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15話
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ザイドの飾り帯に縛られた両手首は、擦れて赤く腫れ上がっていた。
「ん、ひぁ……っ! ……やめて、ザイド、さま……っ」
腰を激しく突き上げられるたび、遥希の視界は白と黒の混濁した渦に飲まれる。
唇から零れる喘ぎ声は、もはや自分のものとは思えないほど、甘く、切なげな響きを帯びていた。
「……嘘つきが。俺に縋るその声は、どこまでが真実だ。教えてみろ、遥希……っ!」
ザイドの声は、怒りに震えながらも、遥希の耳には悲鳴のように響いた。
その体躯は、遥希のすべてを覆い隠すように覆い被さり、重く、熱い。
「あ、あぁっ……! 僕は、うそ、なんて……ついてない……っ」
遥希の身体は快楽に嬲られ、理性が崩れ去っていく。しかし、その魂だけは、ザイドへの疑いを、そして教授への複雑な感情を叫びたがっていた。
「……教授は、……僕を、信じてくれた……っ。誰にも、認められなかった、僕を……っ」
ザイドの動きが、一瞬、止まった。
「……信じた、だと?」
遥希は朦朧とする意識の中、過去のトラウマをザイドにぶつける。
「……昔、……別の、発掘現場で、僕の……論文が、横取りされたんです……っ。誰も、僕の言うことを、信じてくれなくて……っ」
溢れ出る涙で、遥希の視界は歪む。
「そんな、僕を……教授だけが、僕の才能を、見抜いてくれて……っ。この、調査を……任せてくれた……っ」
ザイドの金色の瞳が、大きく見開かれた。
遥希の言葉は、まるで熱砂に落ちた一滴の水のようだった。瞬く間に蒸発してしまうかにも見えたが、確かにザイドの心に、これまでなかった波紋を広げていく。
「……だから、教授の言葉を、……僕は、信じて、しまって……っ。ごめ、なさい……っ」
嗚咽を漏らし、震える遥希の身体。
ザイドは遥希の額に滲んだ汗を親指で拭うと、その唇に、まるで傷を癒すかのように、優しいキスを落とした。
「……俺は、お前が過去に何を失い、何を求めていたかを知らなかった。……お前が信じたものを、俺は疑った」
激情に駆られていたザイドの声から、怒りが消え失せていく。
代わりにそこには、後悔と、遥希への深い憐憫の色が滲んでいた。
「俺は、お前を縛り付けたかったのではない。……ただ、お前を、俺だけのものにしたかった……」
ザイドは遥希を拘束していた飾り帯を、ゆっくりと解いた。
自由になった腕で、遥希はザイドの逞しい背中に縋りつく。
「……ザイド、様……」
ザイドは遥希を優しく抱きしめ、その頭を胸元に深く埋めた。
そして、遥希の耳元で、甘く、囁いた。
「……遥希。お前の求める光も、お前を信じる心も、これからはすべて俺が与えてやる。だから、もう、俺以外の男を見るな」
その言葉は、命令でありながら、遥希の心を温かい光で包み込んだ。
夜明け前の砂漠の宮殿に、一筋の希望の光が差し込むように、二人の間に確かな絆が生まれ始めていた。
「ん、ひぁ……っ! ……やめて、ザイド、さま……っ」
腰を激しく突き上げられるたび、遥希の視界は白と黒の混濁した渦に飲まれる。
唇から零れる喘ぎ声は、もはや自分のものとは思えないほど、甘く、切なげな響きを帯びていた。
「……嘘つきが。俺に縋るその声は、どこまでが真実だ。教えてみろ、遥希……っ!」
ザイドの声は、怒りに震えながらも、遥希の耳には悲鳴のように響いた。
その体躯は、遥希のすべてを覆い隠すように覆い被さり、重く、熱い。
「あ、あぁっ……! 僕は、うそ、なんて……ついてない……っ」
遥希の身体は快楽に嬲られ、理性が崩れ去っていく。しかし、その魂だけは、ザイドへの疑いを、そして教授への複雑な感情を叫びたがっていた。
「……教授は、……僕を、信じてくれた……っ。誰にも、認められなかった、僕を……っ」
ザイドの動きが、一瞬、止まった。
「……信じた、だと?」
遥希は朦朧とする意識の中、過去のトラウマをザイドにぶつける。
「……昔、……別の、発掘現場で、僕の……論文が、横取りされたんです……っ。誰も、僕の言うことを、信じてくれなくて……っ」
溢れ出る涙で、遥希の視界は歪む。
「そんな、僕を……教授だけが、僕の才能を、見抜いてくれて……っ。この、調査を……任せてくれた……っ」
ザイドの金色の瞳が、大きく見開かれた。
遥希の言葉は、まるで熱砂に落ちた一滴の水のようだった。瞬く間に蒸発してしまうかにも見えたが、確かにザイドの心に、これまでなかった波紋を広げていく。
「……だから、教授の言葉を、……僕は、信じて、しまって……っ。ごめ、なさい……っ」
嗚咽を漏らし、震える遥希の身体。
ザイドは遥希の額に滲んだ汗を親指で拭うと、その唇に、まるで傷を癒すかのように、優しいキスを落とした。
「……俺は、お前が過去に何を失い、何を求めていたかを知らなかった。……お前が信じたものを、俺は疑った」
激情に駆られていたザイドの声から、怒りが消え失せていく。
代わりにそこには、後悔と、遥希への深い憐憫の色が滲んでいた。
「俺は、お前を縛り付けたかったのではない。……ただ、お前を、俺だけのものにしたかった……」
ザイドは遥希を拘束していた飾り帯を、ゆっくりと解いた。
自由になった腕で、遥希はザイドの逞しい背中に縋りつく。
「……ザイド、様……」
ザイドは遥希を優しく抱きしめ、その頭を胸元に深く埋めた。
そして、遥希の耳元で、甘く、囁いた。
「……遥希。お前の求める光も、お前を信じる心も、これからはすべて俺が与えてやる。だから、もう、俺以外の男を見るな」
その言葉は、命令でありながら、遥希の心を温かい光で包み込んだ。
夜明け前の砂漠の宮殿に、一筋の希望の光が差し込むように、二人の間に確かな絆が生まれ始めていた。
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