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73 事情聴取
ふたりの顔は近づき、お互いの唇が触れる寸前…。
ガチャ
音がした方を見ると、ハンス隊長が片手にお茶が用意されたおぼんを持って、ドアを開けていた。
「あ、すまん。まだだったか。」
『まだ』って何…!?
「隊長。ノックくらいしてください…。」
「したぞ。」
「…気づきませんでした。」
「出直すか?」
「そうしてください。」
「ザック様!?」
「………冗談です。どうぞ。」
「クククッ。不本意そうだな。」
「そうですね。」
「ザック様!ハンス隊長、申し訳ございません。」
ハンス隊長は、私達と対面の椅子に座る。
「いいえ、スウィンティー様。噂の可愛い婚約者が来ているのですから、仕方ありません。」
「噂?」
「はい。新人ルーキーは、幼い頃より婚約者一筋のおも…情熱的な騎士。」
今、『重い』と言いかけましたよね?
「それに、婚約者がこの世で一番可愛いと断言していましたからね。」
「え?」
「本当の事です。最近は『可愛い』の中に『美しさ』も出てきて、困っています。」
「困る?」
「リーナは、分からなくても良いよ。隊長、それより今日の話を。」
「そうだな。スウィンティー様、事の次第を説明してもらっても宜しいですか?それと、メモを取らせてください。」
「ええ、どうぞ。…まずお友達と中庭へ行くと、アイラン·ハンニー様が私達の前にいらっしゃって、『アイザック様は私と結ばれるの。』と仰って、魔力を放出し始めました。」
ザック様が顔をしかめる。
「それをバリアで防いだら、先日の舞踏会での襲撃未遂が私のせいだと思われたようですね。さらに、激昂されました。」
「サリーナ様は大丈夫でしたか?被害は?」
「大丈夫です。周りへの被害もありません。バリアでアイラン様を囲んでいたので、その中だけ荒れていました。」
「この世界一番の魔法使い…そう言っていたんだよね?」
「ええ。」
「どういうことだ?この国で一番魔力が強いと言われているのは…」
ハンス隊長がサリーナを見る。
「リーナですね。…他に魔力が強いのは、王族とスウィンティー公爵家の面々。」
「…他の国から来たのか?」
「それもあり得ます。引き取られたのは最近の様ですから。」
「学校も特別編入枠だそうです。」
「特別編入?なぜ?」
「それは、分かりません。詳しく聞く時間がありませんでした。」
「そうですか。では、その事はこちらで学校へ確認することにいたします。」
「よろしくお願いいたします。」
「はい。…それにしても、バリアの張替えは、アイザックとは違う者に行ってもらった方が良さそうだな。」
「え?」
「そうしてください。」
「ザック様。」
「ん?」
「バリアの張替え、行かれないのですか?」
私が不思議に思っていると、隊長さんが答えてくれた。
「あ~。あの娘がアイザックが狙いなら、近づける事は良策とは言えませんから。」
あ、そうか…。
「しかし、それが出来る魔力と操作性の持ち主というとな…。」
「それなら、わた…」
「駄目。」
言い終える前に、ザック様に止められた。
「私も、それはやめた方が良いと思います。」
ハンス隊長も反対の様だ。
「スウィンティー様にも敵意を向けている限り、近づけられません。」
「…おそらく、私は彼女の被害を受けることは無いかと思うのです。」
たぶん、と言うか、高い確率で私の方が強い。
「それは、俺もそう。何があるか分からないから駄目。」
「…はい。」
「隊長、いるではないですか。俺と同じくらいの魔力の持ち主。」
「アイザックと同じくらい?」
「?」
「契約獣もいて、騎士団所属の…」
「第3部隊のダリオンか!」
「リオン兄様?」
「リオンならバリアの仕方もすぐ覚えるだろうし、多少の無茶をしてもナイスがいる。」
「負担は軽減されますね…。」
「よし!第3部隊長に話をつけてくる!」
そう言って、ハンス隊長は部屋を出ていった。
それを見て、私はある事を切り出した。
「リオン兄様は、引き受けてくれるのかしら。」
「大丈夫だろ。リーナを危険に陥れたやつを、そのままにはしたくないだろうからな。」
「あの、ザック様…。」
「どうした?」
「もう1つ…ハンス隊長の前では言えませんでしたが、アイラン様は私と同じかもしれません。」
ガチャ
音がした方を見ると、ハンス隊長が片手にお茶が用意されたおぼんを持って、ドアを開けていた。
「あ、すまん。まだだったか。」
『まだ』って何…!?
