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50代の派遣社員、ヴェスパを買う
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母親の四九日を終え、佐藤美香は二年にわたる「介護者」の役割を終え、50代の失業者となった。
ハローワークに書類を提出した帰り、美香は携帯電話のショップに立ち寄りスマートフォンの契約をサブブランドのしかも最安値のものに変更した。
軽自動車で帰宅した彼女はノートパソコンを立ち上げる。これからの収支を予測するためである。若い頃から事務員をしていた彼女は普通に表計算ソフトが使える。
固定費を減らしたい。親が残してくれた古い家はいまのところ雨漏りもシロアリ被害もなく、年間5万円ほどの固定資産税を払うだけで住んでいられる。
「だけど、いつかはドカンとお金がかかるのよね」
アパートメントなら毎月の家賃と契約更新手数料を払っておけば、あとは他人任せ。しかし、自分持ちとなれば、屋根の葺き替えや老朽化した部分の刷新などが必要で、当然、全額自分で払わねばならない。貯金が数百万あっても修繕費で消える可能性はある。
修理積立として月額4万円を経常してみた。この地方都市の家賃よりは遥かに安い。しかし、表計算ソフトで予測する収支は一気にマイナスに転じた。
「やっぱり、派遣さんなんて暮らしていけないじゃないの!!」
みんなどうやって生活しているのか。それとも派遣社員は遠からず、みな死すべき運命なのか。
支出のなかで簡単に削れるものを探してみる。スマートフォンの契約はすでに格安キャリアに変更した。固定費は確実に減っている。しかし、それでも足りない。
「よく、あたりまえと思っていたものを疑ってみる、って言うけど……」
そんな独り言を言いつつ、家の光回線の契約を切った場合の計算をしてみる。
「ダメだ。そんなことしちゃ。スマホのギガがないうえに家でも光回線なしなんて、いくらなんでも情弱になりすぎる」
光回線の契約は残すことにし、ほかに何かないか考えてみることにした。
庭先に白い軽自動車が見える。
「あれも固定費か」
彼女は呟く。
そして……。
白い軽自動車のかわりにピアッジオのスクーター、イノチェンツァホワイトのヴェスパがやってきた。
「プリマベーラ。イタリア語で『春』って意味。でも、これ、今じゃヴェトナムで製造されてんのよね」
彼女の家にやってきたのは、ベスパ ピクニック。
オシャレで知られるヴェスパのピクニックエディション。サドルの色はブラウン。その色に合わせて、大きな荷物も載せられるフロントとリアのラックにも茶色いストラップがかかっており牧歌的な印象を与えている。白いホイールも実用本位のモデルではないことを示していた。
-----------------------------
Primavera PICNIC SPECIFICATIONS
-----------------------------
ENGINE
形式 I-get 4ストローク空冷単気筒 SOHC 3バルブ
総排気量 155cc
最高出力 12.7HP(9.5 kW) / 7,750 rpm
最大トルク 12.8 Nm/ 6,500 rpm
燃料システム 電子制御式燃料噴射システム
トランスミッション 自動無段階変速(CVT)
クラッチ 自動遠心乾式クラッチ
VEHICLE
フレーム スチール製モノコックボディ
フロントサスペンション 片持ちリンクアーム油圧式サスペンション
リアサスペンション 4段階スプリングプリロード調整機構付きモノショックアブソーバー
フロントブレーキ 油圧式200 mmステンレススチール製ディスク ABS
リアブレーキ 機械式140 mmドラムブレーキ
フロントタイヤ 110/70-12”
リアタイヤ 120/70-12”
DIMENSIONS
全長/全幅 1,852mm/680 mm
ホイールベース 1,334 mm
シート高 790㎜
燃料タンク容量 7 リッター
製造国 ベトナム
PRICE
メーカー希望小売価格※ 528,000円(消費税込み)
※上記価格には自賠責保険料、税金(消費税除く)、届出等に伴う諸費用及び車両配送費用等は含まれておりません。販売価格に関しましては、正規販売店へおたずねください。
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だいたいの荷物が運べて高速道路も走れる。
自動車保険よりもバイク保険のほうが高いが車検はないことを考えれば、割安になるというのが彼女の計算だった。
