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鬼畜変態野郎と縛りプレイ①
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今日はショッピングに行くと言われた。好きなものを買えって言ってくれたけど、そんな気分じゃない。なんせ絶賛フキゲン中なのだ。
ベッドに入ってナイフでグサリのために、外で裸になって四足歩行、お漏らしプレイをやったのに、約束が果たされてなかった。そのことを抗議したけど、軽くあしらわれたことが原因だ。
「ベッドならともにしたじゃねぇか。おまえを拘束してる間、一緒のベッドに居たぜ」
「そうじゃなくて、一緒に寝るの!」
「一緒に寝るとは聞いてねぇよ」
「……はっ!」
「褒美がほしいなら次のプレイを頑張るこった」
「ぐぬぬっ! 人の揚げ足をとるなんざ、見損なったぜ、鬼畜変態野郎!」
「言っても学ばねーやつだな。ご主人様と呼べよ」
「おまえなんぞ変態鬼畜野郎で十分だ!」
それから一言も口をきかずに過ごした。鬼畜変態野郎も無口だったけど、私の怒り具合にようやく気づいて、ご機嫌を取るためにショッピングに誘ってきたのだ。
そんなもんで機嫌が直るって思われていることが余計に腹立つ!
「飯の時くらい機嫌を直せよ。空気が悪くて嫌な感じだぜ」
「誰のせいだと思ってんのよ!」
お昼ごはんを食べようって話になり、鬼畜変態野郎が選んだ小さなレストランに寄った。
店内は、八人ほど座れるカウンター席とテーブル席が五つ。言い方が悪いけど、こぢんまりしていて古くさい。そういうレストランは嫌いじゃないけど、店主のオジサンがこっちをチラチラ見ていて、ちょっぴり嫌な雰囲気のお店だ。できることなら早く出たいし、ジュースだけ頼んでさっさと出ようと思う。
「何にするんだよ」
「オレンジジュース」
「それだけでいいのか?」
「あまりおなかが空いてないの」
「意味がわからん。何で飯が食べたいって言ったんだよ」
「違うお店でパフェを食べるからこれでいいの」
「おまえやっぱりアホだな。デザートは飯じゃないんだぜ。飯を食え、飯を。どれ、俺が選んでやろう。この季節のお野菜たっぷりサラダ、スープセットにするか」
「ってか、お手洗いに行くけど、勝手なことをしないでよ。いい?野菜なんか絶対に食べないから!」
「なるほど、フリか」
「フッてないわよ!」
鬼畜変態野郎に注文を任せるのは不安だけど、ちょっと我慢出来ないので用を足しにお手洗いへ。
古くさい店なのにキレイなトイレで感動した。最新式のウォシュレットで、床もキレイ、特有の匂いもなし、手を洗うところもキレイだし、何よりもコットンや綿棒、使い捨て歯ブラシとマウスウォッシュ、ドライヤーまで置いてある。女心をよく理解しているお店だ。
店主のオジサン、嫌な雰囲気とか言ってごめんなさい。ここまでトイレがキレイなんだもの、店主のオジサンの心の現れだ。とても美しい心の持ち主だったのね。
「フンフフフフンフフフフン」
さっきまでの不機嫌もぶっ飛ぶほどキレイなトイレに、ニコニコ笑顔で用を済ませて、手洗い場で手を洗おうと服のそでをめくった。
「……あっ、……これって」
手首に赤い痕が残ってるのが見えた。拘束された時の痕だ。
「まさか……」
目の前の鏡で首筋を確認すると、くっきりと歯形がついていた。その痕を見ただけで、あの時の痛みを思い出してドクンと疼いた。
初めてイッた。
真っ白になってドロドロでフワフワで、またほしいって思うほど気持ち良くて。次はどんな事をするんだろう。期待してしまう。
「ダメダメ! ハマッちゃダメ! そういう感情は絶対にダメ!」
私はドMってことが暴露されたけど、それは性癖の話だ。何としても勇者を倒す、これが私の揺るぎない使命だ。
それに揚げ足をとった鬼畜変態野郎を許すことは出来ない。ベッドでグサリのために頑張ってきたのに、無効にするなんてあんまりだ。
「でも、……次のプレイを頑張ればご褒美くれるって、……次のプレイ、……また、次も……気持ち良いことをされたら……」
「されたら?」
「……はまっちゃああああ!?」
居るはずのない鬼畜変態野郎の声が聞こえた。心臓が止まるかと思った。
「なっ!なっ、ななな!」
