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9話
王国側の羽虫どもを追い払い、静寂を取り戻した魔塔。
その最上階にあるヴィクトールの私室は、今、かつてないほど濃密な熱気に包まれていた。
「……エリオット、もう一度言ってみろ。お前は誰のものだ?」
ベッドに押し倒され、ヴィクトールの長い指がエリオットの喉元——白銀の首輪をなぞる。
ヴィクトールの紅い瞳は、暗い歓喜に濡れていた。
「……っ、は、あ……。僕は……あなたの、ヴィクトール様だけの……ものです……」
エリオットは、潤んだ瞳で主を見上げた。
先ほど大勢の前で宣言した言葉。それを今、二人きりの空間で繰り返すことは、どんな甘い言葉よりもエリオットの心を昂ぶらせた。
「よく言えた。……お前が自ら、あの女たちの前でそう口にした時、私は危うくあいつらをその場で灰にするところだったぞ。……あまりに愛おしくて、独り占めにしたくてな」
ヴィクトールの唇が、エリオットの鎖骨、肩、そして胸元へと、跡を残すように深く落とされる。
騎士として鍛えられたしなやかな体は、今やヴィクトールの愛撫によって、触れられるたびに跳ねる敏感な「雌」の体へと作り替えられていた。
「あ……っ、ヴィクトール、さま……もっと、ください……魔力、が……」
エリオットは自ら腕を回し、ヴィクトールの首に縋り付いた。
体内の魔力回路が、ヴィクトールの熱を求めて疼いている。もはやそれは、単なる魔力供給を超えた、魂の渇きだった。
「強欲な小鳥だ。……いいだろう、お前の望み通り、私の色で塗り潰してやる」
ヴィクトールがエリオットの唇を塞ぐと同時に、首輪の魔石がかつてないほど強く輝いた。
ドクン、と大きな鼓動と共に、ヴィクトールの強大で甘美な魔力が、エリオットの細い血管の隅々まで行き渡る。
「ひ、あぁぁ……っ!!」
脳が焼けるような快感が、エリオットの背中を反らせた。
サファイアブルーの瞳は快楽に白濁し、指先がシーツを強く掴む。
ヴィクトールの魔力に犯されるたび、エリオットは自分が「一人の人間」であることを忘れ、ただヴィクトールの愛に応えるためだけの「器」になっていく感覚に陥る。
それが恐ろしいほどに、心地よかった。
「……お前のすべてが私に染まっていく。この体も、心も、かつての騎士としての誇りでさえも、すべて私のものだ」
ヴィクトールは、恍惚とするエリオットの耳元で、低く、呪いのように甘い声を囁き続ける。
「……はい……っ、全部……ヴィクトール様の……思うままに……っ」
エリオットは、ヴィクトールの胸に顔を埋め、彼の白檀の香りを深く吸い込んだ。
自分を捨てた世界に、もう未練など一欠片もない。
この暗く、温かい魔塔の檻の中で、ヴィクトールの執着に溶かされて生きていくこと。
それこそが、捨てられた聖騎士が見つけた、唯一無二の救済だった。
「ああ、愛しているよ、エリオット。……死ぬまで、この腕の中から離してはやらないからな」
ヴィクトールの独白は、静かな寝室に溶けていった。
夜はまだ長く、二人の熱が冷めることはなかった。
その最上階にあるヴィクトールの私室は、今、かつてないほど濃密な熱気に包まれていた。
「……エリオット、もう一度言ってみろ。お前は誰のものだ?」
ベッドに押し倒され、ヴィクトールの長い指がエリオットの喉元——白銀の首輪をなぞる。
ヴィクトールの紅い瞳は、暗い歓喜に濡れていた。
「……っ、は、あ……。僕は……あなたの、ヴィクトール様だけの……ものです……」
エリオットは、潤んだ瞳で主を見上げた。
先ほど大勢の前で宣言した言葉。それを今、二人きりの空間で繰り返すことは、どんな甘い言葉よりもエリオットの心を昂ぶらせた。
「よく言えた。……お前が自ら、あの女たちの前でそう口にした時、私は危うくあいつらをその場で灰にするところだったぞ。……あまりに愛おしくて、独り占めにしたくてな」
ヴィクトールの唇が、エリオットの鎖骨、肩、そして胸元へと、跡を残すように深く落とされる。
騎士として鍛えられたしなやかな体は、今やヴィクトールの愛撫によって、触れられるたびに跳ねる敏感な「雌」の体へと作り替えられていた。
「あ……っ、ヴィクトール、さま……もっと、ください……魔力、が……」
エリオットは自ら腕を回し、ヴィクトールの首に縋り付いた。
体内の魔力回路が、ヴィクトールの熱を求めて疼いている。もはやそれは、単なる魔力供給を超えた、魂の渇きだった。
「強欲な小鳥だ。……いいだろう、お前の望み通り、私の色で塗り潰してやる」
ヴィクトールがエリオットの唇を塞ぐと同時に、首輪の魔石がかつてないほど強く輝いた。
ドクン、と大きな鼓動と共に、ヴィクトールの強大で甘美な魔力が、エリオットの細い血管の隅々まで行き渡る。
「ひ、あぁぁ……っ!!」
脳が焼けるような快感が、エリオットの背中を反らせた。
サファイアブルーの瞳は快楽に白濁し、指先がシーツを強く掴む。
ヴィクトールの魔力に犯されるたび、エリオットは自分が「一人の人間」であることを忘れ、ただヴィクトールの愛に応えるためだけの「器」になっていく感覚に陥る。
それが恐ろしいほどに、心地よかった。
「……お前のすべてが私に染まっていく。この体も、心も、かつての騎士としての誇りでさえも、すべて私のものだ」
ヴィクトールは、恍惚とするエリオットの耳元で、低く、呪いのように甘い声を囁き続ける。
「……はい……っ、全部……ヴィクトール様の……思うままに……っ」
エリオットは、ヴィクトールの胸に顔を埋め、彼の白檀の香りを深く吸い込んだ。
自分を捨てた世界に、もう未練など一欠片もない。
この暗く、温かい魔塔の檻の中で、ヴィクトールの執着に溶かされて生きていくこと。
それこそが、捨てられた聖騎士が見つけた、唯一無二の救済だった。
「ああ、愛しているよ、エリオット。……死ぬまで、この腕の中から離してはやらないからな」
ヴィクトールの独白は、静かな寝室に溶けていった。
夜はまだ長く、二人の熱が冷めることはなかった。
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