50代の彼女とヴェスパの新しい生活が始まろうとしていた。
ハローワークに書類を提出した帰り、美香は携帯電話のショップに立ち寄りスマートフォンの契約をサブブランドのしかも最安値のものに変更した。
軽自動車で帰宅した彼女はノートパソコンを立ち上げる。これからの収支を予測するためである。若い頃から事務員をしていた彼女は普通に表計算ソフトが使える。
固定費を減らしたい。親が残してくれた古い家はいまのところ雨漏りもシロアリ被害もなく、年間5万円ほどの固定資産税を払うだけで住んでいられる。
「だけど、いつかはドカンとお金がかかるのよね」
アパートメントなら毎月の家賃と契約更新手数料を払っておけば、あとは他人任せ。しかし、自分持ちとなれば、屋根の葺き替えや老朽化した部分の刷新などが必要で、当然、全額自分で払わねばならない。貯金が数百万あっても修繕費で消える可能性はある。
修理積立として月額4万円を経常してみた。この地方都市の家賃よりは遥かに安い。しかし、表計算ソフトで予測する収支は一気にマイナスに転じた。
「やっぱり、派遣さんなんて暮らしていけないじゃないの!!」
みんなどうやって生活しているのか。それとも派遣社員は遠からず、みな死すべき運命なのか。
支出のなかで簡単に削れるものを探してみる。スマートフォンの契約はすでに格安キャリアに変更した。固定費は確実に減っている。しかし、それでも足りない。
「よく、あたりまえと思っていたものを疑ってみる、って言うけど……」
そんな独り言を言いつつ、家の光回線の契約を切った場合の計算をしてみる。
「ダメだ。そんなことしちゃ。スマホのギガがないうえに家でも光回線なしなんて、いくらなんでも情弱になりすぎる」
光回線の契約は残すことにし、ほかに何かないか考えてみることにした。
庭先に白い軽自動車が見える。
「あれも固定費か」
彼女は呟く。
そして……。
白い軽自動車のかわりにピアッジオのスクーター、イノチェンツァホワイトのヴェスパがやってきた。
「プリマベーラ。イタリア語で『春』って意味。でも、これ、今じゃヴェトナムで製造されてんのよね」
彼女の家にやってきたのは、ベスパ ピクニック。
オシャレで知られるヴェスパのピクニックエディション。サドルの色はブラウン。その色に合わせて、大きな荷物も載せられるフロントとリアのラックにも茶色いストラップがかかっており牧歌的な印象を与えている。白いホイールも実用本位のモデルではないことを示していた。
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Primavera PICNIC SPECIFICATIONS
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ENGINE
形式 I-get 4ストローク空冷単気筒 SOHC 3バルブ
総排気量 155cc
最高出力 12.7HP(9.5 kW) / 7,750 rpm
最大トルク 12.8 Nm/ 6,500 rpm
燃料システム 電子制御式燃料噴射システム
トランスミッション 自動無段階変速(CVT)
クラッチ 自動遠心乾式クラッチ
VEHICLE
フレーム スチール製モノコックボディ
フロントサスペンション 片持ちリンクアーム油圧式サスペンション
リアサスペンション 4段階スプリングプリロード調整機構付きモノショックアブソーバー
フロントブレーキ 油圧式200 mmステンレススチール製ディスク ABS
リアブレーキ 機械式140 mmドラムブレーキ
フロントタイヤ 110/70-12”
リアタイヤ 120/70-12”
DIMENSIONS
全長/全幅 1,852mm/680 mm
ホイールベース 1,334 mm
シート高 790㎜
燃料タンク容量 7 リッター
製造国 ベトナム
PRICE
メーカー希望小売価格※ 528,000円(消費税込み)
※上記価格には自賠責保険料、税金(消費税除く)、届出等に伴う諸費用及び車両配送費用等は含まれておりません。販売価格に関しましては、正規販売店へおたずねください。
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だいたいの荷物が運べて高速道路も走れる。
自動車保険よりもバイク保険のほうが高いが車検はないことを考えれば、割安になるというのが彼女の計算だった。
50代の彼女とヴェスパの新しい生活が始まろうとしていた。
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