「隊長。ノックくらいしてください…。」
「したぞ。」
「…気づきませんでした。」
「出直すか?」
「そうしてください。」
「ザック様!?」
「………冗談です。どうぞ。」
「クククッ。不本意そうだな。」
「そうですね。」
「ザック様!ハンス隊長、申し訳ございません。」
ハンス隊長は、私達と対面の椅子に座る。
「いいえ、スウィンティー様。噂の可愛い婚約者が来ているのですから、仕方ありません。」
「噂?」
「はい。新人ルーキーは、幼い頃より婚約者一筋のおも…情熱的な騎士。」
今、『重い』と言いかけましたよね?
「それに、婚約者がこの世で一番可愛いと断言していましたからね。」
「え?」
「本当の事です。最近は『可愛い』の中に『美しさ』も出てきて、困っています。」
「困る?」
「リーナは、分からなくても良いよ。隊長、それより今日の話を。」
「そうだな。スウィンティー様、事の次第を説明してもらっても宜しいですか?それと、メモを取らせてください。」
「ええ、どうぞ。…まずお友達と中庭へ行くと、アイラン·ハンニー様が私達の前にいらっしゃって、『アイザック様は私と結ばれるの。』と仰って、魔力を放出し始めました。」
ザック様が顔をしかめる。
「それをバリアで防いだら、先日の舞踏会での襲撃未遂が私のせいだと思われたようですね。さらに、激昂されました。」
「サリーナ様は大丈夫でしたか?被害は?」
「大丈夫です。周りへの被害もありません。バリアでアイラン様を囲んでいたので、その中だけ荒れていました。」
「この世界一番の魔法使い…そう言っていたんだよね?」
「ええ。」
「どういうことだ?この国で一番魔力が強いと言われているのは…」
ハンス隊長がサリーナを見る。
「リーナですね。…他に魔力が強いのは、王族とスウィンティー公爵家の面々。」
「…他の国から来たのか?」
「それもあり得ます。引き取られたのは最近の様ですから。」
「学校も特別編入枠だそうです。」
「特別編入?なぜ?」
「それは、分かりません。詳しく聞く時間がありませんでした。」
「そうですか。では、その事はこちらで学校へ確認することにいたします。」
「よろしくお願いいたします。」
「はい。…それにしても、バリアの張替えは、アイザックとは違う者に行ってもらった方が良さそうだな。」
「え?」
「そうしてください。」
「ザック様。」
「ん?」
「バリアの張替え、行かれないのですか?」
私が不思議に思っていると、隊長さんが答えてくれた。
「あ~。あの娘がアイザックが狙いなら、近づける事は良策とは言えませんから。」
あ、そうか…。
「しかし、それが出来る魔力と操作性の持ち主というとな…。」
「それなら、わた…」
「駄目。」
言い終える前に、ザック様に止められた。
「私も、それはやめた方が良いと思います。」
ハンス隊長も反対の様だ。
「スウィンティー様にも敵意を向けている限り、近づけられません。」
「…おそらく、私は彼女の被害を受けることは無いかと思うのです。」
たぶん、と言うか、高い確率で私の方が強い。
「それは、俺もそう。何があるか分からないから駄目。」
「…はい。」
「隊長、いるではないですか。俺と同じくらいの魔力の持ち主。」
「アイザックと同じくらい?」
「?」
「契約獣もいて、騎士団所属の…」
「第3部隊のダリオンか!」
「リオン兄様?」
「リオンならバリアの仕方もすぐ覚えるだろうし、多少の無茶をしてもナイスがいる。」
「負担は軽減されますね…。」
「よし!第3部隊長に話をつけてくる!」
そう言って、ハンス隊長は部屋を出ていった。
それを見て、私はある事を切り出した。
「リオン兄様は、引き受けてくれるのかしら。」
「大丈夫だろ。リーナを危険に陥れたやつを、そのままにはしたくないだろうからな。」
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「どうした?」
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