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最終章
第292話 トレトのダンジョン探索 其の五
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また探索を続けていると、ある角を曲がろうとしたところで師匠とレオンさんがいきなり立ち止まり、サッと身を隠す。
感覚が麻痺してくるが、並のAランクモンスターならサクッと倒してしまう二人が倒しに行かずに隠れるということはよほどのモンスターがいたのだろう。
「何がいたんだい?」
「ドラゴンじゃ」
神妙な面持ちでサラさんが訊くと、レオンさんがひそひそ声で答える。
サラさんはドラゴンの姿を確かめようとゆっくりと壁から顔を出し、すぐに戻る。
「少し行ったところに開けた空間があって、そこにドラゴンがいるねぇ。かなり大きいようだったから、もしかしたら通路を通ってこっちにこられないのかもしれないかもね」
再びレオンさんと師匠が慎重に壁から少し顔を出し、ドラゴンを観察する。
「そうですね、あの巨体では羽を折りたたんでもここの通路は抜けられないでしょう」
「どうするかの? 狭いところでドラゴンと闘うのは骨が折れるのう」
たしかにドラゴンの巨躯から繰り出される攻撃は大きく避ける必要があるため、限られたスペースだとグンと難易度が上がる。
「私がやるさね」
二人が話しているとサラさんが名乗りを上げる。それを聞いて二人はコクリと頷く。
「せーので一斉に飛び出して一気に方を付けるぞい」
「分かったさね」
「了解です」
サラさんが倒すことが決まっただけで打ち合わせもなしに、合図で飛び出そうという話になっている。きっと各々がどうすればいいのかが分かっているのだろう。
「──せーの」
小さな声でレオンさんがそう言い終わると一気に三人がドラゴンのいる方へと駆け出す。俺も置いて行かれないように後ろを追う。
俺たちに気付いたドラゴンが唸り、こちらを攻撃しようと動きだすが、その前にサラさんの朗々とした声が響く。
「ゲヘナ」
すると、ドラゴンがいる場所に見慣れた青い炎が立ち昇り、ドラゴンを瞬く間に呑みこんでいく。やがて炎の中に見えていたドラゴンの姿は消え、地面に転がっている魔力結晶がうっすらと見えてくる。
そろそろサラさんが炎を消すかと思って見ていると、「あ」とサラさんが聞いたことのないような間の抜けた声を上げる。
「ダンジョンだから消えないの忘れてたさね」
「そんなうっかりあるかのう……まあわしもすっかり忘れておったから人のことは言えんが」
ダンジョンは魔力で満たされているため、炎魔法を維持しなくても勝手に周りの魔力を吸い上げて明かりとして機能する。ということはもちろんサラさんのゲヘナも徐々に減衰はしていくが、魔力の制御を解いて消すことはできない。
普通の炎魔法であれば水魔法で消すことが可能だが、ゲヘナともなるとそこらの水魔法では太刀打ちできないだろう。
つまりただ消えるのを待つしかないということだ。幸い、ドラゴンのいた場所は思ったより広く、ゲヘナで燃えている部分を避けて通ることは可能なためとりあえず放置して先に進むことになった。
「かなり距離があるのにここまで熱さが伝わってきますね……」
青い炎に触れないように壁際を進んで炎の裏にまわると、そこには三階層への階段がぽっかりと口を開いていた。
感覚が麻痺してくるが、並のAランクモンスターならサクッと倒してしまう二人が倒しに行かずに隠れるということはよほどのモンスターがいたのだろう。
「何がいたんだい?」
「ドラゴンじゃ」
神妙な面持ちでサラさんが訊くと、レオンさんがひそひそ声で答える。
サラさんはドラゴンの姿を確かめようとゆっくりと壁から顔を出し、すぐに戻る。
「少し行ったところに開けた空間があって、そこにドラゴンがいるねぇ。かなり大きいようだったから、もしかしたら通路を通ってこっちにこられないのかもしれないかもね」
再びレオンさんと師匠が慎重に壁から少し顔を出し、ドラゴンを観察する。
「そうですね、あの巨体では羽を折りたたんでもここの通路は抜けられないでしょう」
「どうするかの? 狭いところでドラゴンと闘うのは骨が折れるのう」
たしかにドラゴンの巨躯から繰り出される攻撃は大きく避ける必要があるため、限られたスペースだとグンと難易度が上がる。
「私がやるさね」
二人が話しているとサラさんが名乗りを上げる。それを聞いて二人はコクリと頷く。
「せーので一斉に飛び出して一気に方を付けるぞい」
「分かったさね」
「了解です」
サラさんが倒すことが決まっただけで打ち合わせもなしに、合図で飛び出そうという話になっている。きっと各々がどうすればいいのかが分かっているのだろう。
「──せーの」
小さな声でレオンさんがそう言い終わると一気に三人がドラゴンのいる方へと駆け出す。俺も置いて行かれないように後ろを追う。
俺たちに気付いたドラゴンが唸り、こちらを攻撃しようと動きだすが、その前にサラさんの朗々とした声が響く。
「ゲヘナ」
すると、ドラゴンがいる場所に見慣れた青い炎が立ち昇り、ドラゴンを瞬く間に呑みこんでいく。やがて炎の中に見えていたドラゴンの姿は消え、地面に転がっている魔力結晶がうっすらと見えてくる。
そろそろサラさんが炎を消すかと思って見ていると、「あ」とサラさんが聞いたことのないような間の抜けた声を上げる。
「ダンジョンだから消えないの忘れてたさね」
「そんなうっかりあるかのう……まあわしもすっかり忘れておったから人のことは言えんが」
ダンジョンは魔力で満たされているため、炎魔法を維持しなくても勝手に周りの魔力を吸い上げて明かりとして機能する。ということはもちろんサラさんのゲヘナも徐々に減衰はしていくが、魔力の制御を解いて消すことはできない。
普通の炎魔法であれば水魔法で消すことが可能だが、ゲヘナともなるとそこらの水魔法では太刀打ちできないだろう。
つまりただ消えるのを待つしかないということだ。幸い、ドラゴンのいた場所は思ったより広く、ゲヘナで燃えている部分を避けて通ることは可能なためとりあえず放置して先に進むことになった。
「かなり距離があるのにここまで熱さが伝わってきますね……」
青い炎に触れないように壁際を進んで炎の裏にまわると、そこには三階層への階段がぽっかりと口を開いていた。
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#ヒラ俺
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途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
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