驚く私をよそに、鬼畜変態野郎はトイレ内をキョロキョロと見回してる。その様子が変態の不審者みたいで、とても冷静になれた。
「ここ女子トイレなんだけど」
「知ってる」
「わざわざおしっこするところを見にきたの? そんなに好きなの?」
「お漏らしプレイが好きな変態みてーな言い方、止めろ」
「えっ、違うの?」
「違う、ただの頼まれ事だ。この店の親父は女子トイレのアレコレを盗撮するのが趣味らしくてな。……おまえも盗撮されてたぜ。今、知り合いのやつらが店主の親父を取り押さえてる。俺はカメラの回収に来た。それだけだ」
「へー……」
「その疑いの目を止めろ」
疑わずにいられないようなことしかしていないくせにって喉まででかかったけど、鬼畜変態野郎が六台のカメラを見つけてるのを見て、盗撮は真実だったんだと、疑ったことを反省した。
でも、もう騙されない。
「知らず知らずの内に盗撮されてた気分は?」
「ここの店主が盗撮マニアのオッサンって知ってるのに、止めもせずトイレに行かせた鬼畜変態野郎の鬼畜っぷりが、実に天晴れだなと思ったし、疑ったことを反省した素直な気持ちを返してほしいとも思った」
「意外と冷静だな。もっと他に恥じるところがあるだろ。見られてたんだぜ、イロイロと」
「その恥じらいを遠慮なく破壊してるくせによく言うよ」
「ハマりそうなほど好きなくせによく言うぜ」
せっかく機嫌が直っていたってのに、またも揚げ足をとってきた。何でこうもキツネ様を怒らせるのがうまいんだ。プレイしたあとは優しいくせに。
「ご主人様のくせに、私がオッサンに見られても平気なんだね」
嫌みったらしくそう言って鬼畜変態野郎をにらむと、バチッと目があって、瞬時にバッとそらした。
唇に目がいって良からぬことを思ってしまった。
あの唇が首に触れて、あの痛みを、真っ白でドロドロでフワフワな感覚を与えてくれた。それを思い出せば出すほど、体が熱くなっていく。
ハマりそうなんじゃなくて、ハマってる。
思い出しただけでこんなにも、あの感覚を求めてしまってる。もっともっとくださいって、体が疼く。
「……やるか」
カメラの回収をしながら鬼畜変態野郎が言った。
「……へ?何を?」
「次のプレイ」
「……次の……」
「やるんなら今からやるぜ」
「……今から……」
「やるか、やらないか、おまえが決めろ。やるんなら覚悟しろよ。ドギツイやつでおまえを落とす」
鬼畜変態野郎が言うほどのドギツイプレイって何だろう。お漏らしや拘束よりもドギツイやつなんて想像出来ない。けど、もっと気持ち良いのかも。
「っ」
ゴクリと喉がなった。コワイけど、期待してるのだ。体が、心が、甘美な痛みを、あの感覚を求めてだしてる。
そうだ、考えを変えよう。
これをやり遂げたら、ご褒美として一緒に寝てもらえる。勇者討伐のために、……そう、これはベッドでグサリ作戦のために必要なプレイで、何もハマッたからじゃない。
「やる」
「やる?」
「精一杯やらせていただきます!」
「いい返事だ。こっちに来い」
立派な言い訳が出来た私は、鬼畜変態野郎に言われるまま、個室トイレの中へ。「座れ」と言われたので便座に座った。
鬼畜変態野郎は、ポケットから縄の束を取り出して、私の手にそれを持たせてきた。一センチにも満たない太さの長い縄の束。少しだけケバ立ってるけど、手で触った感じは痛くない。きちんと手入れされてる感じがした。
「何で縄?」
私が縄を触ってると、鬼畜変態野郎の指が首をなでた。ピクッと反応すると、そこを少しだけ強めにつねりながら、この縄について教えてくれた。
「この縄で、おまえを縛る」
「……は?しば?」
思わず顔を上げた。いつにもまして顔がマジだった。
「……しばる、……縛る?」
「ああ」
「……縛る、……えっ、えっ!? これ、これで縛るの!?」
「ああ」
あっれー、縄って人間を縛るためのモノだっけ!? 縄ってアレだよね、物とかを縛るヤツだよね!? 私の体がモノ以下ってこと!? それとも魔族だから!? でも魔族でキツネのハーフアニマルでも人間寄りだよ! 耳と尻尾が付いてるだけだよ! それでも人間扱いしないってこと!? そもそも縄で体を縛るって何!? そんなプレイは聞いたことがないけど! いや、罪人を捕らえるっていう意味じゃ縄を使ったりするけど……でもキツネ様は無実よ! 何なのよ、何で濃いプレイを求めてくるのよ、この鬼畜変態野郎!
