44 / 134
33 ジェイク様、来園
「ジェイク様!」
「リア、元気だったか。」
「えぇ。まさか、こんなに早く会えるなんて、嬉しいです。」
「俺も嬉しいぞ。」
ニコリと笑うジェイク様。
はあ……、格好良い。いえ、可愛い?
私は、ジェイク様を、じっと見つめてしまった。ジェイク様も私を見ている。
時が止まったような気さえした。
コホン。
ライラの咳払いで我に返る。
「あっ。…ジェイク様、座りましょう。」
私とジェイク様は向かい合って座る。
その時にジェイク様の手に目がいった。
包帯!?
私は思わず手を取った。
「!!」
「ジェイク様。この手はどうしたのですか?」
「あ、ああ。ちょっとな。大したことはない。」
「両手に包帯なのに?」
「ああ。」
「ジェイク様、私には言えませんか…。」
少し拗ねると、ジェイクは狼狽えだした。
「本当に大したことではないのだ。…昨日、何もできない自分が悔しくて、拳を握ったらちょっと傷になっただけだ。」
「!」
「…今回の件、聞いた。それで、オパール候爵に一筆書いてもらい、会いに来た。言伝も預かっている。」
「昨日の今日ですよ?」
「そうだな。」
「お仕事は?」
「殿下に休む許可をもらった。」
「…もしかして、心配してくださったのですか?」
「当たり前だろう。」
昨日手紙を送って、今日には調整して駆けつけてくれる。それには、皆の協力も必要だ。
なんて幸せ者なのだろう。
泣けてくる…。
「心配して下さって、ありがとうございます。」
目に涙が浮かぶ。
それを見たジェイク様は、目を見開き固まった。
私は少し不安になっていたけれど、こんなに心配してもらうほど思い詰めてはいなかった。
というか、推理小説みたいでちょっと楽しんでるところもあった。
申し訳ない…。
何も言えず、只々ジェイク様の手を撫でていると、ジェイク様が口を開いた。
「リ、リア?そろそろ手を…。」
「あ、すみません。」
私は急いで手を離した。
「そういえば、お父様からの言伝というのは?」
「今回の親父たちの話し合いで分かったことだな。」
「話し合い?」
「ああ。噂の出処だが…。親父たちが、陛下へ俺たちの婚約の報告をする時、ドアの近くに誰か居たそうだ。聞き耳を立て、中途半端に話を聞いたのだろうと。」
「それが分かっていて、そのままに?」
「二人の婚約を言いふらして貰おうと、放っておいたらしい。まさか、ライアン殿下とリアの婚約話に変わっているとは思わなかったそうだ。」
「そうですか。」
「その者は今、調査中だと。そして、その話をライアン殿下の耳に入れた者は、教師が有力だ。謹慎中に部屋の出入りを許可されていたのは、教師のみだったそうでな。」
うーん…。
「他に部屋に入れる者は、いなかったのですか?」
「ん?許可は出してないらしいが。」
「許可なく入ることは出来ます?」
「護衛騎士がいたと思うぞ?」
「…そうですよね。」
「気になるなら、親父に聞いておく。」
「ありがとうございます。」
「それにしても、元気で安心した。スターチスの言っていたとおりだ。リアはどんな時もリアだな。」
「お兄様は何と?」
「ん?リアは、感覚で動くから考え込まない。それと、走って発散するから大丈夫だと。」
「……その通りかもしれません。少しは不安でしたが、そこまで心は痛みませんでした。…すみません。どちらかと言うと、推理するのに夢中に…。」
「そうみたいだな。」
「それに、学園内の噂はもう払拭されました。」
「え?早くないか?」
「女性の噂話とは凄いものです。しかし、何故かライアン殿下だけには、新たな噂が入らないようですが。」
「新たな噂?」
「私の本当の婚約者がジェイク様と言う事です。」
「そうか。」
「あとの問題は、ライアン殿下が面倒くさい事だけです。」
「…面倒くさいだけで済むのか?酷いことを言われたのだろう?」
ん?なんの事だろう?
「酷いことですか?」
「ああ。」
「うーん…。」
考えていると、後ろからライラが小声で教えてくれる。
「野蛮だとか、醜態だとか、仰られたことでは?」
「ああ!そういえば言われましたね。野蛮だとか、醜態を見せるなとか。」
「それだ。」
「気にしていませんでした。」
「…そうか。ならいいんだ。しかし、リアが気にしていなくても、ライアン殿下の態度は目に余る。親父も、近々再教育となるだろうと言っていた。」
「…そうですか。」
「リア、また何かあったら俺にも知らせてくれ。又聞きでは無く、リアから聞きたい。」
!!
