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一章

十一話 その後の暮らし

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時が少し経った。
あれから二人は、生活が安定してきた為、家を借りた。
村の人とは少しずつ打ち解けるようになり、生活は順調だ。

アカリはジョンに戦闘の仕方を
学んでいた。

「上手く倒せるようになったじゃねーか!」

「ありがとうございます!」

「能力が、あれだからなぁ
自分自身が強くならないと
やっぱダメだしよ」

「私的には全然いいんですけどね」

「今日はこの辺にしておくか
俺、メイちゃん迎えに行ってくるわ」

「私も行きます!」
疲れながらもアカリは言った。

「疲れてるだろうし、家で休んでな」
と言うと、ジョンはさっさと行ってしまった。

「もう……。私も行きたかったのに」
残念そうにして家に帰った。

(メイちゃん頑張ってるかな
帰ってきたら色々してあげよー
まずはー……。)

メイは生活の為に街に働きに出ていた。

しばらくするとメイが帰ってきた。
「ただいま……。」
メイは疲れていた。

「メイちゃん大丈夫?」
心配そうにアカリは言った。

「大丈夫だよ。
ご飯でも食べよ」
メイは隠すように答えた。

「う、うん……。
食べよ」

二人で食卓を囲んでると
アカリは
「私、ギルドから誘われたんだ
一緒に魔物狩りしないかって
ま、まぁ、ジョンの知り合いから
なんだけどね。」
アカリは嬉しそうに話してると

「ギルド……?
アカリちゃん強くなってるし
いいんじゃない」

「そうだよね!
私強くなってるよね!」

「うん
私明日も出なきゃだから
寝るね
残り物食べて」
メイは部屋に行き
そのまま眠った。

(メイちゃんほんとに大丈夫かな……。
私も早く強くなって、メイちゃんを楽させなきゃ)
アカリは食器を片付け
部屋に戻った。

翌朝
(昨日、冷たくしちゃったかな
ごめんね。アカリ)
メイは、申し訳なく思いながら
支度をしていた。
すると。
「メイちゃん迎えにきたぞー!!」
ドアの方でジョンの声がした。

「今行きますー」
と言いかけたところ
ドタドタドタと言う足音と共に
「私も行くー!!!」
と言いアカリがきた。

「アカリも行くの?」

「私も用事があるから
一緒に行こうかなって
久しぶりに三人でのお出かけだね!」
嬉しそうだった。
そんなところを見てメイは
癒された。

「うん、たまには皆んなで行こう」

三人で行くことにした。

「アカリ、昨日ギルドに入るっていってたけど……。」

「そうなの!もっと強くなりたいし報酬もあるみたいだから
少しは生活楽になるかなって!」

「そうだね……。ありがとね」

「どういたしまして!!」
そんな事を話してると街へ着いた。

「メイちゃん仕事頑張ってね!!
ついでにジョンも!!」

「ついでってなんだよ
まあ、ありがとな」

三人はそれぞれの目的地へ向かった。

(アカリちゃんとギルド入れるといいな)
と思い職場へ向かった。

「あら~ご苦労様
今日も頑張りましょ」
仕事先のおばちゃんに話しかけられた。

「今日もよろしくお願いします」
と言い頭を下げて、台所へ向かった。
メイは飲食店で働いていた。

メイが開店の準備をしていると
「遅いわねぇ~
そんなに遅いと、閉店までかかるのかしら?」
さっきのおばちゃんだ。

決して遅いわけではない。
むしろ、効率よく物事を進め
時間に余裕があるくらいだ。

「す、すみません……。」
メイは謝る。

「口動かすくらいだったら
手を動かしなさい!!」

(私、何かしたんだろうか……。)
能力を使うことができなかった

「メイちゃん、仕事はどうだ?」
男の人が話しかけてきた。
このお店の店長だ。

「順調にできてるね!
しかも素晴らしい出来!
時間も余ってる!」
店長は褒めてくれた。

「あ、ありがとうございます」
メイは嬉しそうに返した。
すると、おばちゃんが機嫌悪そうに
「ちっ。男の人に褒められたくらいで調子に乗るんじゃないわよ」
と小声で言った。

店長は少し休んできな、と
メイを気にかけた。

「そうします」
メイは少しの間休憩に行った。

休憩していると、
おばちゃんがやってきて
「若いのに、休憩なんていいご身分ね」

「すみません。すぐ戻ります。」

「あなたはいつも、謝ってばかり、その言葉しか知らないのかしら」

「……。」
メイは何も言い返せず、休憩を終えた。

その日は、これ以上何事もなく
閉店まで仕事をこなした。
このような日々が続いていた。

ーー 一方アカリは ーー

「ここが例のギルドね!」
ジョンの紹介先のギルドへ着いた。

とりあえず入った。

すると、
「見ない顔ですね」
受付の人が話しかけてきた。

「ジョンの知り合いから紹介されて来ました
アカリです!
よろしくお願いします!」
元気よく挨拶をした。

「アカリさんですね
話は伺っております
詳しく話がしたいので、こちらへどうぞ」

「ありがとうございます!」

報酬の話や、色々話を聞き
ギルドに入ることにした。

(これでメイちゃん
楽できるかもしれない)
大変なのは承知だけど
ここから、もっと楽しくなるんだって
アカリは嬉しく思えた。

夕暮れ
アカリは家に帰った。
「メイちゃーん!」
バンッと大きな音を立て
家の中へ入った。

「おかえり
いい事でもあった?」

「あったよ!
ギルド入れたんだ!」

「おめでとう
これから頑張ってね」
メイは疲れてるのか、淡々と応えるだけだった。

「疲れてる?」
気になったアカリは聞いてみた。

「大丈夫だよ。気にしないで
ご飯でも食べよ」
メイは、職場で貰った売れ残りを出した。

「いつも、ご飯ありがとね」

「大丈夫。」
(アカリがいれば頑張れる。
大丈夫)

「「いただきます」」
ご飯を食べ終えると

「寝るね」
メイはそれだけを言って部屋に行こうとした。

アカリが
「困ったことあったら
何でも言ってね。
待ってるよ……。」
悲しげに言った。

「ありがとう。大丈夫だから
じゃ、おやすみ
ギルド活動頑張ってね」
静かにドアは閉められた。

メイはベッドの上で
(ごめんね。でも大丈夫だから)
自分自身でも、何が大丈夫かわからなくなっていた。
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