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5話
湊の看病を終えてから一週間、二人の関係は劇的に変化した。
正確には、湊の「愛し方」が、隠しきれない独占欲となって牙を剥き始めたのだ。
「……湊、その、さすがにこれはやりすぎじゃないかな?」
仕事帰りのカフェで、遥は目の前に置かれた最新型のスマートフォンを指差して困惑した。
湊は無表情のまま、自分のコーヒーに口をつける。
「……お前のスマホは古い。セキュリティも甘いから、俺と同じ機種に買い替えた。設定はすべて済ませてある」
「ありがとう、でも……僕の、まだ使えるし。それにこれ、設定って何を?」
「……お前の安全を守るために必要なものだ。それと、夜の十時以降は俺以外の電話に出なくていい。分かったな」
湊の言い方は静かだが、反論を許さない重圧がある。
遥は手渡されたスマホを手に取った。画面にはすでに、湊の電話番号が一番上に登録され、壁紙は湊が撮ったと思われる、どこか冷たくも美しい風景写真に変えられていた。
(これ、もしかして……僕がどこにいるか、湊に全部わかるようになってるんじゃ……)
そんな疑念がよぎるが、湊の瞳を見つめると、そこにはただ純粋で、あまりに重い執着だけが渦巻いている。
「……遥。俺を、疑っているのか?」
湊がテーブル越しに手を伸ばし、遥の指先に触れた。
「ううん、疑ってないよ。湊が僕のことを心配してくれてるのは分かってるから」
遥が無理に微笑むと、湊の指が絡め取られるように遥の掌に滑り込んできた。
「……ならいい。お前は俺の言うことだけを聞いていればいいんだ。他の誰にも、お前の時間を一秒たりとも渡したくない」
その言葉に、遥は甘い痺れを感じると同時に、背筋に冷たいものが走るのを覚えた。
十年間、ずっと彼に選ばれたいと願ってきた。けれど、いざ選ばれてみると、湊の愛は想像以上に深く、暗く、底が見えない。
「……あ、そうだ。明日、会社の先輩の美咲さんとランチに行く約束をしてて……」
「断れ」
湊の声が、一瞬で温度を失った。
「えっ、でも、お世話になってる人だし……」
「……女でも男でも関係ない。俺のいない場所で、楽しそうに笑うお前を想像するだけで、気が狂いそうになるんだ」
湊の指先が、遥の手首を強く締め上げる。
「氷の貴公子」と称えられる完璧な仮面の裏で、湊は今にも壊れそうなほど、遥への愛に飢えているようだった。
「……分かった。断るよ、湊。だから、そんな顔しないで」
遥が宥めるように言うと、湊はふっと視線を和らげ、満足そうに遥の指先に口づけを落とした。
店内の客がこちらを見ているのも構わず、湊は遥を「自分のもの」として誇示するように、執拗に愛撫を繰り返す。
(好きだよ、湊。……でも、僕はいつまで、この檻の中で息ができるんだろう)
スマホから響く着信音は、まるで二人の世界を繋ぐ鎖が擦れる音のように、遥の耳に届いた。
正確には、湊の「愛し方」が、隠しきれない独占欲となって牙を剥き始めたのだ。
「……湊、その、さすがにこれはやりすぎじゃないかな?」
仕事帰りのカフェで、遥は目の前に置かれた最新型のスマートフォンを指差して困惑した。
湊は無表情のまま、自分のコーヒーに口をつける。
「……お前のスマホは古い。セキュリティも甘いから、俺と同じ機種に買い替えた。設定はすべて済ませてある」
「ありがとう、でも……僕の、まだ使えるし。それにこれ、設定って何を?」
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(これ、もしかして……僕がどこにいるか、湊に全部わかるようになってるんじゃ……)
そんな疑念がよぎるが、湊の瞳を見つめると、そこにはただ純粋で、あまりに重い執着だけが渦巻いている。
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湊がテーブル越しに手を伸ばし、遥の指先に触れた。
「ううん、疑ってないよ。湊が僕のことを心配してくれてるのは分かってるから」
遥が無理に微笑むと、湊の指が絡め取られるように遥の掌に滑り込んできた。
「……ならいい。お前は俺の言うことだけを聞いていればいいんだ。他の誰にも、お前の時間を一秒たりとも渡したくない」
その言葉に、遥は甘い痺れを感じると同時に、背筋に冷たいものが走るのを覚えた。
十年間、ずっと彼に選ばれたいと願ってきた。けれど、いざ選ばれてみると、湊の愛は想像以上に深く、暗く、底が見えない。
「……あ、そうだ。明日、会社の先輩の美咲さんとランチに行く約束をしてて……」
「断れ」
湊の声が、一瞬で温度を失った。
「えっ、でも、お世話になってる人だし……」
「……女でも男でも関係ない。俺のいない場所で、楽しそうに笑うお前を想像するだけで、気が狂いそうになるんだ」
湊の指先が、遥の手首を強く締め上げる。
「氷の貴公子」と称えられる完璧な仮面の裏で、湊は今にも壊れそうなほど、遥への愛に飢えているようだった。
「……分かった。断るよ、湊。だから、そんな顔しないで」
遥が宥めるように言うと、湊はふっと視線を和らげ、満足そうに遥の指先に口づけを落とした。
店内の客がこちらを見ているのも構わず、湊は遥を「自分のもの」として誇示するように、執拗に愛撫を繰り返す。
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