「は、はい。」
何だろう…。
リアから聞きたいって
なんか…なんか…恥ずかしい。
私の顔が赤くなる。
「ん?どうした?」
「いえ。自分でも分かりません…。」
「???」
ジェイク様は不思議そうな顔をしている。
その後、お茶で一息つくと、ジェイク様は帰る準備を始めた。
「途中までお送りしてもよろしいですか?」
「見送りをしてくれるのか?ありがとう。」
笑顔でお礼を言われた。
空気が甘い、甘すぎる…。
そして、ふたりで応接室を出た。
「リア、元気だったか。」
「えぇ。まさか、こんなに早く会えるなんて、嬉しいです。」
「俺も嬉しいぞ。」
ニコリと笑うジェイク様。
はあ……、格好良い。いえ、可愛い?
私は、ジェイク様を、じっと見つめてしまった。ジェイク様も私を見ている。
時が止まったような気さえした。
コホン。
ライラの咳払いで我に返る。
「あっ。…ジェイク様、座りましょう。」
私とジェイク様は向かい合って座る。
その時にジェイク様の手に目がいった。
包帯!?
私は思わず手を取った。
「!!」
「ジェイク様。この手はどうしたのですか?」
「あ、ああ。ちょっとな。大したことはない。」
「両手に包帯なのに?」
「ああ。」
「ジェイク様、私には言えませんか…。」
少し拗ねると、ジェイクは狼狽えだした。
「本当に大したことではないのだ。…昨日、何もできない自分が悔しくて、拳を握ったらちょっと傷になっただけだ。」
「!」
「…今回の件、聞いた。それで、オパール候爵に一筆書いてもらい、会いに来た。言伝も預かっている。」
「昨日の今日ですよ?」
「そうだな。」
「お仕事は?」
「殿下に休む許可をもらった。」
「…もしかして、心配してくださったのですか?」
「当たり前だろう。」
昨日手紙を送って、今日には調整して駆けつけてくれる。それには、皆の協力も必要だ。
なんて幸せ者なのだろう。
泣けてくる…。
「心配して下さって、ありがとうございます。」
目に涙が浮かぶ。
それを見たジェイク様は、目を見開き固まった。
私は少し不安になっていたけれど、こんなに心配してもらうほど思い詰めてはいなかった。
というか、推理小説みたいでちょっと楽しんでるところもあった。
申し訳ない…。
何も言えず、只々ジェイク様の手を撫でていると、ジェイク様が口を開いた。
「リ、リア?そろそろ手を…。」
「あ、すみません。」
私は急いで手を離した。
「そういえば、お父様からの言伝というのは?」
「今回の親父たちの話し合いで分かったことだな。」
「話し合い?」
「ああ。噂の出処だが…。親父たちが、陛下へ俺たちの婚約の報告をする時、ドアの近くに誰か居たそうだ。聞き耳を立て、中途半端に話を聞いたのだろうと。」
「それが分かっていて、そのままに?」
「二人の婚約を言いふらして貰おうと、放っておいたらしい。まさか、ライアン殿下とリアの婚約話に変わっているとは思わなかったそうだ。」
「そうですか。」
「その者は今、調査中だと。そして、その話をライアン殿下の耳に入れた者は、教師が有力だ。謹慎中に部屋の出入りを許可されていたのは、教師のみだったそうでな。」
うーん…。
「他に部屋に入れる者は、いなかったのですか?」
「ん?許可は出してないらしいが。」
「許可なく入ることは出来ます?」
「護衛騎士がいたと思うぞ?」
「…そうですよね。」
「気になるなら、親父に聞いておく。」
「ありがとうございます。」
「それにしても、元気で安心した。スターチスの言っていたとおりだ。リアはどんな時もリアだな。」
「お兄様は何と?」
「ん?リアは、感覚で動くから考え込まない。それと、走って発散するから大丈夫だと。」
「……その通りかもしれません。少しは不安でしたが、そこまで心は痛みませんでした。…すみません。どちらかと言うと、推理するのに夢中に…。」
「そうみたいだな。」
「それに、学園内の噂はもう払拭されました。」
「え?早くないか?」
「女性の噂話とは凄いものです。しかし、何故かライアン殿下だけには、新たな噂が入らないようですが。」
「新たな噂?」
「私の本当の婚約者がジェイク様と言う事です。」
「そうか。」
「あとの問題は、ライアン殿下が面倒くさい事だけです。」
「…面倒くさいだけで済むのか?酷いことを言われたのだろう?」
ん?なんの事だろう?
