村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編

158.三つの理由

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「俺はこの作戦には乗れない」

「ケビン!?」
「ケビンさん!?」

「悪いな二人とも」


「ちょっケビンどうして……」

「そうですよ。トニーさんの死を無駄にすることになるんですよ!」

 ナヴィとルナはあたふたとしながらもケビンをなんとか説得しようと声を掛ける。

「いいわ、ありがとう二人とも」

 ルナの肩に手を乗せるスーザン。

「……意外と物分かりがいいんだな……」

「いいえ、そんなことないわよ。私はあなたが思っているよりも頑固な人間よ」

「……というと?」

「理由を聞かせてもらってもいいかしら?」

「あぁ、もちろんだ。はなからそのつもりだ。理由は主に三つ」

「三つ……?」

「一つ。優秀な案内人や冒険者が二年前に比べて圧倒的に少ないことだ」

「……」

「二年前はスーパーアドバイザーのトニーさんが指揮を取ってくれていたが現状そこになりうる存在がいない。それにその他に作戦を取り仕切っているあんたやブレビンスさんがいたとしてもそれを遂行できる冒険者が二年前よりも圧倒的に少ない。いくら生き残りのテリウス達がいたとしてもそれでも数えるほどだろう?」

「……返す言葉もないわ」

「二つ目、圧倒的な情報量不足。二年前の案内人、冒険者のほとんどが犠牲になった前回の大規模侵攻で、その都度の戦況などを記した情報が明らかに不十分だ、ここからどんな作戦を練ったところで所詮は人間の考えた作戦。魔王軍は想像を軽く超えてくるはずだ」

「えぇ。それで三つめは?」

「一番簡単な話だ。なぜ参謀として前回失敗しているあんたらがまた作戦を練っている」

「ケビン!?」

「……いいえ。ナヴィさん。ケビンさんの言っていることはごもっともだわ」

「なぁ、スーザンさん。今作戦を練っているところと言っていたがその作戦は本当に大丈夫なのか?」

「……正直練っている私たちも心配じゃないと言ったら嘘になるわ、けど、私たちもこの二年で何もしていなかったわけではない」

「ほう。というと」

「ケビンさん。今のあなたには多分この概要を話しても私たちのことは信用しきれないと思う。確かに私たちは前回の作戦で失敗していた」
「けど、次にこの作戦を成功するものに昇華させるのはあなた達だと私は思っているわ」

「……どういうことだ」

「さっきの言い方では語弊があったわ。私たちは作戦を立てている段階というよりかは作戦に幅を持たせるための材料を集めている。あなた達がその場に立ってくれた時に持っているカードを少しでも増やすためにね」

「……は?」

「スーザンさん。それってもしかして本当にあたし達に……」

「えぇ。今回の大規模侵攻の作戦の立案はあなた達に任せたいと思ってるわ」

「「「!?」」」

「そ、そんな!」

「あたしたちにそんなことは……」

「えぇ、だからこの計画は今すぐにではないわ、あなた達が公認の案内人として活動していく今日から、その日までの間、私たちはあなた達に全力でサポートしていくわ」


「なぜあたしたちにそこまでして……」

「それは! ……今は言えないわ」

 スーザンは一度開こうとしていた口をゆっくりと紡いだ。

「そうですか……」

 そこからまた不穏な静寂が執務室に数分流れる。


「なるほど、スーザンさん。あんたが色々考えていることはよくわかった」

「ケビンさん!」

「だがこの話は今は引き受けることはできない」

「……そうですよね」

「だが公認になった恩恵はさっきの話通り受けさせてもらう」

「もちろんです」

「とにかくあんたらもそうだが俺ら三人がそうなるにしても実力としてはまだまだ不十分だ。その二回目の大規模侵攻ががいつになるかは知ったこっちゃないが、高みを目指すことには変わらない。この返答は次回に持ち越させてもらう」

「……なるほど。分かりました。そもそもルナさんにもナヴィさんにもこの段階で聞くのはまだ早かったですね」

「その通りだ、俺にすら勝てないこの二人が何で俺よりも先に返答している」

「ケビンあ、ん、た、わー!」

「まぁまぁ、ナヴィさん。今はケビンさんの言っていることが正しいと思います」

「ふふ。そうですね」
「では改めまして、ルナさん、ナヴィさん。そしてケビンさん。あなたたちを本日から王都公認の案内人として任命します。勤勉を怠らず、立派に職務を全うするように!」

「「はい!」」
「ふん」

「そしてゆくゆくは『アドバイザー』そして『スーパーアドバイザー』に……。そのためにも我々本部の職員が全力でサポートさせていただきます!」


「「はい。よろしくお願いいたします!」」
「……」

「「失礼しました!」」
「……」


 退出したところでルナとナヴィはため込んでいた息を一気に吐いた。

「ぷはー!!」

「はぁ、わたくし心臓飛び出るかと思いました……」

 膝から崩れ落ちるルナ。

「……? なんでお前らがそんな疲れ切った顔してんだよ」

「……」

「ケビンさん……今のは流石にケビンさんが」

「あんたが……」

 ケビンの前に立ち身体をプルプルと震わせ、ぼそぼそと喋るナヴィ。

「は、何か言ったか?」

「あんたがそうさせたんでしょー! このあほー!!」
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