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最終章
第312話 証
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冒険者ギルドに行きながら話し合った結果、今日はパーティの登録だけして、クエストを受けるのは明日からということになった。
二人の馬車が着いたのは昼も過ぎてそろそろ小腹も空いてきた頃だったので、クエストを受けるには微妙な時間だったのだ。
「ボクたちがいたときと変わってないね」
「うん、懐かしい」
冒険者ギルドの中に入り、あたりを見回しながらアドレアとエミルが言う。そうか──エミルは帰ってきてはいたがギルドには来てなかったのか。まあパーティを組んでもいないのにギルドまでわざわざ来ることはないだろう。
「久しぶりだね、コルネ──ってマリーにそっちはアドレア、でこっちはエミル! ちびっこパーティ勢揃いじゃないかい!」
奥に佇んでいた受付嬢のベティさんが俺たちに気付いたようで、ばっと立ち上がって大きな声で言う。
「それにそちらはジャン様……? これはもしかしなくてもパーティの再結成だね! えーと書類、書類──はこれだね」
そう言いながらベティさんが奥から取ってきて俺たちに渡してきた書類は、パーティ結成用のものではなくパーティ加入用のものだった。
「あれ? これってパーティ加入用のやつじゃない? ベティさん、私たちパーティ結成用の書類がほしいんですけど」
書類を覗き込みながらそう言うマリーに、何かもの言いたげな目をしてベティさんが返す。
「あたしは間違っちゃいないと思うけどねぇ。ほら、ジャン様がずっと大事そうに持たれているものを見てみな」
四人の視線が受付のカウンターに置かれた書類からジャンの手元に移る。
「あ、あの……これ」
急に全員の注目を浴びてびっくりしたであろうジャンが、おずおずとカウンターに手に持っていたものを置く。
「これは……!」
ジャンが手を下ろすと、そこにあったのは少しくすんだ懐かしい色のカード──三年前、四人が等しく失ったもの。
「冒険者証………………ずっととってたんだ、ジャン」
「うん、僕が持ってなきゃって思ったから。それに、すごく楽しかったから……これを持ってないとあの楽しかった時間もどこかに消えてしまう気がして──」
「ジャン!」
俯いて震えるように言葉を紡ぐジャンを、俺は抱きしめた。仲間と協力してクエストを達成して喜びを分かち合う──彼がそう望んだように、純粋に冒険者としての生活はきっと楽しかったのだ。
横柄な振る舞いに愛想を尽かされてしまっても、それでも冒険者証を──俺たちがここで冒険者として生活していた証をずっと守っていてくれたことが、ただ嬉しかった。
涙を溜めてきつく抱きしめながらジャンの背中をさすっていると、他の三人が俺の背中をさすってくれる。後ろからもすすり上げる声が聞こえていた。
二人の馬車が着いたのは昼も過ぎてそろそろ小腹も空いてきた頃だったので、クエストを受けるには微妙な時間だったのだ。
「ボクたちがいたときと変わってないね」
「うん、懐かしい」
冒険者ギルドの中に入り、あたりを見回しながらアドレアとエミルが言う。そうか──エミルは帰ってきてはいたがギルドには来てなかったのか。まあパーティを組んでもいないのにギルドまでわざわざ来ることはないだろう。
「久しぶりだね、コルネ──ってマリーにそっちはアドレア、でこっちはエミル! ちびっこパーティ勢揃いじゃないかい!」
奥に佇んでいた受付嬢のベティさんが俺たちに気付いたようで、ばっと立ち上がって大きな声で言う。
「それにそちらはジャン様……? これはもしかしなくてもパーティの再結成だね! えーと書類、書類──はこれだね」
そう言いながらベティさんが奥から取ってきて俺たちに渡してきた書類は、パーティ結成用のものではなくパーティ加入用のものだった。
「あれ? これってパーティ加入用のやつじゃない? ベティさん、私たちパーティ結成用の書類がほしいんですけど」
書類を覗き込みながらそう言うマリーに、何かもの言いたげな目をしてベティさんが返す。
「あたしは間違っちゃいないと思うけどねぇ。ほら、ジャン様がずっと大事そうに持たれているものを見てみな」
四人の視線が受付のカウンターに置かれた書類からジャンの手元に移る。
「あ、あの……これ」
急に全員の注目を浴びてびっくりしたであろうジャンが、おずおずとカウンターに手に持っていたものを置く。
「これは……!」
ジャンが手を下ろすと、そこにあったのは少しくすんだ懐かしい色のカード──三年前、四人が等しく失ったもの。
「冒険者証………………ずっととってたんだ、ジャン」
「うん、僕が持ってなきゃって思ったから。それに、すごく楽しかったから……これを持ってないとあの楽しかった時間もどこかに消えてしまう気がして──」
「ジャン!」
俯いて震えるように言葉を紡ぐジャンを、俺は抱きしめた。仲間と協力してクエストを達成して喜びを分かち合う──彼がそう望んだように、純粋に冒険者としての生活はきっと楽しかったのだ。
横柄な振る舞いに愛想を尽かされてしまっても、それでも冒険者証を──俺たちがここで冒険者として生活していた証をずっと守っていてくれたことが、ただ嬉しかった。
涙を溜めてきつく抱きしめながらジャンの背中をさすっていると、他の三人が俺の背中をさすってくれる。後ろからもすすり上げる声が聞こえていた。
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