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わたしとアイツと友だち
2話①
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問題を抱えた居候が増えたからって、仕事が休みになるわけじゃない。
あの日以降も出張の連続で、終いには「国産のワインと日本酒の買い付けもよろしく」と命令され、ようやく帰宅出来たのが一週間後の深夜だった。
深夜にも関わらず起きてた藤森夫妻にお土産のワインと日本酒を渡し、シャワーを浴びてベッドに潜り込んだ。
とにかく眠たくて眠たくて、寝て起きてを何度も繰り返し、いい加減起きないと……と覚悟を決めるまで惰眠を貪った。
起きたらお昼過ぎだった。
今日と明日は休みで、明後日からバー勤務に戻る。お休みを満喫したいところだけど、冬馬の事が気がかりだから、勇樹の部屋をノックした。
「開けるよ」
「んー」
部屋を開けると冬馬だけがベッドに横たわっていた。
「勇樹は?」
「バイト」
「それはいいことを聞いたわ。何を買ってもらおうかしら」
「マジで最低」
「んで、あんたは?」
「あー……」
「まっ、中卒じゃ難しいわよね」
立ってるのも何だしベッドに腰掛けると、冬馬が素早くベッドの隅まで逃げた。警戒心の強い野良ネコみたいで面白い。イジワルして遊んでやりたいけど、引っかかれそうだし、大人しく座ったままでいることに。
「土木関係は? 中卒でもオッケーしてくれるところもあるよね」
「……怒鳴られたら、その……」
「そっか」
「いろいろ電話したけど、ダメだった」
「まぁ、どこも基本的に高卒以上だからね」
「……このままだったら、どうしよ」
早く一人立ちしないとって焦るから、うまくいかない方の流れに乗ってしまう。でも冬馬の立場上、焦るなって言われても焦るに決まってる。むしろ焦んなかったら、イロイロな意味で問題だ。
「職探しって、シェアハウス探しみたいなもんだよね」
「はあ?」
「だってさ、一生のうちの3分の1以上は仕事場で過ごすんだよ。赤の他人と最適なコミュニケーションを取りながら。私には無理だわ。集団生活って苦手だし」
「そういや、仕事何してんの?」
「バーテンダー」
「え、意外」
「でしょ? マスターよりも有名になって、今度は私がこき使って、私にしたことすべて返して、お店を奪うことが私の夢よ」
「闇が深すぎて怖い」
「手に職を持つってのもありよ。でも高卒の資格が先かしら。通信制もある時代だし。いやそれよりも今が大切ね。児童相談所ルートならあんたの事情を含めた上で職を紹介してくれるんだけど……」
「……うん」
「まだ未成年だし、マスターに頼み込むわけにもいかないし。あんたの仕事かぁ」
「トイレ行ってくる」
「はい、どうぞ」
冬馬がトイレに行ったすきに、勇樹の枕をすかさず手に取り、思い切り顔面を埋めてスーハーした。
イタリア以降、セックスの回数が激減している。昨日だってシタかったのに、冬馬が居るから夜這いも出来なかった。
勇樹とセックスしたい。
キスから始まってキスで終わる、ラブラブでデロッデロでギッドギドなセックスが、今すぐしたい!
