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プロローグ
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魂が繋がっている相手が他の世界に存在している。その事を知覚したのは確か10歳の頃だった。
魂の双子、そのように言うらしいが、通常は相手のことなんてまったくわからないらしい。
私がそのことに気付けたのはこの眼のおかげだろうと思う。偏光眼と呼ばれるこの眼は、見る角度によって色が変わる。
この眼の持ち主は類稀なる才能に恵まれる、と言う通説がある。
リッチェルはまだなんの才能も開花していない。この眼を持たない人でも才能を発揮し始める年齢で、偏光眼を持つと言うのになんの才能も発揮していないと言うのはかなり肩身が狭い。
そう思っているのは自分ばかりだろうことはわかっている。父や母は一人娘であるリッチェルを可愛がってくれるし、眼についての事にはあまり触れないようにしているのだと思う。
しかしながら珍しい眼を持っていると言うだけだというのに、この身には色々な災いとでも言うべき災難が降りかかってくる。
最初は誘拐。
物心つく前だったので詳細は覚えていないが、見らないおじさんに手を引かれていたのを偶然見つけた父が血相を変えて駆けつけ、不審者に思い切りぐーでパンチを喰らわせ、その後で魔法を使おうとしたところで取り逃してしまったのだという。
それからというもの口を酸っぱくして知らない人にも知ってる人にもついていかないように厳命されている。リッチェルが一人でついていっていいのはいまのところは両親の二人だけだ。
その次は色仕掛け。
まだまともな恋愛すらしたことのないリッチェルであるが、数々の告白を受けている。
なかには行きすぎたものも多々あった。……思い出したくもない。
既成事実を作ろうとするなど言語道断。
あれは犯罪なので相手はすでに処されているだろう。
そのせいなのだろう、両親はかなり過保護ぎみになぬていた。
早々に決められた婚約者はアイヴァンというリッチェルよりも3つ年下の少年だった。
すでに音楽での才能を発揮している彼は、その音楽性に反するように表情の平坦な少年だった。
見目は良くも悪くもない。
ただやはり3歳も年下となるとただのおとうとぐらいにしかみれない。
リッチェルはまだ才能の開花がない自分とアイヴァンを比べてしまう。
嫉妬だ。わかっている。
せっかく両親がリッチェルのことを想って設定してくれた婚約者なのだ。素直に受け入れなければならない。
生まれ持った眼のせいで、散々な目に遭ってきたリッチェルは他人との距離の取り方がよくわからない。そもそも両親が言っていたのは、父と母以外の人間に心を許すな、というものだったので、リッチェルは婚約者のアイヴァンに対しても礼節と距離を置いた。
年下に対するものいいもわからなかったのでちょうどよかった。
リッチェルの夢は色がついている。
小さい頃からそうだった。
10歳の頃ふと夢でその魂の繋がる相手の生活を見ているのだと気づいてからは、見た夢をノートに書く習慣がついた。
これが眼の力なのかどうかは判断できず、誰にもいえないままだ。
ニホンのサイタマという場所に住んでいるらしいその子は「コガラシアカネ」という名前で、その名前を表すのには《漢字》が、使われている。小嵐茜。
活発な彼女は道場に通い、男の子にまじってトレーニングをしている。同じマンションに住んでいる男の子二人と一緒になって投げ飛ばされたり投げ飛ばしたりとかなり野蛮なことをしていて、リッチェルは驚き、呆れた。
毎日毎日同じように投げ飛ばされている。
よくも飽きないものだ。
男の子二人の顔がよく似ているのは彼らが双子だからだという。リッチェルはこちらで双子を見たことがなかったが、こうも似ているものかと驚いていた。
しかし、不思議なことにアカネは男の子の名前を間違えない。
髪型も服装も同じだというのになにを基準に見分けているのだろう。
夢で見ているリッチェルにも、彼ら二人の見分けはつかない。
彼らの親にも時折間違えられているぐらいだから、遠くから見ているだけのリッチェルが見分けられないのも仕方がない。
リッチェルが毎晩夢を見るたびにアカネも年わや重ねていく。アカネはリッチェルより一歳年下だ。
年齢を重ねるにつれてアカネの身体は成長して、立派な胸が育っていた。……リッチェルの身体は身長が伸びるばかりで胸囲の成長はほとんどない。
ああ羨ましいこと。茜は胸が大きいのがイヤだと試行錯誤している。
双子の二人も同じだけ成長している。
黒い髪に黒い眼。
制服姿の彼らは平和そのもので歩いている。
楽しそうにアカネと笑っている。
リッチェルは胸焼けを覚えた。
私だってそっちがよかった!
こんなよくわからない眼を持って生まれてきたくなかったし、魔法なんてなくてもいい。
同じ魂を共有しているというのに、ずるいじゃない!