「酷いことですか?」
「ああ。」
「うーん…。」
考えていると、後ろからライラが小声で教えてくれる。
「野蛮だとか、醜態だとか、仰られたことでは?」
「ああ!そういえば言われましたね。野蛮だとか、醜態を見せるなとか。」
「それだ。」
「気にしていませんでした。」
「…そうか。ならいいんだ。しかし、リアが気にしていなくても、ライアン殿下の態度は目に余る。親父も、近々再教育となるだろうと言っていた。」
「…そうですか。」
「リア、また何かあったら俺にも知らせてくれ。又聞きでは無く、リアから聞きたい。」
!!
「は、はい。」
何だろう…。
リアから聞きたいって
なんか…なんか…恥ずかしい。
私の顔が赤くなる。
「ん?どうした?」
「いえ。自分でも分かりません…。」
「???」
ジェイク様は不思議そうな顔をしている。
その後、お茶で一息つくと、ジェイク様は帰る準備を始めた。
「途中までお送りしてもよろしいですか?」
「見送りをしてくれるのか?ありがとう。」
笑顔でお礼を言われた。
空気が甘い、甘すぎる…。
そして、ふたりで応接室を出た。
あなたにおすすめの小説
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
転生令嬢、シスコンになる ~お姉様を悪役令嬢になんかさせません!~
浅海 景
恋愛
物心ついた時から前世の記憶を持つ平民の子供、アネットは平凡な生活を送っていた。だが侯爵家に引き取られ母親違いの姉クロエと出会いアネットの人生は一変する。
(え、天使?!妖精?!もしかしてこの超絶美少女が私のお姉様に?!)
その容姿や雰囲気にクロエを「推し」認定したアネットは、クロエの冷たい態度も意に介さず推しへの好意を隠さない。やがてクロエの背景を知ったアネットは、悪役令嬢のような振る舞いのクロエを素敵な令嬢として育て上げようとアネットは心に誓う。
お姉様至上主義の転生令嬢、そんな妹に絆されたクーデレ完璧令嬢の成長物語。
恋愛要素は後半あたりから出てきます。
巻き込まれて死亡?!神様、責任とってくださいね?
紅子
恋愛
新作のゲームの為に創った魔法陣に魅入られた神様の眷族のせいで、死んじゃった私。別の世界で残りの生を消化しないと、永遠を流離うって、酷くありませんか?剣と魔法の世界で生き残るなんて出来る気がしません。私、一見、平和そのものなあの世界の住人ですよ?原因を作った眷族をつけてくれる?それなら、なんとか・・・・?はぁ、永遠を流離うくらいなら、眷族と一緒になんとか生き残れるように頑張ります!
毎日00:00に更新します。
完結済み
R15は、念のため。
自己満足の世界につき、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!
白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、
この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。
自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。
ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、
それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___
「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、
トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘!
そんな彼女を見つめるのは…?
異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》
お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
目覚めたら魔法の国で、令嬢の中の人でした
エス
恋愛
転生JK×イケメン公爵様の異世界スローラブ
女子高生・高野みつきは、ある日突然、異世界のお嬢様シャルロットになっていた。
過保護すぎる伯爵パパに泣かれ、無愛想なイケメン公爵レオンといきなりお見合いさせられ……あれよあれよとレオンの婚約者に。
公爵家のクセ強ファミリーに囲まれて、能天気王太子リオに振り回されながらも、みつきは少しずつ異世界での居場所を見つけていく。
けれど心の奥では、「本当にシャルロットとして生きていいのか」と悩む日々。そんな彼女の夢に現れた“本物のシャルロット”が、みつきに大切なメッセージを託す──。
これは、異世界でシャルロットとして生きることを託された1人の少女の、葛藤と成長の物語。
イケメン公爵様とのラブも……気づけばちゃんと育ってます(たぶん)
※他サイトに投稿していたものを、改稿しています。
※他サイトにも投稿しています。
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。