でも何が嫌かって、根っこが変態でドMなせいで、濃いプレイを受け入れ始めてしまう、エロいことに好奇心満載の自分が物凄く嫌だ。
「……覚悟しろと言ったはずだが、……おまえじゃさすがに無理か。……他の女をあたる」
うだうだ考えてる私の手から縄を取り上げてきたので、とられないようにギュッと縄を握り締めた。
「やるの!」
「無理しなくてもいいんだぜ」
「やるったらやるの! だから他の女とかないの! あんたには私だけなの! また変なことを言ったらその首に噛みついてやる!」
「……何だそれ、無自覚にもほどがあるぜ」
「無自覚? 早くやるよ!」
フンッと息を荒くして待ってると、「服を脱いで立て」と言われたので、下着姿になって便座の上に立った。
今から縄で縛られる。
そう思うとドキドキが止まらない。やっぱり変態ドMだ。我ながら情けない。
「やるぜ」
「うん」
一本の長い縄を首にかけられた。
それが始まりだった。
ざらついた縄が体に巻き付いて、肌を擦っていく。くすぐったくて、でも、皮ふを滑る縄の摩擦で、擦られた場所が熱くなる。
縄に擦られただけで、息が荒くなって、興奮していくのが自分で分かる。
荒い息をそのままに、前側に縦四つのコブを作っていく様子を見てた。すると、その縄が股を通ってお尻へ。「へ?」って思う前に、この人の手が背中に回って、ギュッと抱きしめられた。
今からやることが分かった。首から垂れたコブ付きの縄で、首から股、お尻を通って背中へ縄を縛り上げるのだ。体に縄が食い込む。アソコにもお尻にもキツく食い込むだろう。
私の肉を縛る。
それは一体どんなものなのか。怖い。怖いけど、この先が見たい。
「……あっ、……はぁ……」
荒かった息がもっと荒くなった。
この人の広くたくましい背中に腕を回して、服をギュッと握り締めると、声を掛けられた。
「いくぞ」
コクンとうなずくと同時に、縄がグッと体に食い込んだ。
「あっ!」
「はぁ」
ギュッと縛られて息が漏れる。この人も同じ。それが私にも伝わる。ひどく興奮してる。それがよく分かる。手から、縄から、この人の熱が伝わってくる。
丁寧だけどたどたどしく、でも荒々しい熱のこもった縄が、この人の想いが、私の体に巻きついていく。
ひし形を作りながら、私の肉を縛り上げていく。
私の形をこの人が作っていく。
「んっ、……ふぅ」
「はぁ、……はぁ」
呼吸をするとギリリッと縄が食い込む。体の輪郭を縄が作って、ギュッと輪郭を固定して、ざらつく縄が、自分でも知らない体のラインを浮き彫りにしていく。
それはきっと、女の肉の輪郭。
艶かしいほど、女としての輪郭。
「……できたぜ」
息苦しさで涙が溜まり、息を吸うと縄が肉に食い込む。食い込んでる場所が痛くて熱い。どこもかしこも熱くて汗ばんでる。
痛くて苦しくて仕方ないのに、それを受け入れてる自分がいる。
