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6話
魔塔へ戻った途端、背後の扉が重厚な音を立てて閉ざされた。
ヴィクトールの腕は、街にいた時よりもさらに強く、折れそうなほどエリオットを締め上げる。
「……ヴィクトール様、痛い、です……っ」
「痛い? ……あの男にお前の肌を晒されそうになった、私の心の痛みよりはマシだろう」
ヴィクトールの声は低く、怒りと、それを上回るほどの飢えた欲望が混じり合っていた。
彼はエリオットを寝室の壁へと押し込むと、震える首筋に顔を埋め、深く、牙を立てるように吸い付いた。
「あ……っ、は、あ……!」
逃げ場のない熱が、エリオットを襲う。
ヴィクトールの指が、焦れったそうにエリオットの服の襟を割った。
そこには、先ほどまで隠されていた白銀の首輪が、紅い魔石を怪しく光らせている。
「私のものだという印がありながら、あのような輩に怯えるとは。……よほど、再教育が必要なようだな」
「ち、違います……僕は、ただ……っ」
「言い訳は聞きたくない。お前のその口は、私の名を呼ぶためだけに開け」
強引に唇を奪われた。
それはいつもの慈しむような口づけではなく、領土を侵略するような、荒々しく濃厚な接吻だった。
舌が絡み合い、呼吸が奪われ、エリオットの脳内は真っ白に塗りつぶされていく。
ヴィクトールはエリオットの腰を抱き上げると、そのままベッドへと乱暴に投げ出した。
柔らかなシーツに沈み込む体。その上に、黒い影のようなヴィクトールが覆いかぶさる。
「……っ、さま、ヴィクトール様……怖い、です……」
「怖いか? ならば、もっと深く刻み込んでやろう。お前が誰の庇護のもとで息をし、誰の熱によって生かされているのかを」
ヴィクトールの指先が、首輪の中央にある魔石に触れた。
瞬間、石から溢れ出した膨大な魔力が、エリオットの全身の神経を逆なでるように駆け巡る。
「ひ、ぎゃあ……っ、あああぁっ!」
快感と衝撃が混ざり合った絶叫が漏れる。
魔力回路をヴィクトールの色に染め替えられるその行為は、どんな暴力よりもエリオットの理性を容易く破壊した。
指先が震え、サファイアブルーの瞳が涙で潤み、視線が定まらなくなる。
「ほら、お前の体はこんなに私の魔力を欲している。……あの女や男に、これが与えられたか?」
「い、いや……っ、いらない……あなたの、あなたの魔力、ください……っ」
エリオットは自ら腰を浮かせ、ヴィクトールの体に縋り付いた。
自尊心も、騎士としての誇りも、ヴィクトールの与える圧倒的な悦楽の前では無意味だった。
ただ、この男に満たされたい。この男の所有物として、愛でられ、壊されたい。
そんな本能が、エリオットの理性を食い散らかしていく。
「いい子だ、エリオット。お前の心も、体も、この魔力の奔流も、すべて私の支配下にある」
ヴィクトールはエリオットの涙を舌で掬い取り、満足げに微笑んだ。
その紅い瞳には、自分に依存し、自分なしでは生きていけなくなった美しい獲物への、歪んだ愛情が満ち満ちている。
「二度と、私以外の男にその瞳を向けるな。……もし次があれば、お前をこの塔から一生出さぬよう、その足の腱を切らねばならなくなるからな」
恐ろしい言葉を囁かれながらも、エリオットは恍惚とした表情で頷いた。
首元の重みが、今は何よりも確かな「愛」の証に感じられたから。
夜が更けるまで、魔塔の主は愛おしい「小鳥」を離さなかった。
エリオットの体には、ヴィクトールによって付けられた赤い痕と、消えない魔力の残滓が深く深く刻み込まれていった。
ヴィクトールの腕は、街にいた時よりもさらに強く、折れそうなほどエリオットを締め上げる。
「……ヴィクトール様、痛い、です……っ」
「痛い? ……あの男にお前の肌を晒されそうになった、私の心の痛みよりはマシだろう」
ヴィクトールの声は低く、怒りと、それを上回るほどの飢えた欲望が混じり合っていた。
彼はエリオットを寝室の壁へと押し込むと、震える首筋に顔を埋め、深く、牙を立てるように吸い付いた。
「あ……っ、は、あ……!」
逃げ場のない熱が、エリオットを襲う。
ヴィクトールの指が、焦れったそうにエリオットの服の襟を割った。
そこには、先ほどまで隠されていた白銀の首輪が、紅い魔石を怪しく光らせている。
「私のものだという印がありながら、あのような輩に怯えるとは。……よほど、再教育が必要なようだな」
「ち、違います……僕は、ただ……っ」
「言い訳は聞きたくない。お前のその口は、私の名を呼ぶためだけに開け」
強引に唇を奪われた。
それはいつもの慈しむような口づけではなく、領土を侵略するような、荒々しく濃厚な接吻だった。
舌が絡み合い、呼吸が奪われ、エリオットの脳内は真っ白に塗りつぶされていく。
ヴィクトールはエリオットの腰を抱き上げると、そのままベッドへと乱暴に投げ出した。
柔らかなシーツに沈み込む体。その上に、黒い影のようなヴィクトールが覆いかぶさる。
「……っ、さま、ヴィクトール様……怖い、です……」
「怖いか? ならば、もっと深く刻み込んでやろう。お前が誰の庇護のもとで息をし、誰の熱によって生かされているのかを」
ヴィクトールの指先が、首輪の中央にある魔石に触れた。
瞬間、石から溢れ出した膨大な魔力が、エリオットの全身の神経を逆なでるように駆け巡る。
「ひ、ぎゃあ……っ、あああぁっ!」
快感と衝撃が混ざり合った絶叫が漏れる。
魔力回路をヴィクトールの色に染め替えられるその行為は、どんな暴力よりもエリオットの理性を容易く破壊した。
指先が震え、サファイアブルーの瞳が涙で潤み、視線が定まらなくなる。
「ほら、お前の体はこんなに私の魔力を欲している。……あの女や男に、これが与えられたか?」
「い、いや……っ、いらない……あなたの、あなたの魔力、ください……っ」
エリオットは自ら腰を浮かせ、ヴィクトールの体に縋り付いた。
自尊心も、騎士としての誇りも、ヴィクトールの与える圧倒的な悦楽の前では無意味だった。
ただ、この男に満たされたい。この男の所有物として、愛でられ、壊されたい。
そんな本能が、エリオットの理性を食い散らかしていく。
「いい子だ、エリオット。お前の心も、体も、この魔力の奔流も、すべて私の支配下にある」
ヴィクトールはエリオットの涙を舌で掬い取り、満足げに微笑んだ。
その紅い瞳には、自分に依存し、自分なしでは生きていけなくなった美しい獲物への、歪んだ愛情が満ち満ちている。
「二度と、私以外の男にその瞳を向けるな。……もし次があれば、お前をこの塔から一生出さぬよう、その足の腱を切らねばならなくなるからな」
恐ろしい言葉を囁かれながらも、エリオットは恍惚とした表情で頷いた。
首元の重みが、今は何よりも確かな「愛」の証に感じられたから。
夜が更けるまで、魔塔の主は愛おしい「小鳥」を離さなかった。
エリオットの体には、ヴィクトールによって付けられた赤い痕と、消えない魔力の残滓が深く深く刻み込まれていった。
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