ねぇ…私じゃダメですか?

アイネ

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友達以上恋人未満

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私はイズミくんの言葉を思い返していた



「…」



あぁ…

私もそうだ


自分の気持ちなんてまだ分からないことだらけで、自分の気持ちに自信が持てない


この気持ちが恋だという確証なんてどこにもない

でも、恋だったらいいなって、私も思った



「私、待ってる、待っていたい、イズミくんのこと」

「…はい、待っててください」



イズミくんは泣きそうな私を見て、優しく頭を撫でてくれた


すっかり冷たくなったイズミくんの手

その手が私の髪に触れる度、私の胸はドキドキと脈打ったんだ




(これが恋じゃないというのなら…一体恋ってなんなんだろ)




なんて思いつつ、やがて私たちはベンチに腰かけた


肩と肩が触れ合うほど近い距離

触れたところはほんのり熱を帯びて暖かい


会話はあまり無かった

でも、無言でも不思議と心地いい

ずっとそばにいたいと感じた


そうやってどれくらいの時間一緒にいただろう

私たちはすっかり時間を忘れていた



「あ…」

「…!」



遠くで光が登っていた

いつの間にかパラパラと降っていた雪は止んでいて、朝日が私たちを照らし始めていた



「うそ!もうこんな時間!?」

「ご、ごめんなさい、僕、全然時間見てなくて…」



私たちは慌てて「どうしよ」って顔を合わせる

でも、なんだかおかしくなってお互いにクスクスと笑い合った



「………帰りましょうか」



そう言ってイズミくんは手を差し伸べる



「あ、えと…手、冷たそうなので…」

「………ありがと」



私たちは冷えきった手を握りあった



ふと、自分の手が冷たくてよかったなって思った

だって、手を繋ぐ口実が出来たから…



私たちは少しだけ積もった雪をシャリシャリと音を立てて歩き始めた


イズミくんが「こっちの方があったかいですかね?」って言って、自分のポケットに私の手を入れてくれた

すごく、すごく、暖かかった


そしてイズミくんは何も言わずに私の家まで送ってくれた

私の家は公園から少し離れているはずなのに、二人で歩いた道のりはあっという間に感じた


繋いだ手は、ポケットの中でも離れることはなかった


別れ際は少し寂しくて、なかなか繋いだ手を離せなかった

「またね」って言ってお別れして、お互い顔が見えなくなるまで手を振った



「…」



なんだか、恋人みたいだな、なんて、思ったりした
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