異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい

千晶もーこ

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オパール&エメラルド、両家Side2

謁見室は、公のときに使う広間よりも小さい部屋だ。それでも、一番奥の陛下までは30メートルほどあるだろうか。

「失礼致します。」
「近くへ。」
「はい。」

椅子に座った陛下から声がかかる。陛下のななめ後方には宰相の姿も見えた。

「ジェイソンもいたのか。二人揃ってどうしたのだ?大事か?」
「ライアン殿下の事で、お話がございます。」
「!!何かあったのか?」

ウェルクが口を開くと、陛下の顔色が変わる。

「ライアン殿下は本日より復学されました。」
「ああ。」

思っていた答えと違うのだろう。不思議そうな顔に変わった。

ウチの陛下は表情が変わり過ぎではないか?
まぁ、陛下とここにいる3人は側近として昔なじみなので、気を抜いているのだろうが…。

「謹慎中は何をされていたのですか?」
「勉学に励んでいたと思うが?………場所を変えるか。お前たち、今から移動するが、小奴らと一緒だ。付いてこんでいい。」

陛下は護衛に声をかけ、自分の執務室に移動した。

「さてと、ここなら気にせず話せる。遠回しに言わずにはっきり言え。何があった?」
「それでは遠慮なく…。今日、リアから手紙が来ました。これがその手紙です。」
「見ていいのか?」
「どうぞ。」

陛下が手紙を開き、それを覗き込む形で宰相も手紙を読む。
すると、ふたりは青ざめた。

「これは…。」
「私は何もしていないぞ!知らないことだ!」
「言いたいことはそれだけではないのですよ、陛下。我が家の使用人達は優秀でしてね。」

ウェルクの背後に黒い何かがあるように見える。

おお!相当怒っているな。

ゴクリ
陛下はウェルクの迫力に息を呑む。

どちらが国の頭だか……。

「オパール家の皆が優秀なのは、知っている…。」
「その手紙を持ってきた影が言うのです。ライアン殿下がリアの話も聞かず、『野蛮だとか気にするな。その見た目なら野蛮なことには目を瞑る。公の場で醜態を晒すような事はするなよ。』と言ってのけたと。」

宰相は目を見開き驚いている。

「なんてことを…。」

陛下は頭を抱えた。

「陛下。貴方は殿下の謹慎中、何を教えていたのですか?」
「反省と、上に立つ者としての心構えを話したつもりだったが、理解していなかったようだ…。」
「つもりでは困るのですよ!人の可愛い娘を野蛮だ野蛮だと!醜態?どの口が言う!うちの娘は作法も完璧だ!」
「す、すまん。再教育する!」
「もちろんです。……そうだ!再教育、我が家で請け負いましょうか。そうしましょう。」

ウェルクはいい考えだとばかりに手を叩いた。

「い、いや、それはどうだろう。なぁ、宰相。」

陛下は震えて宰相に助けを求める。

「無表情で仮面の侯爵と言われたウェルを変えた娘に、手を出したライアン殿下が悪いのでは?」
「宰相!?」

助けは却下された。

「団長!」
「陛下、ウェルの手前黙っていますが、俺も頭にきてますよ。うちの可愛い嫁なんですから。」
「本当に、すまん。」

肩を落とした陛下を見て、ウェルクが話を切り替える。

「はぁ。とりあえずライアン殿下の抗議はここまでとして、噂の出処です。」
「許してくれるのか!」
「許しませんよ!」
「陛下、話を蒸し返すのはやめたほうが。」
「国民がこの姿を見たら、誰が国を動かしているのか疑問になるな。」

シーン

やべ。口が滑った。

「………出来損ないでごめん。」
「団長!こうなった陛下は面倒くさいの知っているでしょう。どうするんですか!」

陛下は周りの意見にも耳を傾けるし、決断力もある。しかし、一度落ち込むとマイナス思考になるのが欠点だ。

「こうしている間にも可愛いリアが心を痛めているのですよ。いい加減にしてください。」

またウェルクの後ろから黒い物が出てきた…ように見える。

「「「すみません。」」」
「それでは、噂の出処ですが、考えられるのは…」
「それなんだが、ジェイクとプルメリアの婚約話の時、ドアの近くに誰か居たよな?」
「ええ、気配がありましたね。あの時は二人の婚約を言いふらして貰おうと放っておきましたが。」
「あの時、影をつけていなかったか?」

外に漏らしたくない話の時は、オパール家の影が周りに配置され、見張る。

「それは、記憶持ちの話のときだけですね。他の話のときには、敢えて付けませんでした。」
「そうか。気配があったなら、教えてほしかったな。な、宰相。」
「そうですね。私と陛下には二人のような特殊能力はございませんから…。」
「悪い。殺気とかでは無かったから何も言わなかった。」
「で?その誰かがどうしたのですか?」
「そいつらが言いふらしたのでは無いか?」
「しかし、ここで話していたのはお前たちの子の話だったぞ?」
「………」

ウェルクは何も言わずに考えている。そして、少しの間の後、口を開いた。

「………考えようによっては無くはない。」
「そうですね。中途半端に話を聞いたのだとすれば…。」

宰相も思い至ったようだ。

「その話を、ライアン殿下の耳に入れた者は…。」
「謹慎中、ライアンの部屋には教師しか出入りを許可していない。」
「教師ですか。…調べますよ?」
「ああ。」

こうして、この場は終わった。










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