こんなに苦しくて痛いのに、この痛みと苦しみから、この人の熱が伝わってくるんだもの。
不安な想いと、欲にまみれた想い。
それが縄となって体に巻き付いて、私を縛り上げている。
ああ、何て情熱的なんだろう。
「俺を見ろ」
今の想いを見られたくなくて、顔をうつ向かせていた。嫌だと首を振ったら、頬っぺたをなでてきた。
熱い手の温度が私の体に溶け込んでいく。
それが堪らなく好きだと思った。
私は顔を上げた。
痛みと苦しみで涙が止まらなくて、やっぱり汚いそんな私を、この人が見た。縄に縛られてる私を見つめて、歪んでる口元を耳に押し付けてきた。
「キレイだ」
縛られてないはずの心に、言葉の縄が巻き付いた気がした。
嫌いじゃない。
その想いに従って、この人の頬をなでた。この人は首に顔を埋めた。噛まれると思うと、ズグンと子宮が唸った。
ほしくてほしくて堪らずに、お願いしようと口を開いたら、ドンドンとトイレの扉を叩かれた。
「すみませーん! カメラの回収は終わりましたー?」
ここはレストランのトイレということを思い出して、何やってんだって思うと恥ずかしくて頭を抱えた。その動作で縄が食い込む。思わずこの人の服を握りしめた。
「大人しく待ってろ!」
鬼畜変態野郎は声を掛けた人に怒鳴った。慌てて逃げた人に同情したけど、それよりも自分のことで精一杯だ。
「大丈夫か?」
「……うん」
「そうか、大丈夫か。だったら次の命令だぜ。しばらくそのままで過ごせ。俺は先に行ってる」
「へはあ!?」
抗議する前に鬼畜変態野郎はトイレから出て行った。こんな命令なんて聞けるわけがないけど、聞かなかった時の方が恐ろしい。鬼畜変態野郎のことだ、「仲間は解消、さっさと出て行け」って脅してくるに違いない。
でも欲と興奮が抜けて冷静になれば、縛ってる縄もそこまできつくないし、苦しさと痛みにも慣れてくるだろう。しばらくっていっても数時間程度だ。
大丈夫、大丈夫。……多分。
ベッドに入ってナイフでグサリのために、外で裸になって四足歩行、お漏らしプレイをやったのに、約束が果たされてなかった。そのことを抗議したけど、軽くあしらわれたことが原因だ。
「ベッドならともにしたじゃねぇか。おまえを拘束してる間、一緒のベッドに居たぜ」
「そうじゃなくて、一緒に寝るの!」
「一緒に寝るとは聞いてねぇよ」
「……はっ!」
「褒美がほしいなら次のプレイを頑張るこった」
「ぐぬぬっ! 人の揚げ足をとるなんざ、見損なったぜ、鬼畜変態野郎!」
「言っても学ばねーやつだな。ご主人様と呼べよ」
「おまえなんぞ変態鬼畜野郎で十分だ!」
それから一言も口をきかずに過ごした。鬼畜変態野郎も無口だったけど、私の怒り具合にようやく気づいて、ご機嫌を取るためにショッピングに誘ってきたのだ。
そんなもんで機嫌が直るって思われていることが余計に腹立つ!
