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第九章 ルミーヴィアへの旅編
第183話 レネとの邂逅 其の二
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「ええええええええええええ!? あ、あのSラ──」
レネさんはそこまで大声で叫んでから、ハッとして言葉を止める。彼女に連れられてきたお店で、ご飯を食べながら師匠が自らの正体について話したのだ。マリーの師となる彼女にあまり嘘はつきたくないらしい。
当然、店内の全員から注目を集めてしまい、「Sランクに、早くなりたいな~、なんてハハハ……」と誤魔化している姿は、さきほどの印象とは少し違うものだった。
「本当にあのロンド様なんでしょうか……?」
周りの人たちがまたそれぞれの会話を始めた頃、声を潜めておそるおそる訊いてくるレネさんは、言葉遣いも違ってもはや別人のようだ。
「はい、僕もレネさんに会うのを楽しみにしてました」
「そそそんな──とても光栄です。私もお会いできて嬉しいです」
そう答える彼女は緊張した面持ちだ。
「アタシ、ロンド様をずっと目標にしてて──さきほどは『王国魔法師団か?』なんて生意気な口聞いてすみませんでした。誰にも師事せずに若くしてテッペンまで上り詰めた凄腕の冒険者──それに新しい戦闘スタイルを確立したというのは歴史に名を刻むほどの偉業──どこを取っても本当にかっこいいんです」
かっこ……いい? レネさんの話を聞いて兄さんとマリーがサッと師匠の顔を見ると、師匠はなぜ見られているのか分からずにキョトンとしている。
たしかに功績だけみればこの上なくかっこいいが、一緒に暮らしていると分かるが実際はちょっと抜けていて、あまりかっこいいという印象は受けない。
二人もこの何日かでそれは分かっているのだろう──俺と同じように思っているに違いない。
「目標だなんて照れるなぁ──ところでこの後、回復魔法を見せてもらってもいいかな。僕、レネさんの魔法が一度見てみたくて──」
「ももももちろんです! 何十発でも何百発でも見せますよ!」
興奮した様子で答えるレネさんに師匠は嬉しそうだ。これまでさんざんはしゃいでいたから忘れそうになっていたが、師匠の一番の目的はこれだからな。
よかったですね、師匠──と隣に座る師匠に言ったところ、その発言にレネさんが食いついてくる。
「今、師匠って──師匠って言わなかったか?」
「はい、俺は師匠──ロンドさんの弟子ですから」
「弟子!? ロンド様にでしぃぃぃぃぃぃぃ!? たしかアルノの弟分だって……」
「ああ、俺の弟みたいなもんで、ロンド様の唯一の弟子でもある」
アルノ兄さんが説明を付け足す。たしかにレネさんへの紹介では、師匠の正体を明かしていなかったから俺が師匠の弟子であることは言ってなかったな。
「ロンド様のたった一人の弟子──つまりロンド様が認めた唯一の存在ということは──」
そう言って席を立ち、俺の方に近づいてくるレネさん。これはもしかして師匠にしたように、近くで俺の強さを測っているんだろうか。
「うわっ──アンタ、魔力の巡りが良すぎじゃない? 弟子ってことはロンド様と同じ魔法剣士なんだろ? 一流の魔法使いと比べても遜色ないよ」
「そう……そうなんですよ。コルネくんは剣の腕もありながら魔力の流れもスムーズで、もう本当にすごくて──」
「そうなんですね、さすがロンド様が認めるだけあります」
レネさんになんか褒められたし、師匠が俺の自慢のような話をし始めた。話せることが嬉しいようでしばらく俺の話は続き、俺は師匠にそう思われてるんだという驚きと目の前で俺のことが話されているという恥ずかしさがあった。
レネさんはそこまで大声で叫んでから、ハッとして言葉を止める。彼女に連れられてきたお店で、ご飯を食べながら師匠が自らの正体について話したのだ。マリーの師となる彼女にあまり嘘はつきたくないらしい。
当然、店内の全員から注目を集めてしまい、「Sランクに、早くなりたいな~、なんてハハハ……」と誤魔化している姿は、さきほどの印象とは少し違うものだった。
「本当にあのロンド様なんでしょうか……?」
周りの人たちがまたそれぞれの会話を始めた頃、声を潜めておそるおそる訊いてくるレネさんは、言葉遣いも違ってもはや別人のようだ。
「はい、僕もレネさんに会うのを楽しみにしてました」
「そそそんな──とても光栄です。私もお会いできて嬉しいです」
そう答える彼女は緊張した面持ちだ。
「アタシ、ロンド様をずっと目標にしてて──さきほどは『王国魔法師団か?』なんて生意気な口聞いてすみませんでした。誰にも師事せずに若くしてテッペンまで上り詰めた凄腕の冒険者──それに新しい戦闘スタイルを確立したというのは歴史に名を刻むほどの偉業──どこを取っても本当にかっこいいんです」
かっこ……いい? レネさんの話を聞いて兄さんとマリーがサッと師匠の顔を見ると、師匠はなぜ見られているのか分からずにキョトンとしている。
たしかに功績だけみればこの上なくかっこいいが、一緒に暮らしていると分かるが実際はちょっと抜けていて、あまりかっこいいという印象は受けない。
二人もこの何日かでそれは分かっているのだろう──俺と同じように思っているに違いない。
「目標だなんて照れるなぁ──ところでこの後、回復魔法を見せてもらってもいいかな。僕、レネさんの魔法が一度見てみたくて──」
「ももももちろんです! 何十発でも何百発でも見せますよ!」
興奮した様子で答えるレネさんに師匠は嬉しそうだ。これまでさんざんはしゃいでいたから忘れそうになっていたが、師匠の一番の目的はこれだからな。
よかったですね、師匠──と隣に座る師匠に言ったところ、その発言にレネさんが食いついてくる。
「今、師匠って──師匠って言わなかったか?」
「はい、俺は師匠──ロンドさんの弟子ですから」
「弟子!? ロンド様にでしぃぃぃぃぃぃぃ!? たしかアルノの弟分だって……」
「ああ、俺の弟みたいなもんで、ロンド様の唯一の弟子でもある」
アルノ兄さんが説明を付け足す。たしかにレネさんへの紹介では、師匠の正体を明かしていなかったから俺が師匠の弟子であることは言ってなかったな。
「ロンド様のたった一人の弟子──つまりロンド様が認めた唯一の存在ということは──」
そう言って席を立ち、俺の方に近づいてくるレネさん。これはもしかして師匠にしたように、近くで俺の強さを測っているんだろうか。
「うわっ──アンタ、魔力の巡りが良すぎじゃない? 弟子ってことはロンド様と同じ魔法剣士なんだろ? 一流の魔法使いと比べても遜色ないよ」
「そう……そうなんですよ。コルネくんは剣の腕もありながら魔力の流れもスムーズで、もう本当にすごくて──」
「そうなんですね、さすがロンド様が認めるだけあります」
レネさんになんか褒められたし、師匠が俺の自慢のような話をし始めた。話せることが嬉しいようでしばらく俺の話は続き、俺は師匠にそう思われてるんだという驚きと目の前で俺のことが話されているという恥ずかしさがあった。
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