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22『攪拌する陽キャ』の書
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「お待たせしました。」給仕の女性がテーブルに配膳したのは、食べ方が分からないくらいの大きなハンバーガーとガレット。
「この店のお勧めが、ガレットなんす。加護様どうぞぉ」
「ああ、ありがとう。千手様は、その大きなハンバーガー…食べ切れるのか?」
「見えないトコが育ち盛りっすから!」
ガブッと齧り付き、遠慮なくソースを頬に付ける。
常に乳児を相手にするが故に身に付いた条件反射。手元のテーブルナプキンで千手の頬についたソースを拭いてしまい「すまない…」思わず赤面した。
「へへっ狙ってましたぁ。次は加護様の舌で優しく舐め取って下さいねぇ?」
「断る」
「う、拒絶が秒速!」
千手は満足気に笑った。
あまりに千手が美味しそうに食べるからか、未来の手が食べ物に伸びている。
「君も食べたいのか?」
「うっ、うー!」
今まで食べ物に興味を示さなかったのだが…。
指をそっと未来の唇に当てると、もぐもぐ動かし嫌がられたりはしなかった。
『離乳食』を始めても良い兆しだった。
「ランチ会で談笑できる召喚士の彼らや千手様みたいな"陽キャ"だったら、未来の育成も滞ることなく捗るのだろうな」
独りごちる。
誘ってもらい、千手とこうしてランチを共にしなければ『離乳食』というスタートを遅らせたまま過ごしていた。今日も明日も。
「加護様、あーん♪」
ふいに、千手が私の口元に千切ったハンバーガーを寄せた。これまた反射的に口を開けてしまい、それを咀嚼する。…美味い。
「楽しく食事をするのに"陰キャ"も"陽キャ"もないっすよ。ほらぁ、ガレット冷めちゃいますから食べましょ!」
肉厚のベーコンに新鮮なトマト、とろけるチーズのガレットは確かに食欲をそそる色と匂いがした。ナイフで小分けにひと口分を。
「千手様もガレット食べますか」
先の御礼に。差し出したら雛鳥の様に口を開けたので口の中に入れてあげた。
「むぅ~!」
腕に抱く未来がヤキモチ?身を捩らせ声を上げたので、その頬に『今度は君の番だ』と約束の口付けをした。
* * *
お腹を満たした、というよりは楽しい時間を満たした『主人友達ランチ会練習』を終えて店を後にする。
「世話になった。千手様、感謝する」
漸くの謝辞。
経験と知識は"勇者候補"育成と自身の成長への糧だ。
今ひとつ行動力が足らず経験を先延ばしにしてしまう私を、こうして後押ししてくれるのは、正直、有り難かった。
「すげぇ幸せだったんで!またランチしましょうね~。でもって夜のベッドもよろしくしたいっす」
千手はヘラヘラ笑いながら首に巻いた若草色のストールを外し、私の首元に巻き直した。
「"陽キャ"のお裾分けっす。加護様のキャラと混ざったら、丁度いい演出になりませんか?」
日頃からの変化を。
昼下がり。陽射しを眩しく受けた噴水に映る私は、心なしか明るい陰影を揺らめかしていた。
「この店のお勧めが、ガレットなんす。加護様どうぞぉ」
「ああ、ありがとう。千手様は、その大きなハンバーガー…食べ切れるのか?」
「見えないトコが育ち盛りっすから!」
ガブッと齧り付き、遠慮なくソースを頬に付ける。
常に乳児を相手にするが故に身に付いた条件反射。手元のテーブルナプキンで千手の頬についたソースを拭いてしまい「すまない…」思わず赤面した。
「へへっ狙ってましたぁ。次は加護様の舌で優しく舐め取って下さいねぇ?」
「断る」
「う、拒絶が秒速!」
千手は満足気に笑った。
あまりに千手が美味しそうに食べるからか、未来の手が食べ物に伸びている。
「君も食べたいのか?」
「うっ、うー!」
今まで食べ物に興味を示さなかったのだが…。
指をそっと未来の唇に当てると、もぐもぐ動かし嫌がられたりはしなかった。
『離乳食』を始めても良い兆しだった。
「ランチ会で談笑できる召喚士の彼らや千手様みたいな"陽キャ"だったら、未来の育成も滞ることなく捗るのだろうな」
独りごちる。
誘ってもらい、千手とこうしてランチを共にしなければ『離乳食』というスタートを遅らせたまま過ごしていた。今日も明日も。
「加護様、あーん♪」
ふいに、千手が私の口元に千切ったハンバーガーを寄せた。これまた反射的に口を開けてしまい、それを咀嚼する。…美味い。
「楽しく食事をするのに"陰キャ"も"陽キャ"もないっすよ。ほらぁ、ガレット冷めちゃいますから食べましょ!」
肉厚のベーコンに新鮮なトマト、とろけるチーズのガレットは確かに食欲をそそる色と匂いがした。ナイフで小分けにひと口分を。
「千手様もガレット食べますか」
先の御礼に。差し出したら雛鳥の様に口を開けたので口の中に入れてあげた。
「むぅ~!」
腕に抱く未来がヤキモチ?身を捩らせ声を上げたので、その頬に『今度は君の番だ』と約束の口付けをした。
* * *
お腹を満たした、というよりは楽しい時間を満たした『主人友達ランチ会練習』を終えて店を後にする。
「世話になった。千手様、感謝する」
漸くの謝辞。
経験と知識は"勇者候補"育成と自身の成長への糧だ。
今ひとつ行動力が足らず経験を先延ばしにしてしまう私を、こうして後押ししてくれるのは、正直、有り難かった。
「すげぇ幸せだったんで!またランチしましょうね~。でもって夜のベッドもよろしくしたいっす」
千手はヘラヘラ笑いながら首に巻いた若草色のストールを外し、私の首元に巻き直した。
「"陽キャ"のお裾分けっす。加護様のキャラと混ざったら、丁度いい演出になりませんか?」
日頃からの変化を。
昼下がり。陽射しを眩しく受けた噴水に映る私は、心なしか明るい陰影を揺らめかしていた。
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