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第六章 レオンの剣術道場編
第108話 約束
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討伐から二日、俺が帰る日が来た。謎の噂に、モンスター討伐──いろんなことがあったが、俺にとっては、いつも一緒にいる友人が出来たことが一番嬉しかった。
魔法学校では放課後は一緒に模擬戦をしていたが、授業はみなクラスがバラバラだし、俺も授業ごろにクラスを転々としていたから、ずっと一緒とはいかなかった。
だから、寝る前まで話し込んだりだとか、朝からずっと同じことに取り組んだりだとかがすごく新鮮に感じられた。
ここでの出来事を思い返しながら、ベッドの側で荷物をまとめているとヨーゼフさんがやってくる。
「コルネ──さん、魔力操作を教えていただいてありがとうございました。おかげで、色んな新しい戦い方が出来そうです。この御恩はいつかまた」
そう言って深々と一礼するヨーゼフさん。びっくりしていると、何やら外が騒がしいことに気付く。
ヨーゼフさんが一度閉めた扉が開き、魔力操作を教えていたお弟子さんたちが顔を覗かせる。
「僕たちからも礼を。魔力操作を教えてくれて本当にありがとう。まだ感覚は分からないけど、これからもずっと続けていくから」
討伐があったその日の修行終わりと次の日の二回だけだったが、約束していた魔力操作の講習会を開いたのだ。
結局、二日だけでは魔力の感覚を掴んだ人もおらず、もう少し早く始めればなあ、と思っていた。
俺が帰った後に、魔力操作が出来るようになったら、この道場にクネクネ剣士がたくさん生まれるのだろうか。
大勢の人間がクネクネするところはちょっと見てみたかったので、残念だ。
荷物をまとめて、外に出ると馬車のところに友人たちが待っていた。
「コルネ…………行っちゃうんだね」
「……うん、帰らなきゃいけないから」
ぽつり、と言葉を零した、目を伏せている友人の顔は酷く寂しげだ。俺も寂しい。
沈黙が流れるが、それを破るように寂しげな表情をしていた友人が言葉を紡ぐ。
「俺、絶対王国騎士団に入るから! コルネも強い冒険者になって王都で会おう、な?」
「お、俺だって王国騎士団に入って王都で贅沢な暮らしを送るし? もしかしたら来年あたりにはもう入ってたりして」
お調子者のリノの冗談に笑いが漏れてしまう。
「俺も!」
「俺だって」
「じゃあ、また王都で会おう──約束だ。そのときまでにもっと強くなっておくから……騎士様に恥ずかしくないようにね」
俺がそう言うと、皆目を合わせて頷く。そして俺はかばんを抱えたまま、しっかりとした足取りで馬車に乗る。
「じゃ、また」
笑顔を作りながら、そう言って馬車から手を振る。
馬車が動き出す。「元気でな」「約束だぞ」という声が後ろから聞こえてくる。
応えるように俺も身を乗り出して手を振り続けるが、みんなの姿はどんどん小さくなっていき、やがて見えなくなる。
空を見ると雲一つなく晴れわたっていて、それがどこか寂しかった。
魔法学校では放課後は一緒に模擬戦をしていたが、授業はみなクラスがバラバラだし、俺も授業ごろにクラスを転々としていたから、ずっと一緒とはいかなかった。
だから、寝る前まで話し込んだりだとか、朝からずっと同じことに取り組んだりだとかがすごく新鮮に感じられた。
ここでの出来事を思い返しながら、ベッドの側で荷物をまとめているとヨーゼフさんがやってくる。
「コルネ──さん、魔力操作を教えていただいてありがとうございました。おかげで、色んな新しい戦い方が出来そうです。この御恩はいつかまた」
そう言って深々と一礼するヨーゼフさん。びっくりしていると、何やら外が騒がしいことに気付く。
ヨーゼフさんが一度閉めた扉が開き、魔力操作を教えていたお弟子さんたちが顔を覗かせる。
「僕たちからも礼を。魔力操作を教えてくれて本当にありがとう。まだ感覚は分からないけど、これからもずっと続けていくから」
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結局、二日だけでは魔力の感覚を掴んだ人もおらず、もう少し早く始めればなあ、と思っていた。
俺が帰った後に、魔力操作が出来るようになったら、この道場にクネクネ剣士がたくさん生まれるのだろうか。
大勢の人間がクネクネするところはちょっと見てみたかったので、残念だ。
荷物をまとめて、外に出ると馬車のところに友人たちが待っていた。
「コルネ…………行っちゃうんだね」
「……うん、帰らなきゃいけないから」
ぽつり、と言葉を零した、目を伏せている友人の顔は酷く寂しげだ。俺も寂しい。
沈黙が流れるが、それを破るように寂しげな表情をしていた友人が言葉を紡ぐ。
「俺、絶対王国騎士団に入るから! コルネも強い冒険者になって王都で会おう、な?」
「お、俺だって王国騎士団に入って王都で贅沢な暮らしを送るし? もしかしたら来年あたりにはもう入ってたりして」
お調子者のリノの冗談に笑いが漏れてしまう。
「俺も!」
「俺だって」
「じゃあ、また王都で会おう──約束だ。そのときまでにもっと強くなっておくから……騎士様に恥ずかしくないようにね」
俺がそう言うと、皆目を合わせて頷く。そして俺はかばんを抱えたまま、しっかりとした足取りで馬車に乗る。
「じゃ、また」
笑顔を作りながら、そう言って馬車から手を振る。
馬車が動き出す。「元気でな」「約束だぞ」という声が後ろから聞こえてくる。
応えるように俺も身を乗り出して手を振り続けるが、みんなの姿はどんどん小さくなっていき、やがて見えなくなる。
空を見ると雲一つなく晴れわたっていて、それがどこか寂しかった。
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