【R18】わたしとアイツと腐った純愛

くったん

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わたしとアイツと報告ノート

◆4話

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 彼女と暮らし始めて二週間がたとうとしている。
 ワインの勉強のために来ているだけあって毎日忙しそうだった。
 寝る暇を惜しんで本を読み、二時間ほど寝たと思えば、お世話になっているソムリエの紹介でワイナリーの見学へ。目が回りそうなほどの多忙なスケジュールを心配したけど、彼女はケロッとしている。
「一生の内の、たかが一カ月よ。むしろ一カ月しかないんだから、頑張らないと!」
 彼女が言うに、オンとオフをハッキリさせる生活をすることが、多忙なスケジュールを回す秘訣らしい。
 だから休みの日は本すら開かない。ワインは飲むけどテイスティングではなくガチ飲み。休みは満喫してこその休みだと言っていた。
 彼女が休みの日はデートに誘われる。デートって言っても観光案内なんだけど、それでもぼくは楽しかった。
 今日も休みの彼女とデートだった。
 ひょんな事があって、ぼくが不労所得で生活してることも、不動産や株で儲けてることもバレてしまい、洋服や化粧品が欲しいとおねだりされてしまった。
 もちろん何でも買ってあげるつもりだ。彼女がほしいと思った物を買ってあげたい。彼女のためなら何も惜しくない。彼女が楽しく過ごしてくれるのなら何だってする。それがぼくなりの愛情だ。
「これもかわいい!」
 有名なブランドショップに入って、ワンピースを吟味する彼女をほほ笑ましく思う。どれも彼女に似合うし、気に入らなければオーダーで作るのもありだと思う。
「マイクはどっちの私が好き?」
「どっちも似合いますよ」
「そんなの知ってるわよ。あなたの好みを聞いてるの」
「えっと、……こっち、かな?」
「何で私の質問を質問で返してんのよ。つまんない男ね」
「つ、つまんない男……」
「罰として両方買ってもらうわ。あと追加でバッグもね」
 彼女は傲慢だ。気も強いし、何事も上からだし、ぼくの反応で遊ぶのは日常茶飯事。それでもいいと思う。
 どんどん深みに堕ちている自覚はある。でもとめる気なんて更々ない。
 堕ちるところまで堕ちて、もっと深みにハマりたいと願うようになっただけ。それだけ。
 ただそれだけの小さな欲望が、今のぼくを形成している。
「サキの好きなものを好きなだけ買っていいですよ」
「何それ。お店ごと買えって言ったら買ってくれるの?」
「そんなものでいいなら買い取ります。というかブランドショップじゃ張り合いないです。どうせなら不動産にしませんか?」
「えー、税金とか相続とか法律関係よく分かんないし。あんたの身に何かあったら困るの私だし。まっ、売るのも一つの手だけどさ」
「そこは大丈夫です。その辺りは専門家を交えて手続きするんで、迷惑は絶対に掛けません」
「ほんと!? ならお城が欲しい! お城に住んでみるの夢だったの!」
「一軒家ではなく、お城ときましたか。でも、いいですね、性悪の女のあなたにピッタリです。いくつか物件をピックアップするよう知り合いに頼んでみますね」
「今、さらっと性悪の女って言わなかった?」
「えっ、違うんですか?」
「違うわよ。私は聖母様のように優しいの」
「ええ、あなたは性悪です。そこがあなたの良いところですよ。性悪で、人として腐っていても、堂々としていて美しさすら感じます。素敵です。性悪女神です」
「誉め言葉に聞こえないんだけど」
「どんなあなたでも素敵ですよ」
 そう、彼女は素敵過ぎる。
 彼女を知れば知るほど、彼女を好きになる。
 好きという純粋な想いが、ぼくの表面をドロドロに溶かし、奥に眠ってる欲望を剥き出しにするんだ。

