇所ね……」

「ルナ、お願い出来るか?」

「えぇケビンさん。もちろんです」

 ルナはそういうとリュックから水晶玉を取り出し、その玉に魔力を込め始めた。

「いやーほんとルナ様様だわー」

「あぁ、多少のミスもあるがナヴィが修正してくれているからほとんどそのデメリットもないしな」

「ふふ、あたしのマッピング力も褒めて頂戴」

「いや、お前はルナの補填ぐらいにしかなってないぞ」

「うるさーい! そういうあんたもほとんど戦闘でしか役に立ってないじゃない!」

「もともとそういう分担だったろ、ルナが占いでルートの案内。お前がそこから情報量と知識で補填、そして俺は二人が集中して探索できるようにボディーガード。それぞれ役目を果たしているじゃないか」

「あんたがやってることは案内人じゃないじゃない!」

「……?」

 ルナは水晶玉を持ちながら首を傾げていた。

「ルナ、どうしたの?」

「ルートが二つあります」

「二つだと?」

「はいそれに少し変で、魔力で情報が遮断されているというか、その先がどうなっているのかあまり見ることができませんでした。確かに占いではその二つのルートのどちらかで間違いないとは出ていたのですが……」

「なるほど……」

「一応念には念を入れてしっかりと確認してみましょうか」

 ルナは水晶玉をリュックにしまい代わりに愛用のグローブを取り出した。

「あら、何か出すのね」

「何かするのか?」

「では行きます」
<ガーディアン・ハウンドドッグ!>

 ルナの前に灰色の魔法陣が展開されアメルダが召喚された。

「ルナごきげんよう、久しぶりね」
「あら、そちらは珍しい」

「ナヴィさんと……」

「ケビンだ、凄いな、ガーディアンなのに喋れるのか?」

「えぇ、私は少し特殊なので……それでルナ、中で事情は何となく把握したわ」

「はい、ルート二つ真ん中と一番左の道を調べてくれますか?」

「わかったわ、ちょっと待っててね」

 アメルダはそれぞれの道の前に立ち、耳を澄ませて音を聴き、近くの匂いを調べ、モンスターの気配や直前に何があったのかを入念に調べた。


「ガーディアンってこんなこともできるのか……」

 アメルダをじっと見つめるケビン。

「ふふ、ガーディアンはいいわよぉ。まぁ話せるガーディアンはあたしも持ってないけど」

「ナヴィもガーディアン使えるのか?」

「えぇ。最近もまた一つ増えたし。ケビン。あんたは近接戦闘の武闘派だから使えないと思うけど」

 ナヴィはくすくすと笑いながらケビンを馬鹿にした様な言い方をした。

「お前、後で斬る」

「うそうそごめんごめん」

 ケビンが大鎌をナヴィに突き付けた瞬間アメルダが話し始めた。


「ふむ、だいたいわかったわ」

「どうでした? アメルダはどっちの方がいいと思いますか?」

「私は真ん中の道ね。左の道は音を聴く感じ先がかなり長そう……モンスターの匂いもぷんぷんしてるし」

「真ん中はどうでした?」

「音も少し近めな感じで、ゴールから遠のいている感じはしなそうねモンスターの気配もないわ、ただ……」

「?」

「気にする必要はないかもしれないけど、真ん中の道はモンスター以外の匂いも何も無かったの」

「え、それってどういうこと……」

「分からない。ルートは確実に真ん中だけど気を付けて進みなさい」

「はい。ありがとうアメルダ。戻っていいですよ」
「えぇまたね!」

 アメルダは小さな球体となりグローブの中へと戻って行った。

「ということです。皆さん真ん中の道を進みましょう。」


 三人はアメルダに言われた通り、周りに注意しながら真ん中の道を歩いていく。

「なんか静かね……」

「あぁモンスターの気配もやっぱり感じられないな」

「はい、実は本当はただの安全な道だったり……!?」

 何かを察知したルナが先に向かって飛び出していった。

 その行動に驚いた二人だったが、すぐにルナの後を追う。


 何とかルナに追いついた二人はそのまま走りながら状況を確認した。

「ちょっ! ルナどうしたの!?」

「いきなり走り出してすみません。わたくしが走り出したところからいきなりモンスターの魔力を感じました。それにそのモンスターはかなり強力な魔力の持ち主です」

「そいつが魔力の気配に敏感なルナでも気づかないレベルで気配を消していたってことなのか?」

「恐らく、ですがそれよりもさらに気がかりなのは……」

 ナヴィとケビンはルナの不安な表情を感じ取る。

「もしかして……」

「えぇ、『人間の気配』です」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...