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第3章 ギャハハ、お前らも俺と同じ所まで堕ちてきやがれ!
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「行くわよ! スカーレット!」
申し込みから数日後の近所の広場。
ヴィオレは魔法で石を浮遊させ操っていた。
「やあ! たあ!」
石の軌道を読んで、スカーレットは木剣で叩き落とす。
落ちた石をヴィオレは再び浮遊させ、スカーレット目掛けて、あてにいく。
◇
「ねえ、これって効果があると思う?」
自信無さそうに、ヴィオレが話しかけてきた。
「アタシはあると思うな」
スカーレットは笑顔で返す。
本当は効果があるなんて思っていない。
実際のところスカーレットもちゃんと剣を習ったことはないので、どんな練習をすれば良いのか分からないのだ。
しかし、自身の勉強を中断してまで、付き合ってくれているヴィオレにそんな事は言えない。
どうすれば良いのか悩みながら休憩している時、不快なものが目に入ってきた。
「コケッコー」
「ハハハ。もっとデケエ声で鳴け!」
「コケッコー!」
「ハハハ、情けねえ奴、俺だったら死んでるよ」
「おい、鶏、次はこの虫を食え」
スカーレット達と同じ年くらいの3人の男の子が、さらに小さい男の子を取り囲んでいじめている。
「ちょっと止めてくるね」
「ワタシもいく」
スカーレットは走った。
ヴィオレもそれに続く。
「嫌だ。やめて」
「良いからさっさとく……」
スカーレットは躊躇なく真後ろから、木剣で後頭部を殴打した。
殴打された男の子は、意識を失いその場に倒れ込む。
「てめえいきなりなに……」
ヴィオレが少し離れた位置からステッキを構えて水流を放つ。
水流にあたった男の子は、遠くに飛ばされた。
「なんだお前らは!? 不意打ちとか、卑怯だぞ!」
リーダーっぽい男の子が、顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。
「うるさいわいね! やられる方が悪いのよ!」
「ワタシたちは女の子だから、良いのよ」
「くそお、俺のパパは王室御用達の商人だぞ。こんな事をして良いと思っているのか?」
ヴィオレが意地汚そうに笑いながら、耳打ちをしてきた。
「聞いた、こいつ金持ちのボンボンみたいよ」
スカーレットもニヤニヤしながら返答する。
「うん、締めあげるついでに、お小遣い貰おう♪」
「調子に乗りやがって!」
ボンボンは、腰に差してある剣を抜いた。
「こんなものを出すなんて、どうなるか分かってるの?」
「俺のパパは金持ちだから、なにをやっても許されるんだ。覚悟しろ!」
ボンボンが斬りかかってきた。
だが、スカーレットは臆することなく、木剣を剣身に叩きつける。
剣は鈍い音を立てて折れた。
「な!」
思いっきり叩きつけたせいで、木剣にも大きなひびが入る。
だが、お構いなしに、そのまま額に叩きつけた。
折れた木剣が宙を舞う。
「い、痛い! 痛いよう! 痛いよう!」
ボンボンが倒れて、泣き叫び始めた。
スカーレットは、泣き叫ぶボンボンの懐を漁る。
「ひいい! 痛いよう! 助けてええパパぁ! おい何してんだ?」
「見てわかんないの? 財布を貰うのよ」
「ふざけるな! 俺にそんな事するとパパが……」
「3人も男がいて、刃物まで出したのに、女の子にやられて、財布も盗られました。って、言うの?」
「うわ! 男のくせにだっさあ! でも面白いから言ってよ」
「ちくしょう、覚えてろ! うわあああん!」
ボンボンは、大きな泣き声をあげて走り去った。
「っち。たいして入ってないわね」
「倒れてる奴らからも、頂きましょ」
当然のように財布漁りを続行した2人は、父親の悪い影響を受け始めていることに、気付いていなかった。
申し込みから数日後の近所の広場。
ヴィオレは魔法で石を浮遊させ操っていた。
「やあ! たあ!」
石の軌道を読んで、スカーレットは木剣で叩き落とす。
落ちた石をヴィオレは再び浮遊させ、スカーレット目掛けて、あてにいく。
◇
「ねえ、これって効果があると思う?」
自信無さそうに、ヴィオレが話しかけてきた。
「アタシはあると思うな」
スカーレットは笑顔で返す。
本当は効果があるなんて思っていない。
実際のところスカーレットもちゃんと剣を習ったことはないので、どんな練習をすれば良いのか分からないのだ。
しかし、自身の勉強を中断してまで、付き合ってくれているヴィオレにそんな事は言えない。
どうすれば良いのか悩みながら休憩している時、不快なものが目に入ってきた。
「コケッコー」
「ハハハ。もっとデケエ声で鳴け!」
「コケッコー!」
「ハハハ、情けねえ奴、俺だったら死んでるよ」
「おい、鶏、次はこの虫を食え」
スカーレット達と同じ年くらいの3人の男の子が、さらに小さい男の子を取り囲んでいじめている。
「ちょっと止めてくるね」
「ワタシもいく」
スカーレットは走った。
ヴィオレもそれに続く。
「嫌だ。やめて」
「良いからさっさとく……」
スカーレットは躊躇なく真後ろから、木剣で後頭部を殴打した。
殴打された男の子は、意識を失いその場に倒れ込む。
「てめえいきなりなに……」
ヴィオレが少し離れた位置からステッキを構えて水流を放つ。
水流にあたった男の子は、遠くに飛ばされた。
「なんだお前らは!? 不意打ちとか、卑怯だぞ!」
リーダーっぽい男の子が、顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。
「うるさいわいね! やられる方が悪いのよ!」
「ワタシたちは女の子だから、良いのよ」
「くそお、俺のパパは王室御用達の商人だぞ。こんな事をして良いと思っているのか?」
ヴィオレが意地汚そうに笑いながら、耳打ちをしてきた。
「聞いた、こいつ金持ちのボンボンみたいよ」
スカーレットもニヤニヤしながら返答する。
「うん、締めあげるついでに、お小遣い貰おう♪」
「調子に乗りやがって!」
ボンボンは、腰に差してある剣を抜いた。
「こんなものを出すなんて、どうなるか分かってるの?」
「俺のパパは金持ちだから、なにをやっても許されるんだ。覚悟しろ!」
ボンボンが斬りかかってきた。
だが、スカーレットは臆することなく、木剣を剣身に叩きつける。
剣は鈍い音を立てて折れた。
「な!」
思いっきり叩きつけたせいで、木剣にも大きなひびが入る。
だが、お構いなしに、そのまま額に叩きつけた。
折れた木剣が宙を舞う。
「い、痛い! 痛いよう! 痛いよう!」
ボンボンが倒れて、泣き叫び始めた。
スカーレットは、泣き叫ぶボンボンの懐を漁る。
「ひいい! 痛いよう! 助けてええパパぁ! おい何してんだ?」
「見てわかんないの? 財布を貰うのよ」
「ふざけるな! 俺にそんな事するとパパが……」
「3人も男がいて、刃物まで出したのに、女の子にやられて、財布も盗られました。って、言うの?」
「うわ! 男のくせにだっさあ! でも面白いから言ってよ」
「ちくしょう、覚えてろ! うわあああん!」
ボンボンは、大きな泣き声をあげて走り去った。
「っち。たいして入ってないわね」
「倒れてる奴らからも、頂きましょ」
当然のように財布漁りを続行した2人は、父親の悪い影響を受け始めていることに、気付いていなかった。
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