『偽りの血筋が溢れる世界で、ただ一人の君を見つけ出す 〜捨てられた公爵家の猫は騎士団長に溺愛されて逃げられません〜』

高瀬あい

文字の大きさ
15 / 16
2章 猫の縄張りは案外広く、世間は意外と狭いもの

13話

しおりを挟む
(つ、疲れた………!!)
やたらと情報量の多い時間を過ごした後、結局私とレオは、エリー様が職務を終えるまでの間、護衛として残されたジャックと別室で待機することに。
(あの男………私を令嬢だと疑ってる割には完全に猫扱いしてくれたわね)
こんなこともあろうかと思いまして!と、満面の笑顔で猫用の玩具(羽や紐がついた棒)を取り出し、レオに差し出したジャック。
無邪気に目を輝かせたレオを相手に、とてもではないが無視をすることなど出来ずーー。

「リリ様~?もうお疲れですか?流石に運動不足では?」
「シャー!!!」
(うっさいわー!!)

ゼェゼェと息を吐きつつ、敷物のようにぺたりと絨毯にへばりつく白い毛皮……。
野生の環境下にあった時と比べ、現在明らかに運動量が落ちているのは事実。
美味しいご飯に豊富な魔力、快適な衣食住とは人も獣も駄目にするものだ。
(こ、こんなはずでは…!!)
猫としての本能がぐぬぬっ…と唸りを上げているが、正直もう前足一本動かしたくない。
「あらま、レオ様もすっかり眠っちゃいましたね」
散々部屋の中を駆け回った成果、気づけばレオはソファの上ですやすやと安らかな寝息をたてていた。
できることなら私も同じように眠ってしまいたいとは思うものの、腹の底を見せないこの男を相手に無防備になるのはできるだけ避けたい。
危害を加えてくるようなことはありえないと断言できるが、信用できるかといえばそもはまた別の話だ。
「二人っきりですね~リリ様。
せっかくですし、ちょっとお話しませんか?」
「にゃ!」
「え?お断り?ひどいな~。
俺はただ、リリ様に一言お礼を言いたいと思っただけなんですけど」
「にゃ?」
(お礼?)
「そうです。
………団長が患っていた魔力異常の治療をしてくれたのはリリ様ですよね?」
「!」

まさか、そこにまで気がついていたとは驚いた。

「気づかないわけないじゃないですか。
元々底なしの魔力をもってた団長ですけど、ここ最近は絶好調に磨きがかかってまぁ。お陰で団員たちは訓練の度に半死半生になってますが…」

それはいいとして、と。

「団長が患っていた魔力異常は、フォレスティア家の遺伝性疾患として一部では有名な話です。莫大な魔力を持つ代わりにじわじわとその魔力が体内から漏れ出していき、いずれはその人間を深い狂気に駆り立てる。………聞いたことありません?王を慕うあまり、玉座から王を奪い取ったとされる衛騎士の話」

あれこそがまさにフォレスティア家の狂気です、といい笑顔で言い切るジャックに、私は完全に沈黙した。

(狂気って………狂気ってそういうこと!?)

「うちの団長は辺境伯家の歴史の中でも1.2を争う魔力量だそうで、同率首位を争ってるのがその問題の人物です。
………これは余談ですが、例の騎士が王に執着した理由はその辺りにもあったようで。
聖獣様に魔力異常を治す能力があるのだとしたら、自らの命綱となる相手を手放したくないと思うのは人として当然の事ですから」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...