それは嫉妬である、我儘でもある。
長年夢でアカネの世界を見ていたリッチェルはすっかり毒されていた。
--つまりは恋だ。
リッチェルはアカネの世界に恋をしていた。
魂の双子、そのように言うらしいが、通常は相手のことなんてまったくわからないらしい。
私がそのことに気付けたのはこの眼のおかげだろうと思う。偏光眼と呼ばれるこの眼は、見る角度によって色が変わる。
この眼の持ち主は類稀なる才能に恵まれる、と言う通説がある。
リッチェルはまだなんの才能も開花していない。この眼を持たない人でも才能を発揮し始める年齢で、偏光眼を持つと言うのになんの才能も発揮していないと言うのはかなり肩身が狭い。
そう思っているのは自分ばかりだろうことはわかっている。父や母は一人娘であるリッチェルを可愛がってくれるし、眼についての事にはあまり触れないようにしているのだと思う。
しかしながら珍しい眼を持っていると言うだけだというのに、この身には色々な災いとでも言うべき災難が降りかかってくる。
最初は誘拐。
物心つく前だったので詳細は覚えていないが、見らないおじさんに手を引かれていたのを偶然見つけた父が血相を変えて駆けつけ、不審者に思い切りぐーでパンチを喰らわせ、その後で魔法を使おうとしたところで取り逃してしまったのだという。
それからというもの口を酸っぱくして知らない人にも知ってる人にもついていかないように厳命されている。リッチェルが一人でついていっていいのはいまのところは両親の二人だけだ。
その次は色仕掛け。
まだまともな恋愛すらしたことのないリッチェルであるが、数々の告白を受けている。
なかには行きすぎたものも多々あった。……思い出したくもない。
既成事実を作ろうとするなど言語道断。
あれは犯罪なので相手はすでに処されているだろう。
そのせいなのだろう、両親はかなり過保護ぎみになぬていた。
早々に決められた婚約者はアイヴァンというリッチェルよりも3つ年下の少年だった。
すでに音楽での才能を発揮している彼は、その音楽性に反するように表情の平坦な少年だった。
見目は良くも悪くもない。
ただやはり3歳も年下となるとただのおとうとぐらいにしかみれない。
リッチェルはまだ才能の開花がない自分とアイヴァンを比べてしまう。
嫉妬だ。わかっている。
せっかく両親がリッチェルのことを想って設定してくれた婚約者なのだ。素直に受け入れなければならない。
生まれ持った眼のせいで、散々な目に遭ってきたリッチェルは他人との距離の取り方がよくわからない。そもそも両親が言っていたのは、父と母以外の人間に心を許すな、というものだったので、リッチェルは婚約者のアイヴァンに対しても礼節と距離を置いた。
年下に対するものいいもわからなかったのでちょうどよかった。
リッチェルの夢は色がついている。
小さい頃からそうだった。
10歳の頃ふと夢でその魂の繋がる相手の生活を見ているのだと気づいてからは、見た夢をノートに書く習慣がついた。
これが眼の力なのかどうかは判断できず、誰にもいえないままだ。
ニホンのサイタマという場所に住んでいるらしいその子は「コガラシアカネ」という名前で、その名前を表すのには《漢字》が、使われている。小嵐茜。
活発な彼女は道場に通い、男の子にまじってトレーニングをしている。同じマンションに住んでいる男の子二人と一緒になって投げ飛ばされたり投げ飛ばしたりとかなり野蛮なことをしていて、リッチェルは驚き、呆れた。
毎日毎日同じように投げ飛ばされている。
よくも飽きないものだ。
男の子二人の顔がよく似ているのは彼らが双子だからだという。リッチェルはこちらで双子を見たことがなかったが、こうも似ているものかと驚いていた。
しかし、不思議なことにアカネは男の子の名前を間違えない。
髪型も服装も同じだというのになにを基準に見分けているのだろう。
夢で見ているリッチェルにも、彼ら二人の見分けはつかない。
彼らの親にも時折間違えられているぐらいだから、遠くから見ているだけのリッチェルが見分けられないのも仕方がない。
リッチェルが毎晩夢を見るたびにアカネも年わや重ねていく。アカネはリッチェルより一歳年下だ。
年齢を重ねるにつれてアカネの身体は成長して、立派な胸が育っていた。……リッチェルの身体は身長が伸びるばかりで胸囲の成長はほとんどない。
ああ羨ましいこと。茜は胸が大きいのがイヤだと試行錯誤している。
双子の二人も同じだけ成長している。
黒い髪に黒い眼。
制服姿の彼らは平和そのもので歩いている。
楽しそうにアカネと笑っている。
リッチェルは胸焼けを覚えた。
私だってそっちがよかった!
こんなよくわからない眼を持って生まれてきたくなかったし、魔法なんてなくてもいい。
同じ魂を共有しているというのに、ずるいじゃない!
それは嫉妬である、我儘でもある。
長年夢でアカネの世界を見ていたリッチェルはすっかり毒されていた。
--つまりは恋だ。
リッチェルはアカネの世界に恋をしていた。
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