「飯の時くらい機嫌を直せよ。空気が悪くて嫌な感じだぜ」
「誰のせいだと思ってんのよ!」
お昼ごはんを食べようって話になり、鬼畜変態野郎が選んだ小さなレストランに寄った。
店内は、八人ほど座れるカウンター席とテーブル席が五つ。言い方が悪いけど、こぢんまりしていて古くさい。そういうレストランは嫌いじゃないけど、店主のオジサンがこっちをチラチラ見ていて、ちょっぴり嫌な雰囲気のお店だ。できることなら早く出たいし、ジュースだけ頼んでさっさと出ようと思う。
「何にするんだよ」
「オレンジジュース」
「それだけでいいのか?」
「あまりおなかが空いてないの」
「意味がわからん。何で飯が食べたいって言ったんだよ」
「違うお店でパフェを食べるからこれでいいの」
「おまえやっぱりアホだな。デザートは飯じゃないんだぜ。飯を食え、飯を。どれ、俺が選んでやろう。この季節のお野菜たっぷりサラダ、スープセットにするか」
「ってか、お手洗いに行くけど、勝手なことをしないでよ。いい?野菜なんか絶対に食べないから!」
「なるほど、フリか」
「フッてないわよ!」
鬼畜変態野郎に注文を任せるのは不安だけど、ちょっと我慢出来ないので用を足しにお手洗いへ。
古くさい店なのにキレイなトイレで感動した。最新式のウォシュレットで、床もキレイ、特有の匂いもなし、手を洗うところもキレイだし、何よりもコットンや綿棒、使い捨て歯ブラシとマウスウォッシュ、ドライヤーまで置いてある。女心をよく理解しているお店だ。
店主のオジサン、嫌な雰囲気とか言ってごめんなさい。ここまでトイレがキレイなんだもの、店主のオジサンの心の現れだ。とても美しい心の持ち主だったのね。
「フンフフフフンフフフフン」
さっきまでの不機嫌もぶっ飛ぶほどキレイなトイレに、ニコニコ笑顔で用を済ませて、手洗い場で手を洗おうと服のそでをめくった。
「……あっ、……これって」
手首に赤い痕が残ってるのが見えた。拘束された時の痕だ。
「まさか……」
目の前の鏡で首筋を確認すると、くっきりと歯形がついていた。その痕を見ただけで、あの時の痛みを思い出してドクンと疼いた。
初めてイッた。
真っ白になってドロドロでフワフワで、またほしいって思うほど気持ち良くて。次はどんな事をするんだろう。期待してしまう。
「ダメダメ! ハマッちゃダメ! そういう感情は絶対にダメ!」
私はドMってことが暴露されたけど、それは性癖の話だ。何としても勇者を倒す、これが私の揺るぎない使命だ。
それに揚げ足をとった鬼畜変態野郎を許すことは出来ない。ベッドでグサリのために頑張ってきたのに、無効にするなんてあんまりだ。
「でも、……次のプレイを頑張ればご褒美くれるって、……次のプレイ、……また、次も……気持ち良いことをされたら……」
「されたら?」
「……はまっちゃああああ!?」
居るはずのない鬼畜変態野郎の声が聞こえた。心臓が止まるかと思った。
「なっ!なっ、ななな!」
驚く私をよそに、鬼畜変態野郎はトイレ内をキョロキョロと見回してる。その様子が変態の不審者みたいで、とても冷静になれた。
「ここ女子トイレなんだけど」
「知ってる」
「わざわざおしっこするところを見にきたの? そんなに好きなの?」
「お漏らしプレイが好きな変態みてーな言い方、止めろ」
「えっ、違うの?」
「違う、ただの頼まれ事だ。この店の親父は女子トイレのアレコレを盗撮するのが趣味らしくてな。……おまえも盗撮されてたぜ。今、知り合いのやつらが店主の親父を取り押さえてる。俺はカメラの回収に来た。それだけだ」
「へー……」
「その疑いの目を止めろ」
疑わずにいられないようなことしかしていないくせにって喉まででかかったけど、鬼畜変態野郎が六台のカメラを見つけてるのを見て、盗撮は真実だったんだと、疑ったことを反省した。
でも、もう騙されない。
「知らず知らずの内に盗撮されてた気分は?」
「ここの店主が盗撮マニアのオッサンって知ってるのに、止めもせずトイレに行かせた鬼畜変態野郎の鬼畜っぷりが、実に天晴れだなと思ったし、疑ったことを反省した素直な気持ちを返してほしいとも思った」
「意外と冷静だな。もっと他に恥じるところがあるだろ。見られてたんだぜ、イロイロと」
「その恥じらいを遠慮なく破壊してるくせによく言うよ」
「ハマりそうなほど好きなくせによく言うぜ」
せっかく機嫌が直っていたってのに、またも揚げ足をとってきた。何でこうもキツネ様を怒らせるのがうまいんだ。プレイしたあとは優しいくせに。
「ご主人様のくせに、私がオッサンに見られても平気なんだね」
嫌みったらしくそう言って鬼畜変態野郎をにらむと、バチッと目があって、瞬時にバッとそらした。
唇に目がいって良からぬことを思ってしまった。
あの唇が首に触れて、あの痛みを、真っ白でドロドロでフワフワな感覚を与えてくれた。それを思い出せば出すほど、体が熱くなっていく。
ハマりそうなんじゃなくて、ハマってる。
思い出しただけでこんなにも、あの感覚を求めてしまってる。もっともっとくださいって、体が疼く。
「……やるか」
カメラの回収をしながら鬼畜変態野郎が言った。
「……へ?何を?」
「次のプレイ」
「……次の……」
「やるんなら今からやるぜ」
「……今から……」
「やるか、やらないか、おまえが決めろ。やるんなら覚悟しろよ。ドギツイやつでおまえを落とす」
鬼畜変態野郎が言うほどのドギツイプレイって何だろう。お漏らしや拘束よりもドギツイやつなんて想像出来ない。けど、もっと気持ち良いのかも。
「っ」
ゴクリと喉がなった。コワイけど、期待してるのだ。体が、心が、甘美な痛みを、あの感覚を求めてだしてる。
そうだ、考えを変えよう。
これをやり遂げたら、ご褒美として一緒に寝てもらえる。勇者討伐のために、……そう、これはベッドでグサリ作戦のために必要なプレイで、何もハマッたからじゃない。
「やる」
「やる?」
「精一杯やらせていただきます!」
「いい返事だ。こっちに来い」
立派な言い訳が出来た私は、鬼畜変態野郎に言われるまま、個室トイレの中へ。「座れ」と言われたので便座に座った。
鬼畜変態野郎は、ポケットから縄の束を取り出して、私の手にそれを持たせてきた。一センチにも満たない太さの長い縄の束。少しだけケバ立ってるけど、手で触った感じは痛くない。きちんと手入れされてる感じがした。
「何で縄?」
私が縄を触ってると、鬼畜変態野郎の指が首をなでた。ピクッと反応すると、そこを少しだけ強めにつねりながら、この縄について教えてくれた。
「この縄で、おまえを縛る」
「……は?しば?」
思わず顔を上げた。いつにもまして顔がマジだった。
「……しばる、……縛る?」
「ああ」
「……縛る、……えっ、えっ!? これ、これで縛るの!?」
「ああ」
あっれー、縄って人間を縛るためのモノだっけ!? 縄ってアレだよね、物とかを縛るヤツだよね!? 私の体がモノ以下ってこと!? それとも魔族だから!? でも魔族でキツネのハーフアニマルでも人間寄りだよ! 耳と尻尾が付いてるだけだよ! それでも人間扱いしないってこと!? そもそも縄で体を縛るって何!? そんなプレイは聞いたことがないけど! いや、罪人を捕らえるっていう意味じゃ縄を使ったりするけど……でもキツネ様は無実よ! 何なのよ、何で濃いプレイを求めてくるのよ、この鬼畜変態野郎!
