10 / 20
10話
しおりを挟む
ヴィクトールとの濃密な夜を越えるたび、エリオットの体には劇的な変化が訪れていた。
かつて失ったはずの魔力が、全く別の形――ヴィクトールの魔力と完全に同調する「共鳴魔力」として、その身に宿り始めていたのだ。
ある朝、エリオットが庭園で一輪の枯れかけた薔薇に触れると、指先から淡い銀色の光が溢れ出した。
光はヴィクトールの魔力の残滓を孕み、瞬く間に薔薇を瑞々しく蘇らせた。
「これは……僕の、力……?」
「……覚醒したか。予想よりもずっと早い」
背後から現れたヴィクトールが、愛おしげにエリオットの腰を引き寄せた。
彼の指が、エリオットの首元で輝く銀の首輪をなぞる。魔石は今や、エリオット自身の鼓動と完全に同期して光を放っていた。
「お前の回路は、私の魔力を受け入れ、私の一部として再構築された。今のお前が持つのは、私と溶け合った唯一無二の力だ」
「あなたと……溶け合った力……」
エリオットはその言葉に、言い知れぬ幸福感を感じた。
かつての「聖騎士」としての力は、国を守るための義務に過ぎなかった。
だが、今のこの力は、ヴィクトールに愛され、彼に染められた証なのだ。
「これで、お前は名実ともに私の番(つがい)だ。……エリオット、もう誰も、お前を無能とは呼ばせない」
ヴィクトールはエリオットの手を取り、その掌に熱い口づけを落とした。
最強の魔導師と、彼によって再定義された美しき騎士。
二人の魔力が共鳴し、塔全体を温かな光の結界が包み込んでいく。
しかし、その光に惹かれるように、不穏な影が動き出していた。
エリオットの新たな力の噂を聞きつけた王国の強硬派が、今度は「伝説の魔導師の力」そのものを奪おうと、禁忌の術策を練り始めていたのだ。
「何が来ようと、私はお前を離さない。……お前も、私から離れるなよ?」
「はい。あなたの側が、僕の生きる場所ですから」
エリオットは微笑み、ヴィクトールの胸に寄り添った。
かつての孤独な騎士はもういない。
彼は今、自分を狂信的に愛する魔導師の隣で、新たな運命の歯車を回し始めていた。
かつて失ったはずの魔力が、全く別の形――ヴィクトールの魔力と完全に同調する「共鳴魔力」として、その身に宿り始めていたのだ。
ある朝、エリオットが庭園で一輪の枯れかけた薔薇に触れると、指先から淡い銀色の光が溢れ出した。
光はヴィクトールの魔力の残滓を孕み、瞬く間に薔薇を瑞々しく蘇らせた。
「これは……僕の、力……?」
「……覚醒したか。予想よりもずっと早い」
背後から現れたヴィクトールが、愛おしげにエリオットの腰を引き寄せた。
彼の指が、エリオットの首元で輝く銀の首輪をなぞる。魔石は今や、エリオット自身の鼓動と完全に同期して光を放っていた。
「お前の回路は、私の魔力を受け入れ、私の一部として再構築された。今のお前が持つのは、私と溶け合った唯一無二の力だ」
「あなたと……溶け合った力……」
エリオットはその言葉に、言い知れぬ幸福感を感じた。
かつての「聖騎士」としての力は、国を守るための義務に過ぎなかった。
だが、今のこの力は、ヴィクトールに愛され、彼に染められた証なのだ。
「これで、お前は名実ともに私の番(つがい)だ。……エリオット、もう誰も、お前を無能とは呼ばせない」
ヴィクトールはエリオットの手を取り、その掌に熱い口づけを落とした。
最強の魔導師と、彼によって再定義された美しき騎士。
二人の魔力が共鳴し、塔全体を温かな光の結界が包み込んでいく。
しかし、その光に惹かれるように、不穏な影が動き出していた。
エリオットの新たな力の噂を聞きつけた王国の強硬派が、今度は「伝説の魔導師の力」そのものを奪おうと、禁忌の術策を練り始めていたのだ。
「何が来ようと、私はお前を離さない。……お前も、私から離れるなよ?」
「はい。あなたの側が、僕の生きる場所ですから」
エリオットは微笑み、ヴィクトールの胸に寄り添った。
かつての孤独な騎士はもういない。
彼は今、自分を狂信的に愛する魔導師の隣で、新たな運命の歯車を回し始めていた。
11
あなたにおすすめの小説
【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい
雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。
延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。
俺の婚約者は悪役令息ですか?
SEKISUI
BL
結婚まで後1年
女性が好きで何とか婚約破棄したい子爵家のウルフロ一レン
ウルフローレンをこよなく愛する婚約者
ウルフローレンを好き好ぎて24時間一緒に居たい
そんな婚約者に振り回されるウルフローレンは突っ込みが止まらない
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
陛下の前で婚約破棄!………でも実は……(笑)
ミクリ21
BL
陛下を祝う誕生パーティーにて。
僕の婚約者のセレンが、僕に婚約破棄だと言い出した。
隣には、婚約者の僕ではなく元平民少女のアイルがいる。
僕を断罪するセレンに、僕は涙を流す。
でも、実はこれには訳がある。
知らないのは、アイルだけ………。
さぁ、楽しい楽しい劇の始まりさ〜♪
僕はただの平民なのに、やたら敵視されています
カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。
平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。
真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした
水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」
公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。
婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。
しかし、それは新たな人生の始まりだった。
前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。
そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。
共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。
だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。
彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。
一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。
これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。
痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる