王子と婚約？！お断りさせていただきたく存じます

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「サリアティア、今日は晴れているな！」

昼食時、ノアヴェルトは食事中のサリアティアを見ずに、明後日の方向を見たまま声をかけた。

「？？？…そうですわね。」
「太陽が出ているな！」
「ええ。晴れておりますからね。」
「食事は食べたか？」
「今、頂いていますわ。」
「そ、そうか。」
「殿下？」
「失礼する。またな！」

ノアヴェルトは、足早に離れていった。

「一体何でしたの？」
「サリー、貴方本気で言っていますの？」

サリアティアが首を傾げていると、唯一の友達と言っていい向かいに座っていたラミルヴィラ伯爵令嬢が呆れたように口を開いた。

「？」
「はぁ～。いいですか？確かに、殿下は挙動不審ではありましたが、貴方に会いに、話に、来たのですわ。」
「何故でしょう？」
「そりゃあ、婚約者との交流でしょう。」
「私、婚約者ではありませんわ。」
「…そうでしたわね。何故、婚約者ではないのかしら。どう見たって、殿下は貴方以外に興味はないでしょうに…。」

ノアヴェルトが、自ら声をかける女性はサリアティアだけ。現に先程もノアヴェルトの目にラミルヴィラは入っていなかった。
サリアティアも目に入っていなかったと言えなくもないが。それは別として…。

「そんなことないですわよ？」
「そう思うのは何故ですの？」
「きちんと話をしたことなどありませんもの。」
「どういうことでしょう？」
「先程のようなことは、初めてです。いつもは、『婚約を。』『覚悟はできたか。』その2種が主ですの。」
「まさか…。」
「本当ですわ。」
「……確かに、私も二人のやり取りを聞いたことが…。あ！人前だからとかですわよね？」
「婚約者でもありませんし、二人になったことはありません。」
「それは、そうでしょうけど…。お茶に誘われたり！」
「ありませんわ。」
「え？！…10年、ですわ、よ？」
「ええ。身分が釣り合う丁度いい相手というだけでしょうね。それだけで王族に嫁ぐなど、面倒くさいだけですわ。」
「いくらなんでも…。周りの方は何をしているのかしら？」
「ヴィ？ごめんなさい、聞こえませんでしたわ。」
「なんでもありませんわ。」