「あぁ、セックスしたくて疼くわ」
カチャリと扉の開く音が聞こえたからすぐに枕を放り投げた。冬馬のおかえりだ。
「おばちゃん、今から出掛けるってさ」
「またパパとデート?」
「うん。あんたが薦めてたワインバーに行くって」
「どうせそのあとセックス三昧だよ。勇樹に妹か弟ができる日も近いわね」
「あんたのそういうところ、マジで最低で下品だと思う」
「何とでも言いなさいよ! 私は美人だから何でも許される……はっ!」
勇樹の勉強用の椅子に座ってる冬馬と目が合った。ピーンッときた。
「そうよ、それよ!」
「何が」
「あんたに向いてる仕事よ!」
「何?」
「ヒモよ、ヒモ男! イケメンだし、すぐに貰い手が見つかるわ! 何で今まで気づかなかったのかしら」
冬馬は下はあれでも上は完璧。稀に見るイケメン。しかもまだ若いから育て甲斐もある。警戒心むき出しの野良ネコのようだけど、そこを含めての育成。これを世のお姉さまが放っておくわけがない。下はあれでも。
「絶対に嫌だ! 何で俺がババアに飼われないといけねーんだよ!」
「じゃあ逆に聞くけど、あんたその顔以外に持ってるモノがあるの?」
「……それは、その……」
「ないよね? 顔しかないよね? おちんちんも器量も小さいし、生意気だし、愛嬌もない。そのあんたが持ってる唯一の才能って顔だけだよね」
「……っ」
真っ赤になって涙目で、それでも負けじと睨んでくる冬馬はやはり良いヒモ男になれると思う。
こんなにも母性と被虐心をくすぐってくるんだもの。はぁ、美味しそう。……下はこれっぽっちも期待出来ないけど。
「で、でも、嫌だ! 俺は絶対に!」
「……冬馬」
立ち上がって冬馬の前にしゃがんだ。そして聖女の笑みを浮かべ、震える手をそっと握る。
「どんなに険しい道でも、一人立ちしたいんでしょう?」
「そうっ、だけど!」
「これしかないのよ、冬馬」
「これ……しか」
「大丈夫よ、お姉さまが手取り足取り教えて、あ、げ、る」
冬馬から「ゴクリ」と喉の鳴る大きな音が聞こえた。
あれれ? まさか本気にしてないよね? だってヒモ男だよ。どう考えても犯罪だし、常識から外れてるから冗談だって分かる……はず、なんだけど……。
「……って言ってたろ」
「へ!?」
「セックスしたいって……」
冬馬の手を握っていたのに、逆に冬馬から手を握られた。その手は小さく震えてる。
これ以上はアウトだと、頭の中で警報が鳴り響く。だからいつものようにおちゃらけた笑みに変えた。
「冗談よ、冗談。ヒモ男なんて。だからこの手を離してくれる?」
「でもセックスは本気だった」
「そうね、それは本気だけど、私だって誰でもいいわけじゃないの」
「俺は……っ」
「ストーーーーップ!」
突然入ってきたやつのおかげで冬馬の声が途切れた。そしてすぐに私の体が包まれた。この逞しい腕の持ち主に早くぶち犯されたーい。
「それ以上はいくら冬馬でも絶対に許さねえかんな!」
ずっと待ち望んでた勇樹の首に腕を回してぎゅうぎゅうに抱きついた。このままセックス出来たら一番なのに。ほんと早くぶち犯されたい。
「あーん、勇樹ってば久しぶり。また筋肉ついたんじゃない?」
「お姉さまこそ、しばらく見ないうちに肉付きが良くなったじゃん。ほら、腹の肉がぷにょぷにょ」
「あらあら、しばらく見ないうちに生意気さも増したのね。しつけのし直しが必要かしら」
「お姉さまこそ浮気癖が酷くなってるみてーだし、しつけのし直しが必要らしいなぁ」
「んんー、何のことかしら?」
「例え冗談でも、言って良い事と悪い事、言って良い人と悪い人が居るんだぜぇ」
「えー、そうなんだぁ! 私っておつむが弱いから知らなかったぁ」
「えー、やっぱりぃ! お姉さまのおつむの悪さは世界一だもんなぁ」
「勇樹ってば、そんなにお姉さまに怒られたいのぉ?」
「お姉さまってば、そんなに俺をマジ切れさせたいのぉ?」
「えへ、えへへ……」
「マジ切れする前に早く謝れ」
「ごめんなさい。本当に申し訳ありませんでした」
「分かればよろしい」
最後にぎゅうっと力強く抱きしめて、勇樹は離れた。もっと引っ付きたいけど……今は放置されてた冬馬をどうにかしないと。さすがに今のやり取りでバレたと思う。
勇樹はこれをどうするんだろう。それによって私も身の振り方を変えないと。
「内緒にしててごめん」
「何が」
「俺、咲希と付き合ってんだ」
「……そっか」
「ずっと言わなきゃって思ってたけど、年の差もあるし……、その……」
「だと思った。つーか、ベッドに忍び込む仲でお察しだっつーの」
冬馬は立ち上がると、掛けてあったコートを手に取り、ドアノブを掴んだ。
「気分転換に一時間散歩してくる。まっ、その間はお好きにどうぞ」
そう言って出て行った冬馬に、思わず拍手をしてしまった。意外にも気が利く子だった。
「冬馬ってばお利口さん」
「ああ?」
