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61 疲労
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夕食は、皆で食べることができた。
「皆、元気になって良かった。」
「ね、寝ていれば治ると言ったでしょ?」
「本当に、パールの言う通りね。」
サリーナが笑顔で言うと、パールは得意気だ。
「リーナ、色々ありがとう。」
「本当に助かったよ。」
「肉の下処理も出来たとは驚きだったな。」
「サリーナ様でございますから。」
「そうだな。驚いてはいけない。」
「本当にご迷惑をおかけいたしました。」
皆がにこやかに話している中、アイザックだけが眉間に皺を寄せている。
「ザック様?まだ体調が優れませんか?」
「いや、大丈夫。リーナは、疲れていない?」
「心遣いありがとうございます。問題ありません。」
「そうかな?」
「どうかなさいましたか?」
「うーん…こころなしか表情が硬い気がする。」
「え?そうですか?」
「色々任せてしまったから、疲れたか?我々はリーナのお陰で回復したから、早めに休みなさい。」
「お父様。でも、片付けなど…」
「後片付けは私共にお任せください。もとより、それが仕事でございます。」
「分かったわ。ロンド、メル、お願いします。それでは、先に失礼いたします。」
サリーナは、ルーフと共に馬車へ向かった。その後ろ姿を、心配そうにアイザックとパールは見つめている。
馬車に入ると、サリーナは『ふぅ…』と息を吐きながら座席に座った。
「リーナ。大丈夫か?」
「身体は大丈夫よ。…でも、確かに疲れたわ。皆が動けない間に何かあったらと、気を張っていたからかしらね。」
「お陰で、気配の探り方が分かったのではないか?」
そうなのだ。作業をしながら、五感を使って周りを気にしていたら、魔力の気配と言う物が少し分かるようになったのだ。
「そうだけど、こんなに集中しなくてはならないのは、ちょっと…。」
「そのうち慣れる。」
「うん、頑張るわ。」
「頑張る必要はない気もするが?」
「そうなの?」
「使っているうちに慣れるだろう。」
「それなら良いんだけど。」
サリーナは座席に横になり、目を閉じた。
サリーナに自覚はなかったが、初めて魔法を使ってからの2日間の魔力の使用は、サリーナの身体に負担をかけていた。
翌日の朝
いつも自分で起きるサリーナが、起きない。
「サリーナ様、朝でございます。」
「…」
「サリーナ様。」
「…」
「失礼いたします。」
メルは、今度はサリーナの肩を軽く叩きながら名前を呼んだ。
「サリーナ様。」
「…」
起きない。
メルは少し、声のボリュームをあげる。
「サリーナ様。朝でございますよ。」
「…」
こんな事は今までにない。
…いいえ、あった。
3歳のあの時…。
「だ、旦那様!」
メルは、急いで馬車を出て、ジャックの元へ報告に向かった。
「皆、元気になって良かった。」
「ね、寝ていれば治ると言ったでしょ?」
「本当に、パールの言う通りね。」
サリーナが笑顔で言うと、パールは得意気だ。
「リーナ、色々ありがとう。」
「本当に助かったよ。」
「肉の下処理も出来たとは驚きだったな。」
「サリーナ様でございますから。」
「そうだな。驚いてはいけない。」
「本当にご迷惑をおかけいたしました。」
皆がにこやかに話している中、アイザックだけが眉間に皺を寄せている。
「ザック様?まだ体調が優れませんか?」
「いや、大丈夫。リーナは、疲れていない?」
「心遣いありがとうございます。問題ありません。」
「そうかな?」
「どうかなさいましたか?」
「うーん…こころなしか表情が硬い気がする。」
「え?そうですか?」
「色々任せてしまったから、疲れたか?我々はリーナのお陰で回復したから、早めに休みなさい。」
「お父様。でも、片付けなど…」
「後片付けは私共にお任せください。もとより、それが仕事でございます。」
「分かったわ。ロンド、メル、お願いします。それでは、先に失礼いたします。」
サリーナは、ルーフと共に馬車へ向かった。その後ろ姿を、心配そうにアイザックとパールは見つめている。
馬車に入ると、サリーナは『ふぅ…』と息を吐きながら座席に座った。
「リーナ。大丈夫か?」
「身体は大丈夫よ。…でも、確かに疲れたわ。皆が動けない間に何かあったらと、気を張っていたからかしらね。」
「お陰で、気配の探り方が分かったのではないか?」
そうなのだ。作業をしながら、五感を使って周りを気にしていたら、魔力の気配と言う物が少し分かるようになったのだ。
「そうだけど、こんなに集中しなくてはならないのは、ちょっと…。」
「そのうち慣れる。」
「うん、頑張るわ。」
「頑張る必要はない気もするが?」
「そうなの?」
「使っているうちに慣れるだろう。」
「それなら良いんだけど。」
サリーナは座席に横になり、目を閉じた。
サリーナに自覚はなかったが、初めて魔法を使ってからの2日間の魔力の使用は、サリーナの身体に負担をかけていた。
翌日の朝
いつも自分で起きるサリーナが、起きない。
「サリーナ様、朝でございます。」
「…」
「サリーナ様。」
「…」
「失礼いたします。」
メルは、今度はサリーナの肩を軽く叩きながら名前を呼んだ。
「サリーナ様。」
「…」
起きない。
メルは少し、声のボリュームをあげる。
「サリーナ様。朝でございますよ。」
「…」
こんな事は今までにない。
…いいえ、あった。
3歳のあの時…。
「だ、旦那様!」
メルは、急いで馬車を出て、ジャックの元へ報告に向かった。
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