村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第八章 王都公認 案内人適性試験 最終試験編

84.案内人 ブラン・ゴードン

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「それでは皆さん十分後に第二試合を始めたいと思います!」


「さ、サテラちゃん。ハンナとエンフィーの所にいこっか! ってとりあえず手当てが先だよね」

「はい! 恥ずかしいのでフィールドからは早く下りたいです」

「あはは、そうだね」

 二人はエドウィンを横切るような形でフィールドを降りていった。

「待て、サテラ」

「え……エドウィン?」

 目を覚ましたエドウィンが両膝をついた状態のまま、サテラを呼び止めた。

 エドウィンはそこから立ち上がり、サテラに背を向けたまま話し始めた。

「俺は負けたつもりはない。お前にはその案内人がいたから勝てただけだ」

「ええ。分かっています。今日勝てたのはナヴィさんのおかげです」

「でもそれだけじゃなく、単純にお前は強かった。俺の完敗だ……」 

「エドウィン……」

 するとエドウィンは振り返りサテラを指さした。

「次は勝つ」

「……ええ! 望むところです!」

 サテラは笑顔で言い放った。


 ナヴィとサテラはそこから出口を出て控室に戻ろうとしていた時、控室近くの廊下でブランとそのパートナーのダリウスが現れた。

「やぁナヴィさんとサテラちゃん。一回戦突破おめでとう」

 ナヴィは警戒し数歩分距離を取った。

「ブラン。ありがとうございます」

「お礼を言うような顔ではない恐ろしい形相だけど大丈夫かい?」

「そんなことはありません。ブランさんも一回戦頑張って下さいね」

「そんな棒読みで言われても。あはは」


「ダリウス!」

 サテラがダリウスに駆け寄った。

「一回戦頑張ってね! そのあとは私と戦うかもしれないけど……」

 サテラがダリウスの手を握った。

「っつ。う、うん。僕…が、頑張るよ」

「ダリウスあなた……あれ、その腕……いったい」

「さぁダリウス。行こうか。そろそろ時間だ」

 サテラの話を遮るようにブランはダリウスの空いていた方の腕を引いた。

「は、はい……じゃ、じゃあサテラごめんね。僕、行くから」

 サテラが握っていた手をすっと引きブラン言われるがままフィールドに向かっていった。


「ダリウス……」

「サテラちゃん、あの子は知り合いなの?」

「ダリウスは選抜第五位の子でいつも元気に話しかけてくれる男の子なんですが……」

「とてもそんな風には見えないくらい元気がなかったけど」

「はい、それにあの腕……」

「腕がどうかした?」

「いえ……なんでも」

 あの手を握ったときの服の間からちらっと見えた痣、それに手を持ち上げたときの痛がり方。おとといまでは普通に元気だったのに……。


「ブランさんと言いましたかあの眼鏡を掛けた案内人の」

「あぁ、そうね二次試験では世話になったわ。悪い意味でだけど」

「あの人の目。すごく怖いというか、乾いていました」

「そうね……まぁ性格もそんな感じだけど……」

「ダリウスのことを見ているようで何も見ていない。大丈夫かなダリウス……」

「とりあえず、もうすぐ第二試合が始まるわ、観客席で試合の様子を見てみましょう」

「そ、そうですね」

 その後二人はハンナ、エンフィーと合流し、観客席で試合を観戦することにした。


 そして第二試合開始の時間になった。

「時間になりましたので、これから第二試合、ブラン・ゴードンペア対タイラー・ネルの試合を始めていきたいと思います! 選手入場!」


 入場口からそれぞれのペアが歩いてきた。


「あ、出てきたよ! サテラちゃん!」

「はい! ナヴィさん。ブランさんはわかりますがあちらの案内人の方は……」

「あぁ、二次試験でブランパーティーにいたモブ二人のうちの一人ね、タイラーって名前なんだ。なんか男っぽい気もするけど女の子のね」

「お姉ちゃんがモブっていう?」

「ちょっとエンフィー。今なんて言った?」

 ナヴィは拳を作りながらエンフィーの方に顔を向けた。

「い、いいえ。なんでもないですぅ」

 サテラはそのまま話を続ける。

「あはは、あ、向こうのアカデミー生はミミィですね」

「女の子ね……」

「はい、私と第七位のナターシャ。そして彼女の三人が選抜組の女子ですね」

「なるほどね。それでその子の席次は?」

「第三位です」

「「「三位!?」」」

 隣にいたハンナも含めた三人が驚いた。

「はい、女子の中ではトップです。見ての通り女子にしては大柄で力もその辺の男子の腕力をはるかに凌駕するものを持っています。力勝負だけならエドウィンや主席の子にも負けないです」

「それはまた厄介ね……」

「それに比べてダリウスは……」

「あの子も一応五位なのよね?」

「はい、ですが彼も私と同じように座学で成績を取っている子で争いごとも好まない性格なので、戦闘にはさほど興味がなく、戦闘自体も基本に忠実な戦い方しかできません」

「ということは……」

「話だけまとめると圧倒的にミミィの方が有利なのですが、それはアカデミー生だけでの戦闘の話です、自分自身も案内人の方の質であれだけ変わることを体感してしまうと何があるかわかりません」

「確かに、それもあのブランだしね」

「それにさっきの廊下で会ったダリウスの様子もおかしかったので……」

「お、二人とも、試合が始まるよ!」

 ハンナの声で二人の視線はフィールドに向けられた。


「それでは正々堂々と戦ってください! 試合開始!」

 その合図が掛かってから三分もしなかった。


「ミ、ミミィ選手、戦闘不能。勝者、ブラン、ダリウスペア!」
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