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プロローグ

死後の世界

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 私たち2人は自殺した。

これからどうなるのだろう……。
自分で命を亡くしたんだから
やっぱり地獄へ行くのかな。
そんな事を思いながら私は言った
「私が、あんなことい玲たから…
家族さん、悲しんでるよね」
 ごめんねって言葉は言えなかった。

「悲しんでるだろうけど
やってしまった事だし仕方ないよ」
玲の為にやったとは桃は言えなかった。

後悔で今にも泣いてしまいそうなのに、こんな事を言ってしまったら
泣いてしまうだろう
彼女が泣いている顔を見たくない。

しばらく時間が経ったのであろう。
目の前に、
昔の秋葉原にいそうな格好な
男の人が現れた。
口はにやけている。
ーーかなり不快だーー
自殺と言えど、二つの命を失ってるんだ。なんで笑っていられるんだろう
男の人は言った
「実にいい友情関係だ。
私は、尊くて死んでしまいそうだよ」

「死んだ人の前で、そんな酷い冗談普通言う?」
桃は怒った。

玲は
「良い友情関係……ふふ……。
そう見えてたんだ。嬉しいな」
と呟いた。

「2人の関係をここで終わらすのはもったいない!
もう一回チャンスをやろう!
元の世界に戻すわけにはいかない
別の世界で生きていくのはどうだろう!」

そんな馬鹿な話が……。

「おっと!そんな馬鹿な話がァ!って思ってるね!
死後の案内人の僕としては容易いことさ!
普通なら、そのまま信仰する宗教に従って転生してもらうんだけどね。
2人の関係は実に尊い!
ここで終わらすのは勿体ない!
私が尊死しそうなくらいにね!」

ーまた言ってるー

「転生先では能力をあげよう!」

能力…?

「生前2人が一番好きだったものを能力として授ける
どうだい?能力……能力という不思議な力憧れないかい?」

親友は目を輝かせ
「好きなもの!能力!私!その世界に行きたい!」
先ほどの怒りはどこへ行ったのだろう。
「あ……私は……。」
玲は言葉を発することもなく
「そうだろう!そうだろう!
じゃあ、善は急げだ!
異世界には能力を持ってる人が沢山いるよ!きっと楽しい生活になるだろう!
それじゃあ、いってらっしゃい!
私の尊きキョウダイ達!」

……キョウダイ?まぁ、いいか
私はそう思いながら光のなかへ消えていった。
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