上 下
59 / 142

57 翌朝

しおりを挟む
「サリーナ様、おはようございます。」
「おはよう。」

今朝も、私とメルは身支度を整えて、馬車の外へ出た。

あれ?
誰もいない?

ルーフとアルの他に姿が見えない。

「おはようございます。サリーナ様。」

馬車の影から、朝食の材料を持ったロンドが出てくる。

「おはよう、ロンド。皆は?」
「まだ起きてきておりませんね。」
「どうしたのかしら?見てこよ…のはロンドにお願いしたほうがいいわね。」

私が見に行こうとすると、ロンドとメルに首を振られたので、ロンドにお願いすることにする。

「私達は朝食の準備をしましょう。」
「畏まりました。」

その時に、ふとロンドの後ろ姿をみると、何やら違和感を感じた。

何だろう?

「それにしても、どうしたのかしらね。私、いつもより早く起きてしまった?」
「いえ、昨日より遅いくらいです。」
「そうよね。」

そうなのだ。
やはり、夜眠れなかった事もあって、起きる時間が少し遅くなったのだ。

皆、起きていると思っていたのに、本当にどうしちゃったのかしら。

不思議に思いながら、朝食の準備を進めていく。

ガシャン!

メルがお皿を落としてしまった。

「メル!大丈夫!?」
「怪我はない?」
「申し訳ございません。お皿が…。」
「それは気にしないで。お父様には私が話しておくわ。」
「申し訳ございません。」
「それにしても、珍しいわね。」
「その…実は今朝から、手に力が入りづらいのです。」
「え?」
「身体のだるさもありまして。」
「昨夜は?」
「昨夜は、いつもと変わりありませんでした。」

確かに元気そうだった。

サリーナは、昨夜の散歩後のメルの様子を思い浮かべる。

「魔力量が増えているぞ。」
「「え?」」

ルーフの言葉に私達は驚いた。

「リーナは、魔力の気配がまだ分からないか。」
「ええ。」
「可視化してみろ。」

ルーフに言われた通り、メルの魔力操作を可視化する。

「モヤが広がっている…。」
「だろ?」
「何で?」
「それは分からん!」
「えー!」
「分からないものは仕方ないだろう?」
「もしかして、昨日の魔力操作の練習が原因でしょうか?」
「普段との違いはそれだけ?」
「魔法は日常的に使いますし、他はキャンプ生活をしている事ですね。」
「キャンプで魔力量が増える事はないものね。」
「そうですね。」
「では、魔力操作で魔力量が増えて、体調不良を起こしていると言う事になるのね。それでは、お父様達は…」

メルと同じ状況と言うこと?

「サリーナ様。」
「ロンド。お父様達は?」
「それが、起き上がれないようです。」
「え!?」




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

俺を裏切り大切な人を奪った勇者達に復讐するため、俺は魔王の力を取り戻す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,390pt お気に入り:90

婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:894pt お気に入り:4,184

【完結】悪役令嬢のトゥルーロマンスは断罪から☆

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:1,896

婚約破棄されたから、とりあえず逃げた!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:1,121

フローライト

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:105

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:682pt お気に入り:137

処理中です...