でも何が嫌かって、根っこが変態でドMなせいで、濃いプレイを受け入れ始めてしまう、エロいことに好奇心満載の自分が物凄く嫌だ。
「……覚悟しろと言ったはずだが、……おまえじゃさすがに無理か。……他の女をあたる」
うだうだ考えてる私の手から縄を取り上げてきたので、とられないようにギュッと縄を握り締めた。
「やるの!」
「無理しなくてもいいんだぜ」
「やるったらやるの! だから他の女とかないの! あんたには私だけなの! また変なことを言ったらその首に噛みついてやる!」
「……何だそれ、無自覚にもほどがあるぜ」
「無自覚? 早くやるよ!」
フンッと息を荒くして待ってると、「服を脱いで立て」と言われたので、下着姿になって便座の上に立った。
今から縄で縛られる。
そう思うとドキドキが止まらない。やっぱり変態ドMだ。我ながら情けない。
「やるぜ」
「うん」
一本の長い縄を首にかけられた。
それが始まりだった。
ざらついた縄が体に巻き付いて、肌を擦っていく。くすぐったくて、でも、皮ふを滑る縄の摩擦で、擦られた場所が熱くなる。
縄に擦られただけで、息が荒くなって、興奮していくのが自分で分かる。
荒い息をそのままに、前側に縦四つのコブを作っていく様子を見てた。すると、その縄が股を通ってお尻へ。「へ?」って思う前に、この人の手が背中に回って、ギュッと抱きしめられた。
今からやることが分かった。首から垂れたコブ付きの縄で、首から股、お尻を通って背中へ縄を縛り上げるのだ。体に縄が食い込む。アソコにもお尻にもキツく食い込むだろう。
私の肉を縛る。
それは一体どんなものなのか。怖い。怖いけど、この先が見たい。
「……あっ、……はぁ……」
荒かった息がもっと荒くなった。
この人の広くたくましい背中に腕を回して、服をギュッと握り締めると、声を掛けられた。
「いくぞ」
コクンとうなずくと同時に、縄がグッと体に食い込んだ。
「あっ!」
「はぁ」
ギュッと縛られて息が漏れる。この人も同じ。それが私にも伝わる。ひどく興奮してる。それがよく分かる。手から、縄から、この人の熱が伝わってくる。
丁寧だけどたどたどしく、でも荒々しい熱のこもった縄が、この人の想いが、私の体に巻きついていく。
ひし形を作りながら、私の肉を縛り上げていく。
私の形をこの人が作っていく。
「んっ、……ふぅ」
「はぁ、……はぁ」
呼吸をするとギリリッと縄が食い込む。体の輪郭を縄が作って、ギュッと輪郭を固定して、ざらつく縄が、自分でも知らない体のラインを浮き彫りにしていく。
それはきっと、女の肉の輪郭。
艶かしいほど、女としての輪郭。
「……できたぜ」
息苦しさで涙が溜まり、息を吸うと縄が肉に食い込む。食い込んでる場所が痛くて熱い。どこもかしこも熱くて汗ばんでる。
痛くて苦しくて仕方ないのに、それを受け入れてる自分がいる。
こんなに苦しくて痛いのに、この痛みと苦しみから、この人の熱が伝わってくるんだもの。
不安な想いと、欲にまみれた想い。
それが縄となって体に巻き付いて、私を縛り上げている。
ああ、何て情熱的なんだろう。
「俺を見ろ」
今の想いを見られたくなくて、顔をうつ向かせていた。嫌だと首を振ったら、頬っぺたをなでてきた。
熱い手の温度が私の体に溶け込んでいく。
それが堪らなく好きだと思った。
私は顔を上げた。
痛みと苦しみで涙が止まらなくて、やっぱり汚いそんな私を、この人が見た。縄に縛られてる私を見つめて、歪んでる口元を耳に押し付けてきた。
「キレイだ」
縛られてないはずの心に、言葉の縄が巻き付いた気がした。
嫌いじゃない。
その想いに従って、この人の頬をなでた。この人は首に顔を埋めた。噛まれると思うと、ズグンと子宮が唸った。
ほしくてほしくて堪らずに、お願いしようと口を開いたら、ドンドンとトイレの扉を叩かれた。
「すみませーん! カメラの回収は終わりましたー?」
ここはレストランのトイレということを思い出して、何やってんだって思うと恥ずかしくて頭を抱えた。その動作で縄が食い込む。思わずこの人の服を握りしめた。
「大人しく待ってろ!」
鬼畜変態野郎は声を掛けた人に怒鳴った。慌てて逃げた人に同情したけど、それよりも自分のことで精一杯だ。
「大丈夫か?」
「……うん」
「そうか、大丈夫か。だったら次の命令だぜ。しばらくそのままで過ごせ。俺は先に行ってる」
「へはあ!?」
抗議する前に鬼畜変態野郎はトイレから出て行った。こんな命令なんて聞けるわけがないけど、聞かなかった時の方が恐ろしい。鬼畜変態野郎のことだ、「仲間は解消、さっさと出て行け」って脅してくるに違いない。
でも欲と興奮が抜けて冷静になれば、縛ってる縄もそこまできつくないし、苦しさと痛みにも慣れてくるだろう。しばらくっていっても数時間程度だ。
大丈夫、大丈夫。……多分。
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