 それを定期的に処理しなければ、ぼくはきっと彼女をムリヤリ犯すだろう。

 だからこうやって、彼女が寝つくのを待って、寝たのを確認したら、ベッドサイドに座って、彼女の寝顔をじっと眺める。
 一週間前から日課になった。
 もちろん触ったりしないで見てるだけ。それ以上のこともしたいけど、彼女の意思を尊重したい。だから我慢だ。
「ああ、本当に、あなたは天使です。出会えて良かったと、心から思います」
 あどけない寝顔を見ているだけで、こんなにも幸せな気持ちにしてくれる。
 そんな彼女を守りたい。そんな彼女が好き。
 ずっと彼女のそばに……
「……関係性なんて要らないです。ただ、あなたを守れる距離にぼくを置いて下さい」
 自然と彼女に手を伸ばしていた。触れる寸前に気づいたから引っ込めた。少しでも気を抜くとこうなる。触れたくてたまらないと欲望が叫んでいるから、自然とそうなってしまうんだと思う。
 でもいつかプツンと切れそうで怖い。彼女のためにも我慢しなければと思う反面、酷いことをしてでも手に入れたいと思う。
 理性と欲望の矛盾、それがぼくの想いなんだ。
「サキ、サキ」
 いつかその柔らかそうな頬に触れる日が来るのだろうか。艶やかな髪の毛を撫でながらほほ笑み合ったり、チャーミングな小さな唇にぼくの唇を……いや、ぼくのあれを唇に押し付けて彼女の舌が……舌がっ!
「はうわあああ!」
 いやらしい想像をしてしまって、思わず頭を抱えてしまった。こういう想像したら欲望が勝って、理性が崩壊してしまう。
 それにこんなぼくがサキの体に触れるだなんてあり得ない! でも……こんなぼくに汚されるサキもイイっ!
「ああっ、ダメだ、いろいろ溜まってるのかも……トホホ」
 これ以上寝顔を見てたら間違いなく犯す自信がある。部屋に戻って一人で処理しようと立ち上がった。服を引っ張られてバッと後ろを振り返った。
「何してるの?」
 サキと目が合った。一瞬意識が飛んだ。
「ねぇ、私の部屋で何をしているの?」
 何で起きてるの? いつから起きてたの? もしかして聞いてた? 全部聞いてた?
 質問したいことが山ほどあるけど、咄嗟に出てきた言葉は一言だけ。
「違うんだ!」
 何がだろう。
「何が?」
 ですよね、ぼくもそう思います。
「何かしようとしてた訳じゃなくて、ただ寝顔を見てただけで! いや本当に見てるだけで十分なんです! これも日課ですから今さら襲うとかそういうんじゃあないんです!」
「寝顔見るのが日課なの?」
「そうです! 幸せタイムなんです! はああああ! ぼくは何をバカ正直に言ってるんだあああ!」
「あははは!」
 サキが声を出して笑った。滅多にないことだから少し驚いた。でも、何だろう、全然嫌な気持ちにならない。
「ごめん、ごめんね、おかしくて。そっかそっか、寝てる女性にいやらしいことをするのが好きなんだ?」
「違ううう! そーじゃなくて!」
「違うの? 下心ナシなの?」
「んぐっ!? いえ、……それは、……あるっちゃーありますけど……」
「どっち? 何でもハッキリと正直に言ってくれる人が好きなんだけどな」
 そうやってすぐにぼくの理性と欲望をオモチャにして遊ぶんだから、本当に困った女性だ。ぼくが本気を出したら、あなたなんかすぐに組み敷けるっていうのに。
 痛い目みないと分からないんだろうけど、ぼくにはそれができないから、ぐっと堪えて遊ばれてあげるしかない。
 これでいい。
 彼女が楽しいならぼくも嬉しい。
「正直、下心でいっぱいです。でも、あなたに酷いことできないから、……せめて寝顔でと思って。……逆効果ですけど」
「あらあらもう限界なの? まだ一週間しか経ってないのに」
「なっ!? 気づいてたんですか!?」
「当たり前でしょ。いつ犯されるか分かったもんじゃないからずっと起きてたわよ」
「犯さないですうう! そんな酷いことできないからこうやって!」
「うんうん、そうみたいだね。マイクはえらいね、男の中の男だね」
「はううう!!」
 彼女の褒め言葉が嬉しすぎて感無量! 彼女はそんなぼくを見てニヤリとしていた。そして指をさしてきた。
 その先を追うとぼくの……
「あああっ!? 違う! これは違うんですううう!!」
 股間を押さえてその場にしゃがんだ。こんなの恥ずかし過ぎる。何だってこんな目に遭うんだ。
「いろいろ溜まってると大変ね」
「違うっ、違うんですぅ!」
「ねえ、マイク」
 彼女の纏う空気がガラリと変わる。初めて感じる空気に、自然と彼女を見つめていた。
 目が合う、それだけでこれからのこと拒否出来ないと肌で感じた。
 それに気づいている彼女は甘い声でぼくに囁いた。
「一人でシテ見せて」
 ゴクリと喉が鳴った。勘違いじゃなく、確かに彼女は言った。一人でシテと。何を?と聞くほど子どもじゃないし、素直に従うほどバカじゃない。冷静に、それを意識して首を横に振ったけど、彼女は笑顔のままぼくを責めた。
「いや、です」
「どうして?」
「そんなの、恥ずかし過ぎる。あなたの前で一人でするなんて、ただの変態じゃないですか」
「私がそう思わないから別にいいんじゃないの?」
「思わないんですか?」
「夜な夜な寝顔を見て悶々としてるよりマシだと思うけど」
「っ」
「ねっ、早くシテみてよ」
「……や、いやです!」
「そ、れ、と、も、シテあげよっか?」
「へ?」
「私の、し、た、で」
 舌なめずりする彼女が生々しくて、逃げるように部屋から飛び出た。すぐに自分の部屋に入り扉を閉めるやいなや、ぼくはズボンを下ろし、そそり立ったあれを自分の手で扱いた。
「サキっ、サキっ」
 彼女の赤い舌が、唾液で濡れた唇が、頭から離れない。
 彼女の何もかもが、ぼくのすべてを壊していく。
 壊されたい。
 壊したい。
 もっと、深く。
「うあっ」
 手に出した白い液。
 彼女を想って出した。
 彼女がこの想いを出させた。
 彼女の奥深くに、これを出したい。
 考えれば考えるほど、ドロドロになって……
「……足り、ない」
 ぼくはその想いを、パクリと食べた。


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