悪役令嬢が追放されてから21年後-紫花が咲く學院の三人の姬

Kiwi

文字の大きさ
32 / 68

本当に彼を愛していたのか?

しおりを挟む
彼はエドラの視線を感じた。
その視線から、彼は彼女が今の自分の考えを見抜いていることを知った。
そして、彼女は初めからこのことを彼に知らせたかったのだ。

「バスティア王国の公式見解では、セ一コ王太子とその側近たちが燃情魔法の影響を受けて君を追放したと言っている。君はずっと忠実に国境で待っていて、彼とその家族が君を王城に迎え入れたんだ……今思い出したよ、バスティア王国が幻霊魔法を『聖魔法』と呼んでいたのが最初だった。幻霊魔法の名前はもっと前に、ある女性研究者が名付けたものだ。そして君が当時流された罪名は、嫉妬と不敬、燃情魔法使いに協力を求めたことだった。」
「私は宮廷に二ヶ月いた。当時、マーガレットはすでに処刑されていて、一週間後にセ一コと君の結婚式があった。でも君には一度も会わなかった——それは君が最終目標だったからだ。君を制するのは簡単ではないが、子供を手に入れれば話は別だろう。」
「当時彼らが私に盗ませたのは、翡翠学院のソフィ一教授のある学生の論文の原稿で、その上には『織姫』という名前が書かれていた。この世でそんなコードネームを使う者は、針編魔女と呼ばれ、本来は王子に嫁ぐはずだった君以外に誰がいるだろう?なんて興味深い。嫉妬で失意のうちに倒れたと言われていた君が、幻霊魔法使いを見つけて、その血を吸い取り魔力を搾り取っているとは。そして子供まで生んだ。君は研究に夢中で彼に燃情魔法をかけられたのか、それとも本当に彼を愛していたのか?」
「どうして両方ではいけないの?私が幻霊魔法を研究していたのは事実だし、彼の燃情魔法を感じたのも事実、そして私は娘と彼を愛していたのも事実よ。」

なんて歪んだ、なんて正直な言葉だ。鐘楼は彼女を見上げた。破れた服を着て、体中が埃まみれなのに、そんなにも高貴な態度で椅子に座り、見下ろしてくる女性を。
おそらく彼は、彼女に実際に会う前から彼女に注目していたのだろう。
愛していたとは言えないが、その前から彼女について多くのことを聞いていて、自分はすでに彼女を知っているような気がしていた。

ソフィ一の最愛の学生。
魔法闘技大会のチャンピオンである針編魔女。
バスティア王国の貴族社会で存在意義を失った女性。
幻霊魔法生成理論の創始者。
春の神に魅了された貴族の女性。
バスティア王国の新しい王妃。
バスティア王国の賢后。
バスティア王国の無冠の女王。
ピノの主人。
ピノの義母。
春の神の伴侶。
鐘楼を打ち負かした人。
想像や推測が多すぎて、実際に彼女に会ってみると、彼女は彼が思っていた通りの人物だった。いや、それ以上だった。

「君は何を考えているんだ?」エドラは彼を見つめ、彼の考えを見透かしたかのように言った。
「何でもない。」鐘楼は隠そうとした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

処理中です...