パーティを抜けた魔法剣士は憧れの冒険者に出会い、最強の冒険者へと至る

一ノ瀬一

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第七章 里帰りと収穫祭編

第130話 収穫祭に向けて 其の五

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 ヘルガさんと動きの確認を繰り返した後、プランをより詳しく書き換えていると、師匠が帰ってくる。日はもう昏れかけていて、空は茜に染まっていた。

「コルネくん、マシューさんの家には行けたかい?」
「はい、二曲とも聴かせていただいて──今プランをもう少しで詰め終わるので、これが終わったらちょっと付き合ってもらってもいいですか?」
「もちろん、僕の部屋にいるから終わったら声かけてね」

 急いで最後の部分を書き加える。ここはこうで…………最後は、こう!

 師匠を呼んでから、また道場の裏に向かう。そこで、俺は大変なことに気付く。

「師匠は、まだ曲を聴いてないですよね?」
「えっ? いや、マシューさんのところに決まったときに聴かせてもらったよ。僕は出かける予定があったから、ここで聴いとかないとと思って」

 よかった──曲を一度聴いたことがあるのとないのでは、今からの練習が全然違ってくるから、師匠が聴いてくれていて本当によかった。ナイスな判断だ。

 さっきまで使っていた木刀を拾い上げ、片方を師匠に渡す。そして持ってきたメモを見て──見づらいな……ヘルガさんとやっていたときはまだ明るかったが、もうかなり暗いのだから当然か。

「ブライト!」

 出力を弱めた「ブライト」を使って、手元を照らす。師匠の「おおー」という声が傍らから聞こえる。

「最初は太鼓の音が八拍なので、そこは俺の光の魔法剣を使います。その後、俺が雷に切り替えて打ち込むので、師匠は土の魔法剣で受けてください──今は木刀なのでできませんが。そこからは、型稽古の炎から始まるのと同じように──まずはここまでやってみましょう」
「は、はい」

 師匠はどうやら緊張しているようだ。

「俺が動きに合わせてカウントを取るので、一度いつもより少しゆっくり動いてみてください」

 そう言って俺は木刀を正面に構え、カウントを取り始める。

「ワン、ツー、スリー、フォー……」

 八つ数えたところで、カウントを取りつつ、俺は師匠に向かって木刀で打ち込む。

「……ツー、スリィィィイィィィィイィィイ、フォー──」

 ところどころカウントが伸びてしまうところがあるが、一回目だから仕方がない。いつも行っているものだから、師匠も俺も動き自体はとてもスムーズだ。

 一つ目の型稽古の終わりまでやったが、カウントに合わせてやるのは意外と難しいかもしれないと思った。

「二つ目のスリーの部分──受けてから押し返す部分は、もっと早くていいですね。それと三つ目の部分は少しゆっくりめに。他の部分は一定の間隔で動くことを意識してください」

 そう言ってもう一度カウントを取り始める。暗い中やるのは師匠に申し訳なく思うが、時間がそんなにないので、少しでも早く動きをインプットしてもらいたいのだ。
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