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67 舞踏会後

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王城から帰る馬車の中

「リーナは楽しめたか?」
「はい。気になることはありますが、楽しめました。」
「ハンニー伯爵親子か?」
「そうです。パールやルーフは甘ったるい匂いがしたと…。精神に干渉するものでは、と言っておりました。」
「それは父さんには?」
「アルを通して伝えてあります。」
「アルは、まだ向こうか?」
「舞踏会も終わりましたし、もう戻ると思いますが、何かありますか?」
「いや、そのまま父さんの傍にいてもらうことは可能か?」
「ええ。」

“アル。”
“は~い。”
“まだお父様の所?”
“そうだけど、もうそっちに行くよ。”
“ちょっと待って…もう少しお父様の傍にいてくれる?”
“OK~”

「でも、どうして?」
「あの時、パール達が対処してくれたけど、俺達は違和感を感じていても、何もできなかった。魔獣の嗅覚が魔法の種類も分かるなら…。」
「ジャズは見張りについているし、アルが居たほうが良いですね。」
「そういう事だ。」
「…ところで、狙いはどなたでしょうね。」
「精神に干渉だろう?自分の思う通りに動かそうとしたなら、陛下か…殿下か…あの場にいたすべての人か…。何にしても注意が必要だな。すでに魔法をかけられている者もいるかもしれない。」
「!」

そうか、その可能性もあるのか!

「面倒くさい事になりそうですね…。」
「嫌か?」
「もちろん。ザック様や皆と楽しく過ごしているのですから、変な事件はノーサンキューです。」
「そうか…。俺は気持ちが高ぶっている。どう仕掛けてくるのか、考えると楽しい。」

リック兄様がニヤリと笑った。

「そ、そうですか。」

リック兄様に、そんな趣味が…。
いや、色んな戦略とか練るためには、必要な考え方なのかな。
さすが未来の宰相候補?

「父さんからも話を聞きたいが、帰りは遅いかもしれないな。」
「そうなのですか?」
「今後の対策も考えないといけないだろうし、騎士団長と話でもするのではないか?」
「舞踏会の後にですか?」
「対策は早い方が良い。」
「それもそうですが、見張りもついていますし…。」
「それでも、万が一も考えて対策しないといけないからな。話し合うことは多いだろ。」
「すでに面倒くさい事になっているのですね…。」
「ははは!面倒くさい事になっているのは、ほぼ陛下と父さんだから。関係ないとは言わないけど、リーナはまだ気にしなくていいと思うぞ。」
「そうでしょうか?嫌な予感がしてなりませんが…。」
「リーナの感は、当たりそうだな。」
「…」
「冗談だ。」

嘘だ。

私はジッとリック兄様を見ると、リック兄様は、私から視線を反らし、馬車の窓につけられたカーテンを開け、外を見る。

「ヨウが迎えに来てくれているはずなんだが、いるかな?」

ヨウとは、リック兄様の梟型の契約獣だ。

「とっくに馬車の屋根に止まっているぞ。パトリックも知っているだろう。」

ルーフの言葉でリック兄様は一瞬固まり、ゆっくりカーテンを締めた。

「リック兄様。」
「何だ?」

表情は変わらない。

「ヨウを中に入れてあげたらいかが?」
「風を受けられる馬車の上が好きなんだ。」
「そうですか。」
「ああ。」

私達の微妙な空気に、ルーフは首を傾げていた。

「俺は何か変なことを言ったのか?」






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