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最終章
第267話 対バジリスク
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決行の日、俺はレナード様から預かったバジリスクを解き放つ場所を探してうろうろと彷徨っていた。モンスターを出すところを見られればすぐに捕らえられてしまうため、ひとめに付かないところで出したい。
かといって、もし狭い路地で巨大なバジリスクを出そうものなら出た途端に崩れた瓦礫に埋められてしまうだろう。
即死よりは捕まる方がまだましだ。人混みでバジリスクを出してそのまま紛れて逃げよう。
まだ朝だからかレオン様の道場のお弟子さんらしき人の姿は街には見当たらない。街を歩いているのは街で生活している一般人ばかりだ。
ターゲット以外の人たちを巻き込んでしまうのは心苦しいが、俺にレオンさんの道場に踏み込んで捕らえられに行く勇気はない。
そろそろ鐘が鳴る。覚悟を決めなくては──
わしが朝食を終え、弟子たちの稽古に向かっていると、突然街の方から建物ががらがらと崩れる音と地割れのようなモンスターの咆哮が聞こえる。
モンスターが街まで下りてきたのか──いや、だとしたらギルド経由で連絡が来るはずじゃ。ギルドが一瞬にして壊され連絡が途絶えたという可能性もなくはないが、これはおそらくテロ──この街を誰かが攻撃しているのじゃ。
「お師匠様、あの音は……」
「いつもモンスター討伐にいく面子は、わしと一緒に街へ。残りは留守番──そう伝えよ」
「は、はい!」
急いで自分の剣を取りに戻り、正門へと向かう。伝言を聞いた弟子たちが途中で次々と合流してくる。
「街では何が起こっているんですか」
「わしにも分からん。おそらく誰かが意思を持って街を攻撃しておるのじゃ。敵が分からん以上、どこから仕掛けてくるか分からん。油断するでないぞ」
走りながら言葉を交わしていると、建物の向こう側にモンスターの首が見えてくる。あれは──
「バジリスク……」
そばを走っている弟子の一人がそう漏らす。そう──あれはバジリスクのはずじゃが、建物よりも大きいバジリスクなど聞いたこともない。
以前ロンドが調査に向かったティオール森林で巨大なケルベロスが見つかったと聞いたが、もしかすると突然変異で巨大な個体が生まれることもあるんじゃろうか。
何にせよ、このモンスターを早く倒して街の人たちを助けなければ。建物が崩れたなら瓦礫の下敷きになっている人もいるはずじゃ。
瓦礫を踏み越えていき、暴れている巨大なバジリスクと対峙する。
かといって、もし狭い路地で巨大なバジリスクを出そうものなら出た途端に崩れた瓦礫に埋められてしまうだろう。
即死よりは捕まる方がまだましだ。人混みでバジリスクを出してそのまま紛れて逃げよう。
まだ朝だからかレオン様の道場のお弟子さんらしき人の姿は街には見当たらない。街を歩いているのは街で生活している一般人ばかりだ。
ターゲット以外の人たちを巻き込んでしまうのは心苦しいが、俺にレオンさんの道場に踏み込んで捕らえられに行く勇気はない。
そろそろ鐘が鳴る。覚悟を決めなくては──
わしが朝食を終え、弟子たちの稽古に向かっていると、突然街の方から建物ががらがらと崩れる音と地割れのようなモンスターの咆哮が聞こえる。
モンスターが街まで下りてきたのか──いや、だとしたらギルド経由で連絡が来るはずじゃ。ギルドが一瞬にして壊され連絡が途絶えたという可能性もなくはないが、これはおそらくテロ──この街を誰かが攻撃しているのじゃ。
「お師匠様、あの音は……」
「いつもモンスター討伐にいく面子は、わしと一緒に街へ。残りは留守番──そう伝えよ」
「は、はい!」
急いで自分の剣を取りに戻り、正門へと向かう。伝言を聞いた弟子たちが途中で次々と合流してくる。
「街では何が起こっているんですか」
「わしにも分からん。おそらく誰かが意思を持って街を攻撃しておるのじゃ。敵が分からん以上、どこから仕掛けてくるか分からん。油断するでないぞ」
走りながら言葉を交わしていると、建物の向こう側にモンスターの首が見えてくる。あれは──
「バジリスク……」
そばを走っている弟子の一人がそう漏らす。そう──あれはバジリスクのはずじゃが、建物よりも大きいバジリスクなど聞いたこともない。
以前ロンドが調査に向かったティオール森林で巨大なケルベロスが見つかったと聞いたが、もしかすると突然変異で巨大な個体が生まれることもあるんじゃろうか。
何にせよ、このモンスターを早く倒して街の人たちを助けなければ。建物が崩れたなら瓦礫の下敷きになっている人もいるはずじゃ。
瓦礫を踏み越えていき、暴れている巨大なバジリスクと対峙する。
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