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第十章 Aランク昇格編
第215話 Aランクに昇格したら
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四十六日目。いよいよ明日にはラムハへの帰路に就けるという日。俺は以前のペースを取り戻し、一日に一つのペースで討伐クエストを達成しつづけていた。
旅に出て十六日目はすでにギルドから足が遠のき始めた頃だったから、今でもこのペースを保てている自分に驚いている。やはり明日帰れるという楽しみがあるから頑張れているのだろう。
今までに討伐したモンスターは十七種類。倒さないといけないのは全部で二十四種だから、気付けばもう折り返し地点を通りすぎていたようだ。ちょうど半分のひと月半が過ぎた今、残りのモンスターが半分以下なのだからこのペースなら間に合うだろう。
定期的に帰ることになって、十日ごとに手紙を書く約束も少し変わった。こっちに戻ってから十日後にクエストの進み具合は順調か、予定通り戻れそうかをしたためる。二十日ごとに直接帰るから手紙を書く頻度は半分でいいというわけだ。
今日は早く寝て、明日は暗いうちにここを発たなければ。今俺がいるのは王国の北端に近いところだ。ターニュに比べるとだいぶ北にあり、その分ラムハまでの距離も長くなっている。スピードを上げるには限界があるし、出発を早めるべきだろう。
四十八日目。すでに日は沈みきってしまっていたが、俺は二日でなんとかラムハに辿り着くことができた。へとへとになった俺は荷物を置き、水魔法で汗を流すと、すぐに食堂に向かう。
食堂に入ると大量の料理が目に入る。きっと俺が今日帰ってくるからと、ヘルガさんが腕によりをかけて作ってくれたんだろう。
祈りを捧げてから、揚げた肉を口に運ぶと懐かしい味が広がる。目新しい料理もいいけどやはりヘルガさんのものが落ち着く。
シスターの料理も素朴な味付けですごく好きだったけど、ヘルガさんの料理も違った味で美味しい。どちらも俺にとって慣れ親しんだ味だ。
二人と向こうであったあれこれを話しながら、美味しい美味しいと空っぽの胃を満たすように次々に料理を食べていく。
俺の話にうんうんと二人とも頷いてくれるが、「あのモンスターはやばかった」だとか、「このモンスターは不意打ちですぐに倒せた」だとか、かなりニッチな話を聴いていて楽しいんだろうか。
師匠は相手をしたこともあるだろうが、ヘルガさんはモンスターの名前を出されてもピンと来てないんじゃないか──と思ったが、返ってくる相槌が妙にリアルなのでもしかしたら昔冒険者をやっていたことがあったのかもしれない。
「この調子ならAランク昇格はできそうだね」
「はい、このままいけば大丈夫そうです」
「それで──最後の街はトレトだったよね?」
「はい」
レクタムから少し西に逸れながら北上し、王都を迂回するようなルートで王国最北端の街アズリダまで行く。そこからは南東に下り、国境に近いトレトがゴールだ。
しかしこのルートはしっかりと師匠と話し合いながら決めたはず。それをわざわざ改まって確認するだろうか。
「コルネくんがトレトで最後のモンスターを狩りおわったら、僕が迎えに行って馬車で一緒に帰ろうと思うんだ」
「馬車で帰れるのはすごく助かります。ありがとうございます」
トレトから馬車で帰れるのはありがたい。なんだかんだ走ってはいるが、面倒ではあるからな。
だがおそらくこの話はこれで終わりではない。師匠は言いだしづらいことがあるかのように、視線を彷徨わせソワソワとしているからだ。きっと本題はここからだ。
「それでなんだけど……ついで、そうついでに──トレトのダンジョンに寄っていかない?」
旅に出て十六日目はすでにギルドから足が遠のき始めた頃だったから、今でもこのペースを保てている自分に驚いている。やはり明日帰れるという楽しみがあるから頑張れているのだろう。
今までに討伐したモンスターは十七種類。倒さないといけないのは全部で二十四種だから、気付けばもう折り返し地点を通りすぎていたようだ。ちょうど半分のひと月半が過ぎた今、残りのモンスターが半分以下なのだからこのペースなら間に合うだろう。
定期的に帰ることになって、十日ごとに手紙を書く約束も少し変わった。こっちに戻ってから十日後にクエストの進み具合は順調か、予定通り戻れそうかをしたためる。二十日ごとに直接帰るから手紙を書く頻度は半分でいいというわけだ。
今日は早く寝て、明日は暗いうちにここを発たなければ。今俺がいるのは王国の北端に近いところだ。ターニュに比べるとだいぶ北にあり、その分ラムハまでの距離も長くなっている。スピードを上げるには限界があるし、出発を早めるべきだろう。
四十八日目。すでに日は沈みきってしまっていたが、俺は二日でなんとかラムハに辿り着くことができた。へとへとになった俺は荷物を置き、水魔法で汗を流すと、すぐに食堂に向かう。
食堂に入ると大量の料理が目に入る。きっと俺が今日帰ってくるからと、ヘルガさんが腕によりをかけて作ってくれたんだろう。
祈りを捧げてから、揚げた肉を口に運ぶと懐かしい味が広がる。目新しい料理もいいけどやはりヘルガさんのものが落ち着く。
シスターの料理も素朴な味付けですごく好きだったけど、ヘルガさんの料理も違った味で美味しい。どちらも俺にとって慣れ親しんだ味だ。
二人と向こうであったあれこれを話しながら、美味しい美味しいと空っぽの胃を満たすように次々に料理を食べていく。
俺の話にうんうんと二人とも頷いてくれるが、「あのモンスターはやばかった」だとか、「このモンスターは不意打ちですぐに倒せた」だとか、かなりニッチな話を聴いていて楽しいんだろうか。
師匠は相手をしたこともあるだろうが、ヘルガさんはモンスターの名前を出されてもピンと来てないんじゃないか──と思ったが、返ってくる相槌が妙にリアルなのでもしかしたら昔冒険者をやっていたことがあったのかもしれない。
「この調子ならAランク昇格はできそうだね」
「はい、このままいけば大丈夫そうです」
「それで──最後の街はトレトだったよね?」
「はい」
レクタムから少し西に逸れながら北上し、王都を迂回するようなルートで王国最北端の街アズリダまで行く。そこからは南東に下り、国境に近いトレトがゴールだ。
しかしこのルートはしっかりと師匠と話し合いながら決めたはず。それをわざわざ改まって確認するだろうか。
「コルネくんがトレトで最後のモンスターを狩りおわったら、僕が迎えに行って馬車で一緒に帰ろうと思うんだ」
「馬車で帰れるのはすごく助かります。ありがとうございます」
トレトから馬車で帰れるのはありがたい。なんだかんだ走ってはいるが、面倒ではあるからな。
だがおそらくこの話はこれで終わりではない。師匠は言いだしづらいことがあるかのように、視線を彷徨わせソワソワとしているからだ。きっと本題はここからだ。
「それでなんだけど……ついで、そうついでに──トレトのダンジョンに寄っていかない?」
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