密にできないコイ

古波蔵くう

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Episode.5

秘密【侑久side】

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 1月13日。仁和にネーネー(従姉)を見られて、2日が経過した。仁和はあの日から学校に来ていない。たぶん、俺のことを視界に入れたくないのだろう。
《今日……謝りに行こうかな? 大晦日に過ごしたから住んでいる場所は分かる》
俺はクリスマスが終わった後、岩田から
「仁和の住んでいる場所知りたい?」
と。言われた。
「知りたい……」
俺はどうせなら知りたい。ネーネーもいない部屋で1人は寂しいから。
「では、問題形式にしましょう……」
岩田や千々野はこの遊びが好きなのだろうか。知りたい情報を問題形式にするのが。
「沖縄の苗字の一つ『嘉数かかず』と稲穂の一文字を取って合わせたら分かるよ?」
岩田の情報問題だ。俺はノートの1ページを破り、嘉数と稲穂を書き、一文字ずつ破る。
《稲と数……なわけないよな? じゃあ、嘉穂? 嘉穂の地名なら聞いたことある!》
俺は、放課後学校前のバス停に行く。
 バス停、奈留高校前。俺は時刻表を確認する。
「あった! 嘉穂団地前……通るバスは621番! 県営バス何番線まであるんだ?」
と。その時に、621番線が来て仁和が慌てて乗っていった。これで確信がついた。
 現在。俺は今、期末考査を受けている。今日で最終日だし会って話がしたかった。
 放課後、バス停嘉穂団地前。
「ついに、来てしまった……」
俺は団地を見て、重々しい空気が感じた。大晦日の時は気付かなかったが、石でできた年季の入った建物が何件もあって、不気味に見える。俺は仁和の住んでいる場所を探す。嘉穂団地は1~50の号館がある。
 5号館五階。
「疲れた……」
1号館から郵便受けを直視していた。やっと亀山の郵便受けがあった。何回も住民が死んだ魚のような目で俺を見てくる。
「ここが、仁和の部屋だよな……」
俺は階段を登り、右側のドアを叩く。
ーーガン! ガン!
木製のドアじゃない。なんか金属に近い何かだ。すると、ドアが開いた。出てきたのは、寝巻き姿で髪がボサボサの仁和だった。
「仁……仁和……」
俺が声を発した途端、ドアを閉めようとした。俺は片足を突っ込ませ、無理矢理閉めさせないようにした。
「もうににゃの前に現れないで!」
仁和が、そう言う。
「仁和! 君は大きな勘違いをしている! 2日前に俺の服脱がそうとした2人は俺の従姉だ!」
俺は真実を話す。
「だけど、ゆっきーは従姉の事『ネーネー』って、調べたら『姉さん』って意味だったけど?」
仁和は、その言語まで調べていた。
「従姉と同じ苗字だし、幼少期までそう呼んでいたから……伯父や伯母も止めなかったから」
俺はネーネーと呼んでいることも話した。だが、まだ仁和はドアを閉めようとする。
「従姉2人が全裸だった理由は?」
仁和が次の質問を問いかける。
「裸族って言葉聞いたことないか? 言葉通り全裸で性格している人たちのこと……隠してて済まなかった」
俺はドアノブに力を込める。
「決して浮気したわけじゃない! 従姉が帰っているなんて俺も知らなかったんだ!」
俺が込めた力でドアを引っ張り開けた。
「ににゃこそ、勘違いしてごめん」
仁和も謝ってくれた。
「今から、会いに行く?」
俺が聞くと
「今はちょっと、人と会える格好じゃないし」
仁和は、頭を掻く。風呂も入っていないだろうか。
「じゃあ、明日迎えに来る……学校休みだし」
俺は立ち上がり階段を降りていった。
「郵便物も取ってなかったから……取りに行こう」
仁和は、ドアを閉めて羽織ものを着て、部屋を出た。
 翌日、夕方頃源家。
「姉さんたち、服着てるかな?」
仁和が問いかける。
「どうだろう……着て無くても驚かないでね?」
俺は仁和の手を引いて、ドアを開ける。
「ガールフレンド連れて来たぞ!」
俺が叫ぶと、珍しく服着ていたネーネーが来た。
「はじめまして! 従姉の源珠音です」
珠音ネーネーが挨拶する。
「同じく従姉の音海です!」
音海ネーネーも挨拶する。
「リビング行こうか……」
俺は仁和の手を引いて、リビングへ向かった。
「初めまして……ゆっきーのお義姉様」
仁和は、律儀な対応だった。
「お義姉様なんて言わなくていいよ! 後、私達はゆっきーと血は繋がっていないから」
珠音ネーネーが言う。従姉だから当たり前だろう。
「でも、一応苗字同じと言うことですし……ゆっきーが姉さんと呼んでいるので、ににゃもお義姉様と呼ばせてください」
律儀な対応でも、一人称を『私』と言い換えないのは仁和だけかもしれない。
「で? なんでゆっきーはガールフレンド連れて来たの?」
音海ネーネーが答える。
「付き合っているって報告に来たんだけど? 音海ネーネー大丈夫?」
俺は出かける前に、伝えたのだが音海ネーネーは雑誌見ていたから聞いてたふりしたんだろう。
「え? 結婚報告に来たんじゃないの?」
珠音ネーネーも聴き間違えている。
「付き合っているって報告しに来ただけだって! まだ相手の親とも挨拶しにいっていないのに」
俺は勘違いのネーネー2人に言う。
「『婚姻届』市役所から貰って来たのに……」
珠音ネーネーは、婚姻届の紙を机の上に置く。
「いつこんなもの用意したんだ?」
俺は気になり珠音ネーネーに聞いた。
「ゆっきーが昔『僕は珠音ネーネーか音海ネーネーと結婚する!』とか騒いでいたから、その考えが変わらなかった時にって、父親が」
珠音ネーネーがそう言った。
「哲三伯父さん……」
俺が仁和を見ると、ボールペンを手に取って婚姻届を記入し出した。
「に……仁和!? 何してるの!」
俺は仁和に聞くと
「婚姻届記入してるんだよ?」
仁和は平然な口調で答える。
「俺はまだ結婚するって決めたわけじゃ……」
すると、仁和は俺の手を引いて俺の欄にも名前を書かせようとした。
「積極的なガールフレンドのためにも、記入したら?」
音海ネーネーが言う。
「書くけど、役所に出さないでよ……まだ俺たち16だから」
俺は自分の欄も書いた。いつかは結婚もするから練習としては良かったのかもしれないし。
「まぁ、私達の分の婚姻届も入っているからね!」
珠音ネーネーと音海ネーネーが、それぞれの欄が記入された婚姻届を見せつける。
「いつまで俺を子供扱いすんだ! もうブラコンはやめてくれ!」
幼少期から従姉と暮らした俺だが、この2人のネーネーは実の弟みたいに見て来たから、ブラコンになったのか。従弟だからブラコンもシスコンもないか。
「高校卒業したら出す?」
仁和が聞く。
「2人共、安定した収入を稼げたら出そう……」
俺はそう言った。そして、記入済み婚姻届を手に取って
「これは、ネーネーに取られないように俺の部屋に保管する」
と。言った。誤解も解けて俺と仁和はすぐに修復できた。だが、まだ1つ隠していることがあった。俺にとっては恥のようなものだ。
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