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最終章
第275話 決着
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そして肩から首──頭のある方へと一直線に駆けていく。オーガもこれはまずいと阻止しようとするが、一度腕を下ろしてしまっているため対応が遅くなる。
「グガアアアアアアアアア!」
オーガは雄叫びをあげながら、肩の上を走る俺を手で払おうとするが、跳んで避けそのまま首の方へと向かう。至近距離の大音量で耳が痛いが我慢だ。
払った手は避けられてしまったがそれならばと、すかさず反対の手で自身の首を守るためにガードするオーガ。
しかし、俺の狙いは首ではなく頭だ。登ってくる過程でよく分かったが、オーガの体は非常に硬いため、一撃で致命傷になるほどの深い傷を作るのはおそらく不可能。
だから、違う方法で攻めるのだ。
「アシッド!」
オーガの顔に剣を突き刺して着地した直後、毒魔法のアシッドを唱え、半開きになっているオーガの口の上に毒魔法を発動させる。
現れた紫色の球はすぐに破裂し、毒々しい液体が飛び散りながら口の中に吸い込まれていく。同時に、俺の体内にも毒が生成され、頭がふらつき、体を支えている腕に力が入らなくなる。
「グゴゲアアアアア! ボゴゴガア!」
毒を口に注がれ、暴れて吐き出そうとするオーガ。今吐き出されてしまっては意味がなくなる。
俺は限界の近い腕に力を込め、切先をオーガに刺したまま雷の魔法剣を使う。するとオーガが痺れ、毒を吐きだそうという喉の動きが止まる。
痺れたのを確認して気が抜けてしまったのか剣を握っていられなくなり、落下していく。その途中で小さく口元を動かし、もう一度魔法を使う。
「…………アシッド」
あれだけ暴れる元気があったのなら、あの量ではきっと足りない。これで足りればいいのだが……そう思いながら開いた口の真上で魔法の制御を外す。
まだ痺れが治りきっていないオーガの口からドボンという音が聞こえ、体内の毒のせいで体がさらに重くなる。
このまま墜ちれば死ぬ。自分の体が空を切っていく音を聞きながら、必死に風の魔法と魔力操作を使い、速度を落とすが──魔法の効きがひどく悪い。
俺が死ねば師匠の手当てができなくなる。まだここでは死ねない。
地面にぶつかる手前でなんとか小さいながらも水球を作り、衝撃を和らげる。落としきれなかったスピードのまま地面にぶつかっていたら危なかった。
「ボゴゴ…………グア……」
地べたに寝転がっている俺の横でオーガがゆっくりと前向きに倒れていく。死んだかは分からないが、それなりのダメージは入っているようだ。
オーガの体が地面に叩きつけられると、凄まじい衝撃と砂埃が襲ってくる。起き上がれない俺は、砂埃のなか手探りで懐から解毒薬の入った小瓶を取り出す。
そして震える手をもう片方の手で支えながら口に小瓶の中身を流し込む。
「はぁ……」
師匠に飲ませて量が減っているうえに二回もアシッドを使ったため、完全に解毒できたわけではないが、だいぶ楽になった。
立ち上がって師匠の手当てとオーガが死んでいるかの確認に行かなくちゃ──そう思い足腰に力を入れる。
ふらふらとオーガのもとへと向かい、突き刺していた剣を抜こうとしたが、抜けなかった。いつも通りの力が出れば抜けたのかもしれないが、今は万全でないのだから仕方ない。
なので、そのままオーガの横を通り過ぎて師匠のところへ向かう。剣が抜けないのなら、俺にとどめを刺す手段はない。
俺が近づいても師匠の反応はない……意識はないようだ。
地面に横たわった師匠の横に膝をつき、顔に耳を近づけ、呼吸を確認する。よかった──────ちゃんと息をしている。
師匠の肩を持ち上げ、俺の膝に乗せる。なんとか服の前側を破り、一枚ずつ服を脱がせていく。
水魔法でべたべたに固まった血を洗い流すと、傷口が露わになる。もう出血はほとんど止まっているようだ。
脱がせた服でサッと水分を拭き取った後、先ほど破いたシャツで傷口を覆い、後ろで縛る。これで応急処置はできた。師匠の体の下に服を敷いて、頭をゆっくりと下ろす。
よかった……これでひとまずは安心……かな──やるべきことを終えた安堵からか意識が遠のく。
