3 / 328
第一章
第1話 新たな道
しおりを挟む
次の日から俺は素振りや筋トレなどの剣士としての基礎練習をして、残った時間は魔法の練習をした。
そしてギルドが空く昼過ぎに受付嬢のベティさんにパーティの様子を聞きに行っていた。
しかし、いくら待てども様子はそのままらしく、残った二人も精神的に参ってきているらしい。
おまけにパーティメンバーの募集まで始めてしまってジャンは残る気満々だということだ。確かに今のままでは討伐は厳しいというのは分かるが、ずっと同じ面子でやってきた身としては複雑な気分だ。
募集の話になったときにマリーは反論したらしいが、エミルは立場上強く言えず結局する流れに至ったそうな。
「私、もう無理。パーティ抜ける」
パーティを抜けてから十日が過ぎようとした頃、マリーから宿屋に伝言があった。俺がいない間に、これだけ言って帰ったそうだ。
ギルドに詳しい事情を聞きに行くと、マリーがもう限界だと言ってパーティを抜けて、エミルも一人はさすがに無理だと言ってパーティを抜けたらしい。
ジャンが止めようとしたらしいが、マリーの顔を見て動けなくなってしまったとか。
そういえばマリーは怒ると普段から想像できないくらい顔が怖くなるんだった。まるでオーガみたいに。
パーティは解散になったらしいが、これからどうしようか。五年間組んでいたパーティがなくなるのは名残惜しいが、正直なところ、また同じメンバーで組みなおせばいいかと思っている。
しかし、仮に組みなおすとしても今は無理だ。ジャンをパーティに一人置いてきた訳だし。
しばらくは一人で行動することになるな。
言伝を聞いた後、宿屋の食堂で夕食をとっていると、掲示板にあるチラシの一枚が目に入った。
「『魔法剣道場で君も最強の魔法剣士になろう!』……か」
この手のチラシは腐るほどある。騎士になろうだとか盾使いになろうだとか。ただ魔法剣士の勧誘は珍しく、少し気になった。
魔法剣士は数が少ない。それは育成の場がないからだ。
数が少ないから一人あたりの育成費用が高くなってしまう。だから育成する場所が作れない。場所がないから数は増えない。このループに陥ってしまっている。
ではこのチラシの道場は誰が作ったのだろうか。チラシを見ていると信じられない名前が目にとまった。
「ロンド!? あのSランク冒険者のロンドさん?」
冒険者のパーティはギルドが定めたFからAのランクに分けられる。しかしたった一人でもAランクパーティより強い、規格外が三人存在する。
剣士のレオン、魔法使いのサラ、魔法剣士のロンド。彼らは俗にSランク冒険者と呼ばれている。
そもそも俺が魔法剣士になったのは、ロンドさんに憧れたからだ。俺がいた孤児院に立ち寄ったロンドさんは剣に魔法を纏わせて見せてくれた。俺はその輝きが忘れられない。
パーティを抜けて自由に行動できるようになった今、このチラシを見つけた。ずっと憧れ続けている冒険者ロンドの開く道場。これは運命かもしれない。
そしてギルドが空く昼過ぎに受付嬢のベティさんにパーティの様子を聞きに行っていた。
しかし、いくら待てども様子はそのままらしく、残った二人も精神的に参ってきているらしい。
おまけにパーティメンバーの募集まで始めてしまってジャンは残る気満々だということだ。確かに今のままでは討伐は厳しいというのは分かるが、ずっと同じ面子でやってきた身としては複雑な気分だ。
募集の話になったときにマリーは反論したらしいが、エミルは立場上強く言えず結局する流れに至ったそうな。
「私、もう無理。パーティ抜ける」
パーティを抜けてから十日が過ぎようとした頃、マリーから宿屋に伝言があった。俺がいない間に、これだけ言って帰ったそうだ。
ギルドに詳しい事情を聞きに行くと、マリーがもう限界だと言ってパーティを抜けて、エミルも一人はさすがに無理だと言ってパーティを抜けたらしい。
ジャンが止めようとしたらしいが、マリーの顔を見て動けなくなってしまったとか。
そういえばマリーは怒ると普段から想像できないくらい顔が怖くなるんだった。まるでオーガみたいに。
パーティは解散になったらしいが、これからどうしようか。五年間組んでいたパーティがなくなるのは名残惜しいが、正直なところ、また同じメンバーで組みなおせばいいかと思っている。
しかし、仮に組みなおすとしても今は無理だ。ジャンをパーティに一人置いてきた訳だし。
しばらくは一人で行動することになるな。
言伝を聞いた後、宿屋の食堂で夕食をとっていると、掲示板にあるチラシの一枚が目に入った。
「『魔法剣道場で君も最強の魔法剣士になろう!』……か」
この手のチラシは腐るほどある。騎士になろうだとか盾使いになろうだとか。ただ魔法剣士の勧誘は珍しく、少し気になった。
魔法剣士は数が少ない。それは育成の場がないからだ。
数が少ないから一人あたりの育成費用が高くなってしまう。だから育成する場所が作れない。場所がないから数は増えない。このループに陥ってしまっている。
ではこのチラシの道場は誰が作ったのだろうか。チラシを見ていると信じられない名前が目にとまった。
「ロンド!? あのSランク冒険者のロンドさん?」
冒険者のパーティはギルドが定めたFからAのランクに分けられる。しかしたった一人でもAランクパーティより強い、規格外が三人存在する。
剣士のレオン、魔法使いのサラ、魔法剣士のロンド。彼らは俗にSランク冒険者と呼ばれている。
そもそも俺が魔法剣士になったのは、ロンドさんに憧れたからだ。俺がいた孤児院に立ち寄ったロンドさんは剣に魔法を纏わせて見せてくれた。俺はその輝きが忘れられない。
パーティを抜けて自由に行動できるようになった今、このチラシを見つけた。ずっと憧れ続けている冒険者ロンドの開く道場。これは運命かもしれない。
10
あなたにおすすめの小説
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。
俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる