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10話
ヴィクトールとの濃密な夜を越えるたび、エリオットの体には劇的な変化が訪れていた。
かつて失ったはずの魔力が、全く別の形――ヴィクトールの魔力と完全に同調する「共鳴魔力」として、その身に宿り始めていたのだ。
ある朝、エリオットが庭園で一輪の枯れかけた薔薇に触れると、指先から淡い銀色の光が溢れ出した。
光はヴィクトールの魔力の残滓を孕み、瞬く間に薔薇を瑞々しく蘇らせた。
「これは……僕の、力……?」
「……覚醒したか。予想よりもずっと早い」
背後から現れたヴィクトールが、愛おしげにエリオットの腰を引き寄せた。
彼の指が、エリオットの首元で輝く銀の首輪をなぞる。魔石は今や、エリオット自身の鼓動と完全に同期して光を放っていた。
「お前の回路は、私の魔力を受け入れ、私の一部として再構築された。今のお前が持つのは、私と溶け合った唯一無二の力だ」
「あなたと……溶け合った力……」
エリオットはその言葉に、言い知れぬ幸福感を感じた。
かつての「聖騎士」としての力は、国を守るための義務に過ぎなかった。
だが、今のこの力は、ヴィクトールに愛され、彼に染められた証なのだ。
「これで、お前は名実ともに私の番(つがい)だ。……エリオット、もう誰も、お前を無能とは呼ばせない」
ヴィクトールはエリオットの手を取り、その掌に熱い口づけを落とした。
最強の魔導師と、彼によって再定義された美しき騎士。
二人の魔力が共鳴し、塔全体を温かな光の結界が包み込んでいく。
しかし、その光に惹かれるように、不穏な影が動き出していた。
エリオットの新たな力の噂を聞きつけた王国の強硬派が、今度は「伝説の魔導師の力」そのものを奪おうと、禁忌の術策を練り始めていたのだ。
「何が来ようと、私はお前を離さない。……お前も、私から離れるなよ?」
「はい。あなたの側が、僕の生きる場所ですから」
エリオットは微笑み、ヴィクトールの胸に寄り添った。
かつての孤独な騎士はもういない。
彼は今、自分を狂信的に愛する魔導師の隣で、新たな運命の歯車を回し始めていた。
かつて失ったはずの魔力が、全く別の形――ヴィクトールの魔力と完全に同調する「共鳴魔力」として、その身に宿り始めていたのだ。
ある朝、エリオットが庭園で一輪の枯れかけた薔薇に触れると、指先から淡い銀色の光が溢れ出した。
光はヴィクトールの魔力の残滓を孕み、瞬く間に薔薇を瑞々しく蘇らせた。
「これは……僕の、力……?」
「……覚醒したか。予想よりもずっと早い」
背後から現れたヴィクトールが、愛おしげにエリオットの腰を引き寄せた。
彼の指が、エリオットの首元で輝く銀の首輪をなぞる。魔石は今や、エリオット自身の鼓動と完全に同期して光を放っていた。
「お前の回路は、私の魔力を受け入れ、私の一部として再構築された。今のお前が持つのは、私と溶け合った唯一無二の力だ」
「あなたと……溶け合った力……」
エリオットはその言葉に、言い知れぬ幸福感を感じた。
かつての「聖騎士」としての力は、国を守るための義務に過ぎなかった。
だが、今のこの力は、ヴィクトールに愛され、彼に染められた証なのだ。
「これで、お前は名実ともに私の番(つがい)だ。……エリオット、もう誰も、お前を無能とは呼ばせない」
ヴィクトールはエリオットの手を取り、その掌に熱い口づけを落とした。
最強の魔導師と、彼によって再定義された美しき騎士。
二人の魔力が共鳴し、塔全体を温かな光の結界が包み込んでいく。
しかし、その光に惹かれるように、不穏な影が動き出していた。
エリオットの新たな力の噂を聞きつけた王国の強硬派が、今度は「伝説の魔導師の力」そのものを奪おうと、禁忌の術策を練り始めていたのだ。
「何が来ようと、私はお前を離さない。……お前も、私から離れるなよ?」
「はい。あなたの側が、僕の生きる場所ですから」
エリオットは微笑み、ヴィクトールの胸に寄り添った。
かつての孤独な騎士はもういない。
彼は今、自分を狂信的に愛する魔導師の隣で、新たな運命の歯車を回し始めていた。
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