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第十二章 ナヴィとグローリア案内所
214.姉妹の亀裂
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「朝……」
外で鳴いている小鳥の鳴き声で目を覚ましたレミア。
窓の外を眺めていると部屋を二回ノックする音が聞こえた。
「レミア、入るわよ」
「ナヴィさん、どうぞ」
「お邪魔しまーす。どう? 怪我の調子は」
元気になった私に笑顔で話しかけてくれるナヴィさん。だけど……。
「ありがとうございます……おかげさまで昨日もあれだけやられたのに一日で回復しました」
「いやね、昨日は本当にすごかったんだよ。もう死ぬんじゃないかってレベルで体痛めつけられてたわよ」
「あ、やっぱりそうでしたよね」
姉さまの昨日の攻撃はいつも以上に激しかった。多分ナヴィさんとあの話をするために私の治療を長引かせようとしてたんですね。
とは言っても最後自爆特攻したのは私ですが。
「あの……姉さまは?」
「まだ眠ってるよ」
「え……?」
仕事の時の姉さまは誰よりも早く起きて下準備をするのに……。
もちろんぐうたれることはあるけど、それはあくまで最初からそうしようとしていた時だけの話。
「もう聞いてよレミア、昨日の夜さぁレミアがご飯作れないぐらい重傷だからあたしが作れって言うんだよ、まぁそれは別にいいんだけどさなんかあたしの村の料理を作ろうとしたら馬鹿にされるし量も少ないって言われるしひどいと思わない? それに料理ができた時だってあたしの手伝いもせずに寝ててずっと起きなくてさ。それであたしがヴィオネさんの部屋に行って起こしたらなんかめっちゃ怒られるしさ、ひどいと思わない?」
ナヴィさん、そんな額に汗かいて苦笑いしながらしゃべってると、何か隠してるんじゃないかって疑っちゃいますよ。
いつもはそんなに饒舌な感じじゃないのに。
あれ、今そういえば……。
「あのナヴィさん」
「それでヴィオネさんがね……ん? どうかした?」
「姉さまの部屋に入ったって言いました?」
「え、えぇそうだけど、そんな食いつくところ?」
「はい、私姉さまの部屋には小さいころ一度入ったっきりで、そこからは入るなって」
「あ、そうなんだ……あたしが見た感じそんなに見せたくないようなものは別になかったけどなぁ」
「あの、ナヴィさん。姉さまのゴミ箱の中とかって目に入りました?」
まさかそんなはずはないとは思いますが……。
「え? あぁ、箱ではなかったけど、ゴミ袋の中は……」
「何か入ってませんでしたか!? ナヴィさんが見たことがないようなもの! うわっ」
「うわ、ちょ、大丈夫? いきなり立とうとすると転ぶわよ。落ち着いて」
「すみません。それで中には」
「おーいてめーら! いつまでくっちゃべってんだ!!」
「姉さま!」
「ヴィオネさん。おはようございます。またいつもいいところで現れますね。まるで話を聞いてるみたいに」
「うるせぇ。腹が減ったんだよ。レミア、起きたか?」
姉さま……いつもと変わらない表情で。
「……はい」
「……そうか、昨日はすまなかったな。やりすぎた」
「いえ、私は別に……あ、すぐに料理作りますね」
「レミア、朝はあたしが作るわ。今はあまり身体を動かさない方が!」
ナヴィは体を起こそうとするレミアの上半身を手で抑えた。
「いえ、大丈夫です。ナヴィさんの回復魔法のおかげでもう体の調子はばっちりですから」
レミアはナヴィの手をゆっくりと体から離し、一階へと向かった。
「おい、レミア……」
「姉さまはその乱れた髪の毛をどうにかしてから下に来てくださいね」
部屋の入り口にいたヴィオネットを他人かのように通り過ぎるレミア。
「レミア……」
「ヴィオネさん。やっぱり聞かれていたんじゃ……」
「そう……かもな」
部屋に残された二人に数分の沈黙が続いた。
「ふぅ。まぁ何とかなるだろ」
「いや、軽いですねヴィオネさん」
「気楽にやってかねぇとやってらんねぇよ」
「でもそれだけじゃ……」
「分かってる……俺が何とかしてやる……」
ヴィオネさん。あなたの気持ち、同じ妹を持つ身として痛いほどわかるけど……。
その後いつもの通り、あたし達三人で朝食を取った。
けどいつも通りだったのはあたし達の席の位置と並べられた料理の配置だけ。
聞こえる音はスープをすくう時の皿に当たるスプーンの音、パンをちぎり口に運ぶときにわずかに出る吐息、咀嚼するときの上下の歯を押し付けあう音。
普段気にしたこともない情報が雪崩のように流れてくる。
そのくらいいつもの朝食が無意味で、無音で、無機質なものへと変わっていってしまった。
というのも、いつもヴィオネさんから始まるあたしのいじり、それに乗るあたし、それを擁護するレミア。いつもはこんな感じだったけど。
ヴィオネさんが何も言わなければこの会話は始まらない。
「……」
「ご馳走様でした」
「レミア、早いなちゃんと食わねーと仕事できねーぞ」
ヴィオネットはレミアの残飯を見て心配そうな声で話しかけた。
「……大丈夫です。あまり食欲がなくて」
「レミア、もしあれなら今日はあたしがレミアの仕事を……」
「だから大丈夫です!!」
「「!?」」
静寂な食卓にレミアの怒鳴り声が鳴り響いた。
「……そうか」
「え? ヴィオネさん?」
「さ、ナヴィ。俺達も準備しようか……」
ヴィオネさん……そんな悲しそうな顔で微笑みかけないでください。
