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第四章 初めての単独討伐クエスト編
第66話 討伐クエスト 其の六
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道場を出たときにはコルネくんの姿はもうなかったが、焦る必要はない。
ラムハから隣の村ヴィレアに向かう道は一つしかない──つまり、コルネくんが通る道は分かっているのだ。
先にヴィレアまで行って先回りしようと考え、早足で街の出口まで向かう。出口に着いてみると、そこにはコルネくんはおらず、見通しのいいヴィレアへの道を進む人影にも、コルネくんらしきものはなかった。
周りの人に驚かれるかもしれないが、どうせ速すぎて顔など見えないから、僕が街を出ていることが露呈することはないだろう。それよりものろのろと走ってコルネくんに見つかる方が心配だ。
全速力でヴィレアまでひとっ走りだ。
ヴィレアの冒険者ギルド近くに潜んで、コルネくんがギルドから出てくるのを待つ。僕が到着してから時間を置かずにコルネくんも来たから、きっと昨日教えた魔力操作も上手く扱えているのだろう。
コルネくんは何のクエストを受けてくるのだろうか。時間がかかるため、討伐数が多いものはないとして……でもそれは一人で運べないんじゃ……いや、ギリギリ運べないこともないか?
そんなことを考えていると一枚の紙を手にコルネくんがギルドから出てくる。
(何を選んだんだろう……)
受けたクエストの内容を気にしつつ、細心の注意を払いながら尾行を続けていると、その答えはすぐに分かった。
(なるほど、コボルトか)
コボルトは四足歩行のモンスターに比べて背が高いため、見つけやすそうだし、討伐数もきっと一か二だろう。他のクエストの内容は分からないが、かなりいい選択をしたと思う。
見守っていると、コルネくんが雷の魔法剣で素早く斬りこむ。
コボルトが炎と雷に弱いことをちゃんと覚えていて、素材が駄目になってしまわないように雷を選んだようだ。きちんとモンスターの弱い魔法の系統を覚えているみたいで、喜ばしい。
(──尾行していない状態だったら、すぐさま出ていって褒めてあげたいんだけど)
こっそり来ていることが悔やまれる、と思っていると、目の前のコルネくんはなんとコボルトを担ぎ出す。
(運ぶ前に、きちんと死んだか確認しないと……!)
雷の魔法剣は相手が倒れても、気絶しているだけということも多い。ここからだと生きているのかは分からないが、もし運んでいる途中に意識を取り戻すしたならば、無防備なところに攻撃を食らってしまうだろう。
攻撃を食らってしまってからでは遅いのだ。ここで対策を講じなければ──コボルトの息の根を止めるような魔法をここで放てば、確実にバレてしまう。でもここで何もしなかったら手遅れになるかも──
(──これしかない)
半ばパニックに陥った僕は素早く魔法を発動させ、指先から水を射出する。勢いよく出た水はコボルトの頭にめり込み、コボルトがコルネくんの背中からずり落ちる。
針のように細く水を撃ち出すことで、モンスターの皮膚を通すほどの攻撃力が生まれるのだ。これは最近やっと習得した切り札の一つなのだが……こんなことに使う羽目になるとは。
コルネくんは屈んでいたから当たらないと思って撃ったが、当たってしまう可能性を考えると危なかったと後から思った。途中で速度を緩めることは出来るが、万が一のこともある。次からは絶対にやめようと固く誓う。
あたかもずっと道場で待っていたようにするため、ギルドまでコボルトを運ぶのを見届けてから、僕は一足先にラムハへと戻った。
ラムハから隣の村ヴィレアに向かう道は一つしかない──つまり、コルネくんが通る道は分かっているのだ。
先にヴィレアまで行って先回りしようと考え、早足で街の出口まで向かう。出口に着いてみると、そこにはコルネくんはおらず、見通しのいいヴィレアへの道を進む人影にも、コルネくんらしきものはなかった。
周りの人に驚かれるかもしれないが、どうせ速すぎて顔など見えないから、僕が街を出ていることが露呈することはないだろう。それよりものろのろと走ってコルネくんに見つかる方が心配だ。
全速力でヴィレアまでひとっ走りだ。
ヴィレアの冒険者ギルド近くに潜んで、コルネくんがギルドから出てくるのを待つ。僕が到着してから時間を置かずにコルネくんも来たから、きっと昨日教えた魔力操作も上手く扱えているのだろう。
コルネくんは何のクエストを受けてくるのだろうか。時間がかかるため、討伐数が多いものはないとして……でもそれは一人で運べないんじゃ……いや、ギリギリ運べないこともないか?
そんなことを考えていると一枚の紙を手にコルネくんがギルドから出てくる。
(何を選んだんだろう……)
受けたクエストの内容を気にしつつ、細心の注意を払いながら尾行を続けていると、その答えはすぐに分かった。
(なるほど、コボルトか)
コボルトは四足歩行のモンスターに比べて背が高いため、見つけやすそうだし、討伐数もきっと一か二だろう。他のクエストの内容は分からないが、かなりいい選択をしたと思う。
見守っていると、コルネくんが雷の魔法剣で素早く斬りこむ。
コボルトが炎と雷に弱いことをちゃんと覚えていて、素材が駄目になってしまわないように雷を選んだようだ。きちんとモンスターの弱い魔法の系統を覚えているみたいで、喜ばしい。
(──尾行していない状態だったら、すぐさま出ていって褒めてあげたいんだけど)
こっそり来ていることが悔やまれる、と思っていると、目の前のコルネくんはなんとコボルトを担ぎ出す。
(運ぶ前に、きちんと死んだか確認しないと……!)
雷の魔法剣は相手が倒れても、気絶しているだけということも多い。ここからだと生きているのかは分からないが、もし運んでいる途中に意識を取り戻すしたならば、無防備なところに攻撃を食らってしまうだろう。
攻撃を食らってしまってからでは遅いのだ。ここで対策を講じなければ──コボルトの息の根を止めるような魔法をここで放てば、確実にバレてしまう。でもここで何もしなかったら手遅れになるかも──
(──これしかない)
半ばパニックに陥った僕は素早く魔法を発動させ、指先から水を射出する。勢いよく出た水はコボルトの頭にめり込み、コボルトがコルネくんの背中からずり落ちる。
針のように細く水を撃ち出すことで、モンスターの皮膚を通すほどの攻撃力が生まれるのだ。これは最近やっと習得した切り札の一つなのだが……こんなことに使う羽目になるとは。
コルネくんは屈んでいたから当たらないと思って撃ったが、当たってしまう可能性を考えると危なかったと後から思った。途中で速度を緩めることは出来るが、万が一のこともある。次からは絶対にやめようと固く誓う。
あたかもずっと道場で待っていたようにするため、ギルドまでコボルトを運ぶのを見届けてから、僕は一足先にラムハへと戻った。
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