「グガアアアアアアアアア!」
オーガは雄叫びをあげながら、肩の上を走る俺を手で払おうとするが、跳んで避けそのまま首の方へと向かう。至近距離の大音量で耳が痛いが我慢だ。
払った手は避けられてしまったがそれならばと、すかさず反対の手で自身の首を守るためにガードするオーガ。
しかし、俺の狙いは首ではなく頭だ。登ってくる過程でよく分かったが、オーガの体は非常に硬いため、一撃で致命傷になるほどの深い傷を作るのはおそらく不可能。
だから、違う方法で攻めるのだ。
「アシッド!」
オーガの顔に剣を突き刺して着地した直後、毒魔法のアシッドを唱え、半開きになっているオーガの口の上に毒魔法を発動させる。
現れた紫色の球はすぐに破裂し、毒々しい液体が飛び散りながら口の中に吸い込まれていく。同時に、俺の体内にも毒が生成され、頭がふらつき、体を支えている腕に力が入らなくなる。
「グゴゲアアアアア! ボゴゴガア!」
毒を口に注がれ、暴れて吐き出そうとするオーガ。今吐き出されてしまっては意味がなくなる。
俺は限界の近い腕に力を込め、切先をオーガに刺したまま雷の魔法剣を使う。するとオーガが痺れ、毒を吐きだそうという喉の動きが止まる。
痺れたのを確認して気が抜けてしまったのか剣を握っていられなくなり、落下していく。その途中で小さく口元を動かし、もう一度魔法を使う。
「…………アシッド」
あれだけ暴れる元気があったのなら、あの量ではきっと足りない。これで足りればいいのだが……そう思いながら開いた口の真上で魔法の制御を外す。
まだ痺れが治りきっていないオーガの口からドボンという音が聞こえ、体内の毒のせいで体がさらに重くなる。
このまま墜ちれば死ぬ。自分の体が空を切っていく音を聞きながら、必死に風の魔法と魔力操作を使い、速度を落とすが──魔法の効きがひどく悪い。
俺が死ねば師匠の手当てができなくなる。まだここでは死ねない。
地面にぶつかる手前でなんとか小さいながらも水球を作り、衝撃を和らげる。落としきれなかったスピードのまま地面にぶつかっていたら危なかった。
「ボゴゴ…………グア……」
地べたに寝転がっている俺の横でオーガがゆっくりと前向きに倒れていく。死んだかは分からないが、それなりのダメージは入っているようだ。
オーガの体が地面に叩きつけられると、凄まじい衝撃と砂埃が襲ってくる。起き上がれない俺は、砂埃のなか手探りで懐から解毒薬の入った小瓶を取り出す。
そして震える手をもう片方の手で支えながら口に小瓶の中身を流し込む。
「はぁ……」
師匠に飲ませて量が減っているうえに二回もアシッドを使ったため、完全に解毒できたわけではないが、だいぶ楽になった。
立ち上がって師匠の手当てとオーガが死んでいるかの確認に行かなくちゃ──そう思い足腰に力を入れる。
ふらふらとオーガのもとへと向かい、突き刺していた剣を抜こうとしたが、抜けなかった。いつも通りの力が出れば抜けたのかもしれないが、今は万全でないのだから仕方ない。
なので、そのままオーガの横を通り過ぎて師匠のところへ向かう。剣が抜けないのなら、俺にとどめを刺す手段はない。
俺が近づいても師匠の反応はない……意識はないようだ。
地面に横たわった師匠の横に膝をつき、顔に耳を近づけ、呼吸を確認する。よかった──────ちゃんと息をしている。
師匠の肩を持ち上げ、俺の膝に乗せる。なんとか服の前側を破り、一枚ずつ服を脱がせていく。
水魔法でべたべたに固まった血を洗い流すと、傷口が露わになる。もう出血はほとんど止まっているようだ。
脱がせた服でサッと水分を拭き取った後、先ほど破いたシャツで傷口を覆い、後ろで縛る。これで応急処置はできた。師匠の体の下に服を敷いて、頭をゆっくりと下ろす。
よかった……これでひとまずは安心……かな──やるべきことを終えた安堵からか意識が遠のく。
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※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
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