村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十一章 王都公認案内人 ナヴィ・マクレガン編

164.金の卵

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「「失礼します」」

「スーザンさん! リタとセクト連れてきたのです!」

「ご苦労様、アミス」

 秘書室には三人の『ガイド』が並んだ。

「あの、スーザンさん急にどうなされたのですか?」

「やぁリタ、今日もその犬耳が可愛いわね」

 スーザンはリタの頭をわしわしと撫でる。

「いや、脈絡がおかしいし仕事中だったのですが……それに犬じゃなくて狼です!」

「そ、そうですよ、ぼ、僕も待たせてる冒険者の方がいるんですが……」

「セクト、そんな悲しいこと言わないで、せっかく愛しのスーザンさんが呼んであげたっていうのに。相変わらずその姿だと恥ずかしがり屋なエルフ君ね」

 セクトの胸につんつんと指をあてた。

「もう、からかわないでください!」

 目を瞑り腕をぶんと大きく振るうセクト。

「おっと、そんな力強く払わないでよもう。悲しいなぁ」

「あ、ごめ、ごめんなさい」


「スーザンさんスーザンさん!」

「アミス?」

「早くさっきの話の続きしてほしいのです!」 

「あぁ、そうだったわね。三人がガイドになって話す機会もめっきり減っちゃったからなんだか嬉しくてね」

「この部屋では『先生』の方がいいでしょうか?」

「そうね、リタ。使い分けができるならそうしてほしいものわ。スーザンさんだと心の距離を感じるし」

「あはは、アミスは別にそんなことないのですよ『先生』!」

「ぼ、僕だって! 『先生』!」

「ふふ。さて、まぁみんなのことはまた後でゆっくり聞くとして」

 スーザンの声のトーンが変わり、奥にある椅子にゆっくりと座った。


「やっと話すのですね。ワクワクなのです!」
「うーんなんかいやな匂いがします、王都の匂いじゃない何かが」
「先生、その机の下に隠してる手紙って何?」

「まったく、この三人には隠し事はできないわね」

 スーザンは机の下から二通の手紙を出した。そしてアミスはその横に三通目のナヴィの手紙を渡す。

「先生。すみません。興奮しすぎてさっき持ち出してしまったのです! これで三通なのです!」

「ん、ありがとうアミス」

「て、手紙……ですか? ほ、本部宛ではなく先生宛に?」

「アミスの様子を見ているに私たちに何か良い報告が書かれている手紙なのでしょうか?」

「んーまぁそうね、良い報告とも取れるし、悪い報告とも取れるかも……ね」

 三通の手紙を眺めながらにやりと笑うスーザン。

「せ、先生もしかしてその笑みは……」

「ぼ、ぼく仕事に戻ります!」

<ロック>

 セクトはスーザンに背中を向け秘書室を出ようとしたが、スーザンの魔法により扉に鍵を掛けられた。

「あらあら、何をしているのセクト」

「う、うぅ。やられたぁ」

「はぁ、諦めなさいセクト。こうなった先生に私たちは勝ち目無いんだから」

「え? 二人ともどうしたのです? まだ悪い話とはひとこともいってないのですよ?」

「うぅ、まぁ確かに……」

「もう大丈夫です。先生。お願いします」

「さすが、リタ。飲み込みの早さはやっぱりあなたが一番ね!」

「飲み込んでません。諦めただけです」

「さすがリタなのです! 先生に負けてないのです!」

「こら! アミス。抱き着かないでください!」

「僕は、僕はこれからどうなってしまうのか……」

「セクトもいつまでも扉の前でしょぼんとしない!」

 ふふ、やっぱりあの三人を見ているみたいね。

「じゃあ話すわね。では改めて」

「王都案内所本部第一部署所属。ガイド リタ・グライス」

「はい」

「王都案内所本部第二部署所属。ガイド セクト・シフル」

「……は、はい」

「王都案内所本部第三部署所属。ガイド アミス・レイバン」

「はいなのです!」


「これからあなた達にはここではない別の案内所で働いてもらいます!」

「「え……」」

「やったー!! ってあれ?」

「「……」」

 両手を上に上げて喜ぶアミス、そしてその横では驚いて固まっているセクトとリタ。

「まぁ、アミスは置いといてそんな反応にはなるよね……」


「あ、あの……私たちは左遷ということでしょうか?」

「僕たちが若くて仕事も全然できない使い物だから王都じゃない別の案内所に飛ばされるんだ! 窓際族なんだ! うわーん」

「まぁまぁ、二人とも落ち着くのです!」

「アミス、あなたは落ち着きすぎよ! せっかくガイドになって同行も少しずつ増えて常連も作れてきてるのにこのタイミングなんて……」

「僕なんかほんとつい一週間前にガイドになったばっかりなのに……」

「大丈夫だよセクト! アミスも一年前になったし全然遅くないよ!」

「いや全然違うわ! ぐすっ。もーなんでこんなタイミングに……」


「もう……相変わらず三人揃うと一言話すとこの騒ぎだわ……まぁそれが可愛いんだけどね」

 とはいえ一週間前にガイドになったセクトでも相当早いわ。

「それで先生。私たちが働くその案内所とはどこなのでしょう?」

「それも大事なんだけどそれよりも先に趣旨を説明させて」
「まずあなた達をここから送り出すのはあなた達のためによ」

「アミスたちのためなのです……?」

「あなた達つい最近の『王都公認案内人適性試験』は覚えているかしら?」

「それはもちろん……」

「僕も……コロシアムまで見に行ったし」

「じゃあ試験に合格した『天才上級ガイドの三人』を知っているわね?」

「え、えぇそれはもう。私たちの憧れの方たちです」

「さ、三人とも凄かった……!」

「うーナヴィさーん!」

「アミスは本当にナヴィさんのこと好きね」

「……先生。私たちが行く案内所ってもしかして……」

「え…リ、リタ?」

 勘づいたリタ、動揺するセクト、高揚した気持ちが止まらないアミス。三者三様の様子を見たスーザンは一度大きく息を吐いた。

「ふー。よし、あえてこういう言い方するわ!」
「さぁ、私の育てた『金の卵』ども! 天才達の下でしごかれてこい!!」
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