その後開店までの準備の時間、あたしを含めて誰一人として喋ることはなかった。
外で鳴いている小鳥の鳴き声で目を覚ましたレミア。
窓の外を眺めていると部屋を二回ノックする音が聞こえた。
「レミア、入るわよ」
「ナヴィさん、どうぞ」
「お邪魔しまーす。どう? 怪我の調子は」
元気になった私に笑顔で話しかけてくれるナヴィさん。だけど……。
「ありがとうございます……おかげさまで昨日もあれだけやられたのに一日で回復しました」
「いやね、昨日は本当にすごかったんだよ。もう死ぬんじゃないかってレベルで体痛めつけられてたわよ」
「あ、やっぱりそうでしたよね」
姉さまの昨日の攻撃はいつも以上に激しかった。多分ナヴィさんとあの話をするために私の治療を長引かせようとしてたんですね。
とは言っても最後自爆特攻したのは私ですが。
「あの……姉さまは?」
「まだ眠ってるよ」
「え……?」
仕事の時の姉さまは誰よりも早く起きて下準備をするのに……。
もちろんぐうたれることはあるけど、それはあくまで最初からそうしようとしていた時だけの話。
「もう聞いてよレミア、昨日の夜さぁレミアがご飯作れないぐらい重傷だからあたしが作れって言うんだよ、まぁそれは別にいいんだけどさなんかあたしの村の料理を作ろうとしたら馬鹿にされるし量も少ないって言われるしひどいと思わない? それに料理ができた時だってあたしの手伝いもせずに寝ててずっと起きなくてさ。それであたしがヴィオネさんの部屋に行って起こしたらなんかめっちゃ怒られるしさ、ひどいと思わない?」
ナヴィさん、そんな額に汗かいて苦笑いしながらしゃべってると、何か隠してるんじゃないかって疑っちゃいますよ。
いつもはそんなに饒舌な感じじゃないのに。
あれ、今そういえば……。
「あのナヴィさん」
「それでヴィオネさんがね……ん? どうかした?」
「姉さまの部屋に入ったって言いました?」
「え、えぇそうだけど、そんな食いつくところ?」
「はい、私姉さまの部屋には小さいころ一度入ったっきりで、そこからは入るなって」
「あ、そうなんだ……あたしが見た感じそんなに見せたくないようなものは別になかったけどなぁ」
「あの、ナヴィさん。姉さまのゴミ箱の中とかって目に入りました?」
まさかそんなはずはないとは思いますが……。
「え? あぁ、箱ではなかったけど、ゴミ袋の中は……」
「何か入ってませんでしたか!? ナヴィさんが見たことがないようなもの! うわっ」
「うわ、ちょ、大丈夫? いきなり立とうとすると転ぶわよ。落ち着いて」
「すみません。それで中には」
「おーいてめーら! いつまでくっちゃべってんだ!!」
「姉さま!」
「ヴィオネさん。おはようございます。またいつもいいところで現れますね。まるで話を聞いてるみたいに」
「うるせぇ。腹が減ったんだよ。レミア、起きたか?」
姉さま……いつもと変わらない表情で。
「……はい」
「……そうか、昨日はすまなかったな。やりすぎた」
「いえ、私は別に……あ、すぐに料理作りますね」
「レミア、朝はあたしが作るわ。今はあまり身体を動かさない方が!」
ナヴィは体を起こそうとするレミアの上半身を手で抑えた。
「いえ、大丈夫です。ナヴィさんの回復魔法のおかげでもう体の調子はばっちりですから」
レミアはナヴィの手をゆっくりと体から離し、一階へと向かった。
「おい、レミア……」
「姉さまはその乱れた髪の毛をどうにかしてから下に来てくださいね」
部屋の入り口にいたヴィオネットを他人かのように通り過ぎるレミア。
「レミア……」
「ヴィオネさん。やっぱり聞かれていたんじゃ……」
「そう……かもな」
部屋に残された二人に数分の沈黙が続いた。
「ふぅ。まぁ何とかなるだろ」
「いや、軽いですねヴィオネさん」
「気楽にやってかねぇとやってらんねぇよ」
「でもそれだけじゃ……」
「分かってる……俺が何とかしてやる……」
ヴィオネさん。あなたの気持ち、同じ妹を持つ身として痛いほどわかるけど……。
その後いつもの通り、あたし達三人で朝食を取った。
けどいつも通りだったのはあたし達の席の位置と並べられた料理の配置だけ。
聞こえる音はスープをすくう時の皿に当たるスプーンの音、パンをちぎり口に運ぶときにわずかに出る吐息、咀嚼するときの上下の歯を押し付けあう音。
普段気にしたこともない情報が雪崩のように流れてくる。
そのくらいいつもの朝食が無意味で、無音で、無機質なものへと変わっていってしまった。
というのも、いつもヴィオネさんから始まるあたしのいじり、それに乗るあたし、それを擁護するレミア。いつもはこんな感じだったけど。
ヴィオネさんが何も言わなければこの会話は始まらない。
「……」
「ご馳走様でした」
「レミア、早いなちゃんと食わねーと仕事できねーぞ」
ヴィオネットはレミアの残飯を見て心配そうな声で話しかけた。
「……大丈夫です。あまり食欲がなくて」
「レミア、もしあれなら今日はあたしがレミアの仕事を……」
「だから大丈夫です!!」
「「!?」」
静寂な食卓にレミアの怒鳴り声が鳴り響いた。
「……そうか」
「え? ヴィオネさん?」
「さ、ナヴィ。俺達も準備しようか……」
ヴィオネさん……そんな悲しそうな顔で微笑みかけないでください。
その後開店までの準備の時間、あたしを含めて誰一人として喋ることはなかった。
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