記憶を無くしている俺が、この世界に蔓延る輩を一人残らず粛清するまで(第一章、魔王を粛清するまで完結)

ぎたー

文字の大きさ
19 / 40
第一章、魔王を粛清するまで 

第19話・悪魔侯爵とヴァンパイア

しおりを挟む
 黒騎士のヴィシャはボスである氷の剣士と戦う。氷の剣士が剣を構えると10体となり、全員で遠距離攻撃を行うという剣士にあるまじき戦法をとる。ヴィシャは魔法無効化によってノーダメージ、奥義を繰り出し圧勝する。





 ヴィシャが強すぎる。もちろん俺の配下が強すぎるのは嬉しいのだが、圧倒的強さに複雑な思いを抱く。ヴィシャもガブリエルも俺と比べると次元が違う、はぁ。

 「ソル、また召喚するのぉ?」

 「ん?あ、そうか」

 色々と驚くことが多すぎて、次を召喚しようとか頭になかった。
 前回、黒騎士の召喚が拍子抜けするほど上手くいったから、次も話し合いで仲間になってもらえないだろうか?ないだろうなぁ・・・
 ボスを倒したことで奥にある部屋への通路が出現し階段が見える。今回も召喚するにあたって俺以外のもの達は階段で上にあがらせておく。ユニやルナはもちろんのこと、ガブリエルやヴィシャまでも俺を心配してくれた。いい仲間に恵まれたものだ。
 俺は召喚を始める。





 時は進む。






 現在、俺達のパーティーは今までのボス部屋の扉よりも大きく金色の装飾がされた豪華な扉の前にいる。完全にラスボスだろう。

 「ふふふ、扉を見上げるソル様カッコイイです」

 「今回は俺にやらせてくれよ、ソル兄!」

 ふふふ、と上品そうに笑うのはワインレッドのショトヘアーに色気のある顔立ち、抜群のプロポーションを赤いドレスで着飾るヒールを履いた女性、悪魔侯爵のシャーロット・キャンベル。

 ソル兄と呼ぶのは身長が150cmぐらいしかなくTシャツに短パン姿で、銀色の短髪につり目が印象的な悪ガキっぽいトゥルーヴァンパイアのアンロゾニーニ。

 そう、この二人は俺が召喚した(1体)と記載のあったもの達だ。





 これまでの経緯を説明するとヴィシャが氷の剣士を倒した後、次のボスに備えて俺は(1体)と記載のあったものを召喚した。召喚したのは悪魔侯爵。何故、悪魔侯爵から召喚したかというと嫌なほうを先に終わらせたかったという思いからだ、悪魔侯爵なんて悪人の頂点としか思えないよね・・・

 で、召喚したらワインレッドのショートヘアーの美女が現れたわけよ。美女を召喚できた、最高!と舞い上がりたいとこなんだけど、いきなり凶悪な顔をして襲い掛かってくる可能性もあるしなぁと警戒していた。俺も強くなったとは思うけど、真っ向から悪魔侯爵なんて肩書きのものを倒せる自信はない。
 悪魔侯爵はソルと目が合うと頬が薄っすら赤く染まる。その後はあれよあれよという間に、俺の腕に抱き着いて妖艶な表情を向けてくるようになったわけよ。肝心の忠誠は誓ったのかって?忠誠どころか全てを捧げたいと打診されました、男として超絶嬉しい展開だけど相手は悪魔侯爵よ?

 とヴィシャと同じように悪魔侯爵をあっさり配下にできたので、その流れでヴァンパイアも召喚しようと思ったわけ。当然、悪魔侯爵にはこの部屋から出て行ってほしいと伝えたんだけど、離れたくありませんと。
 そ、そうですかと戸惑う俺。まだ会って数分ですからね、ここまで好意を向けられてしまうと戸惑いますよ、ええ。
 悪魔侯爵にはヴァンパイアが襲ってきても殺してはいけないし、殺されてもいけないことだけは伝えた。うっとりとした声で「はい」と返事をしてくれる。
 

 あれだけ危険視していたヴァンパイアを召喚するという行為が完全にカップルのデートになってしまった。気が抜けた状態でヴァンパイアを召喚する。
 
 そこに現れたのが悪ガキっぽいヴァンパイア。
 ヴァンパイアは俺の顔を見ると嬉しそうな顔をして、兄貴!と呼んだ。俺はなにがどうなっているんだと困惑する、悪魔侯爵もヴァンパイアも俺への好感度が振り切っているとしか思えない。
 ヴァンパイは兄貴についていきます!というので、配下に加えた。
 一応、どういう理由で俺についていこうと思ったんだ?と聞くと、兄貴からは俺より強者の匂いがするんですと。悪魔侯爵も同じに近い理由らしく、強者の匂いが色気や魅力にも通ずるんだとか。
 俺自身の能力はそこまででもない気がするのだが、闇属性のものたちは強者に従いたくなるような本能でもあるのだろうか?

 
 悪魔侯爵はシャーロット・キャンベルと名乗ったのでシャーロットと呼ぶことにする。可愛らしい名前だがセクシー系の美女、ギャップがすごすぎて魅力的に思える。
 ヴァンパイアはアンロゾニーニ、長いのでアンと呼ぶとキラキラとした目でありがとうございます!と元気よく答えた。うーん、アンという名前は女性っぽい感じがするのだがそんなに気にいったのだろうか。
 で、召喚した二人を伴いラスボスの前のみんなと合流。
 ユニとルナは二人も新しいのがいる的な感じ、ヴィシャは無言。ガブリエルはまたも怖い顔をする、頭が高いぞ残念成金。
 
 これでようやく(1体)と記載されたものを全て召喚できた。
 俺のパーティーはソル(鬼畜野郎)、ユニ(天然)、ルナ(脳筋)、ガブリエル(残念天使)、ヴィシャ(世界最強)、シャーロット(セクシー美女)、アン(悪ガキ)という構成だ。

 正直、召喚後に話し合いで解決しなかったのが大天使だけだった。俺の中で天使への印象はだいぶマイナスに働いている。今後も天使達とは犬猿の仲になりそうな気がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...