村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十三章 ブラッディフェスト 序章

257.四つ目

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「ちょっと遅かったな。レミア。お前の姉は死んだぞ」



「ディノリア……さん?」



「あの人が写真の……」



 レミア達の視線の先にはディノリアの右手で首根っこを掴まれたヴィオネットがいた。



「姉さま……姉さまぁぁぁぁぁ!」

「うそ……ヴィオネさん……」

「ヴィオネットさん……」



 ナヴィや同行した冒険者もヴィオネットの想像もしなかった姿に唖然とする。



「はぁ、はぁ。まさか、ここまで俺を追い詰めるとはな……」



「姉さま! 今助けに行きます!!」



「ちょ! レミア!?」



 レミアはバーサーク状態になるための魔力を練りながらディノールの元へと走っていこうとした瞬間。



「……レミア、来るんじゃねぇ!!」



「姉さま!?」



 その言葉で足を止めるレミア。



「ふん。まだ生きていたのかヴィオネット。しぶといんだな」



「ディノリア……お前もしかして……」



 ヴィオネットがディノールにしか聞こえないほどの声量で何かを言い放つと、目を見開きヴィオネットを投げ飛ばす。



「がはっ……げほっ、げほっ」



「はぁ、はぁ、ふざけたことを言うな。ヴィオネット。俺は。お前を、そしてこのデンバード山脈にいる全ての人間を殺しに来ただけだ。それ以外にない」



「はぁ、はぁ。ほざいてろ。だがその様子だと、俺の言っていたことはあながち間違いじゃねぇみたいだな」



「姉さま!」

「ヴィオネさん!」

「ヴィオネットさん」



 二人の様子を見ていたナヴィ達が加勢しようとヴィオネットの元に近づく。



「来るなぁ!!」



 再度声を荒げナヴィ達の加勢を止めるヴィオネット。



「姉さま! 今私たちが加勢すればディノリアさんを倒せます!!」



「必要ない。こいつは俺がやらなきゃダメなんだ」



「ヴィオネさん! そんなこと言ってる場合じゃ」



「いいから下がってろ!!」



 部屋中にヴィオネットの怒鳴り声が響き渡った。



「「「!?」」」



 ヴィオネットは背後を警戒しつつゆっくりとレミア達の方に振り返る。



「過信をしているつもりはねぇし、お前らの力を疑っているわけでも、足手まといになるとも思ってねぇ」



「ヴィオネさん……でもヴィオネさんがここまでやってくれたらあたし達で一気に」



「そうじゃねぇ」



「え……」



 あぁ。こういう時に気の利いた一言でも言ってられるような語彙力を持ち合わせてりゃ良かったなぁ。



「ふぅ。ナヴィ。レミア」



「「?」」



「俺の背中。よく見とけ」



 口角を上げ、柔らかい表情を二人に見せたヴィオネット。



 そこからすぐにディノールの方に視線を向け、再度戦闘態勢に入る。



「何を話していたんだヴィオネット」



「あぁ、大したことは話してねぇ。ただ俺の背中をよく見とけってな」



「……死ぬ覚悟ができたのか」



「んなわけねぇだろ。てめぇをぶっ飛ばす俺の姿を見とけって言ったんだよ」



「だが、さっきまでの戦闘でもうわかっただろう。いくらお前がアナザーフォームになったとしても俺には敵わない」



「かもな」



「ではこの戦闘に意味はもうないだろ」



「……さっきまでの戦闘とここからの戦闘は訳が違う」



「何……?」



「お前を倒す。この目的は変わらない。だが何のために戦うかは変わった」



「……?」



「俺は案内人だ。だから俺はお前を倒すためにお前と戦うんじゃない。後ろにいる奴らを守るためにお前と戦うんだ!!」



 ヴィオネットがそう言い放つと瀕死の状態だった体の内側から大量の魔力が漏れ出した。



「くっ。魔力が……漏れ出している!? ん!?」



 ヴィオネットの胸元にある三つのタトゥーが光始めた。



「まさか……」



 ヴィオネットの胸元に四つ目のタトゥーが浮き上がってきた。



 ディノールはヴィオネットの胸元に増えたタトゥーを見て目を見開く。





 その様子を後ろから見ていたナヴィとレミア。



「ねぇ、なんかヴィオネさんの魔力。すごい勢いで跳ね上がってるよね? というか、漏れ出してる?」



「はい。私も見たことがありません。あんな状態の姉さまを。しかし」



「……?」



「あれだけ瀕死の状態だった姉さまが自力で立ち上がり、魔力が増大している現状。考えられるのは一つしかありません……」



「……一つ?」



「はい。冒険者としての道を辿ることができない案内人。しかし、そんな案内人達でも希望を持ち誰もがその頂に憧れを抱く。唯一無二の存在ともいえる案内人の最高峰」



「この魔力の波長は……おじいちゃんと……似てる?」



「伝説の案内人。トニー・マクレガン。その横に並び立つことのできる存在の証」



 その存在がまさか私の姉さまだなんて……。



「つまり今のヴィオネさんは」



 レミアのその言葉で期待に胸を膨らませたナヴィ。



「はい。間違いありません。今の姉さまは。スーパーアドバイザー。『奇龍』ヴィオネット・グローリア」



「凄い覇気……」







「まさか、このタイミングでスーパーアドバイザーになるとはな」



「そうみたいだな。それに比べいつまでたってもお前のタトゥー二つのまんまだぜ」



「……そんなことは強さとは関係ない。ただの肩書だ」



「あぁその通りだ。だが、これでようやく戦える」



「どういうことだ」



「ふん。お前は知らないのか、ディノリア」



「……」



「なら体感させてやる。スーパーアドバイザーの強さを!!」
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