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プロローグ

天渡 玲 あまわたり れい

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 私は虐められている。
何故かは分からない。
生きているのが辛い、もう終わって欲しい。
そんな私にも友人はいる。
彼女はそばに居てくれる。
それだけで少しは生きていく気力を保てた。
 その子の名は、線乃桃。
彼女は人当たりが良く周りから
好かれるタイプの人間だ、
そんな彼女とは中学からの友人だ。
これが唯一の自慢かな。

私はある日、人に言えない頼み事を
その子にした。

「ねえ、桃」
「なーに?」桃の声は優しかった。
「頼み事があるの」
断られる前提で、その頼み事をした。

玲は唾を飲み込んだ。
少し間が空いた。
 桃は「休み時間終わっちゃうよ」
正論だ。
「そうだね」と答え深呼吸をした。
「私と一緒に死のう」
死ぬのはいけないことだと
分かっている。
それも、一人で死ぬならまだしも
友人を誘ったなんて人殺しも同然だ。
私は絶対に断られると思った。

桃の返答は
「いいよ」の一言だった。
私は
「いいの?」と返した。
「うん」即答だった。

「ちなみに何で?
理由は欲しいかな」
桃は聞いた。
「生きてて辛いんだ。
色々な嫌なことがあって
もう耐えきれないんだ。」

「わかったよ。いつ死ぬ?」
「え?」
私は言葉が出なかった。
「そんな真面目な顔してるから
冗談では無いもんね」
「うん」
「じゃ、今にしよ。」
と言い、桃は私の手を引っ張って
窓から落ちた。

私は、落ちている中とても安心した。
辛い人生終わってくれるんだ。

桃は何か言っていた。
グシャって音と共に、わたしたちさの意識は無くなった。
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