違った。ブチ切れ寸前の勇樹から逃げただけだった。
あの日以降も出張の連続で、終いには「国産のワインと日本酒の買い付けもよろしく」と命令され、ようやく帰宅出来たのが一週間後の深夜だった。
深夜にも関わらず起きてた藤森夫妻にお土産のワインと日本酒を渡し、シャワーを浴びてベッドに潜り込んだ。
とにかく眠たくて眠たくて、寝て起きてを何度も繰り返し、いい加減起きないと……と覚悟を決めるまで惰眠を貪った。
起きたらお昼過ぎだった。
今日と明日は休みで、明後日からバー勤務に戻る。お休みを満喫したいところだけど、冬馬の事が気がかりだから、勇樹の部屋をノックした。
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「勇樹は?」
「バイト」
「それはいいことを聞いたわ。何を買ってもらおうかしら」
「マジで最低」
「んで、あんたは?」
「あー……」
「まっ、中卒じゃ難しいわよね」
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「土木関係は? 中卒でもオッケーしてくれるところもあるよね」
「……怒鳴られたら、その……」
「そっか」
「いろいろ電話したけど、ダメだった」
「まぁ、どこも基本的に高卒以上だからね」
「……このままだったら、どうしよ」
早く一人立ちしないとって焦るから、うまくいかない方の流れに乗ってしまう。でも冬馬の立場上、焦るなって言われても焦るに決まってる。むしろ焦んなかったら、イロイロな意味で問題だ。
「職探しって、シェアハウス探しみたいなもんだよね」
「はあ?」
「だってさ、一生のうちの3分の1以上は仕事場で過ごすんだよ。赤の他人と最適なコミュニケーションを取りながら。私には無理だわ。集団生活って苦手だし」
「そういや、仕事何してんの?」
「バーテンダー」
「え、意外」
「でしょ? マスターよりも有名になって、今度は私がこき使って、私にしたことすべて返して、お店を奪うことが私の夢よ」
「闇が深すぎて怖い」
「手に職を持つってのもありよ。でも高卒の資格が先かしら。通信制もある時代だし。いやそれよりも今が大切ね。児童相談所ルートならあんたの事情を含めた上で職を紹介してくれるんだけど……」
「……うん」
「まだ未成年だし、マスターに頼み込むわけにもいかないし。あんたの仕事かぁ」
「トイレ行ってくる」
「はい、どうぞ」
冬馬がトイレに行ったすきに、勇樹の枕をすかさず手に取り、思い切り顔面を埋めてスーハーした。
イタリア以降、セックスの回数が激減している。昨日だってシタかったのに、冬馬が居るから夜這いも出来なかった。
勇樹とセックスしたい。
キスから始まってキスで終わる、ラブラブでデロッデロでギッドギドなセックスが、今すぐしたい!
「あぁ、セックスしたくて疼くわ」
カチャリと扉の開く音が聞こえたからすぐに枕を放り投げた。冬馬のおかえりだ。
「おばちゃん、今から出掛けるってさ」
「またパパとデート?」
「うん。あんたが薦めてたワインバーに行くって」
「どうせそのあとセックス三昧だよ。勇樹に妹か弟ができる日も近いわね」
「あんたのそういうところ、マジで最低で下品だと思う」
「何とでも言いなさいよ! 私は美人だから何でも許される……はっ!」
勇樹の勉強用の椅子に座ってる冬馬と目が合った。ピーンッときた。
「そうよ、それよ!」
「何が」
「あんたに向いてる仕事よ!」
「何?」
「ヒモよ、ヒモ男! イケメンだし、すぐに貰い手が見つかるわ! 何で今まで気づかなかったのかしら」
冬馬は下はあれでも上は完璧。稀に見るイケメン。しかもまだ若いから育て甲斐もある。警戒心むき出しの野良ネコのようだけど、そこを含めての育成。これを世のお姉さまが放っておくわけがない。下はあれでも。
「絶対に嫌だ! 何で俺がババアに飼われないといけねーんだよ!」
「じゃあ逆に聞くけど、あんたその顔以外に持ってるモノがあるの?」
「……それは、その……」
「ないよね? 顔しかないよね? おちんちんも器量も小さいし、生意気だし、愛嬌もない。そのあんたが持ってる唯一の才能って顔だけだよね」
「……っ」
真っ赤になって涙目で、それでも負けじと睨んでくる冬馬はやはり良いヒモ男になれると思う。
こんなにも母性と被虐心をくすぐってくるんだもの。はぁ、美味しそう。……下はこれっぽっちも期待出来ないけど。
「で、でも、嫌だ! 俺は絶対に!」
「……冬馬」
立ち上がって冬馬の前にしゃがんだ。そして聖女の笑みを浮かべ、震える手をそっと握る。
「どんなに険しい道でも、一人立ちしたいんでしょう?」
「そうっ、だけど!」
「これしかないのよ、冬馬」
「これ……しか」
「大丈夫よ、お姉さまが手取り足取り教えて、あ、げ、る」
冬馬から「ゴクリ」と喉の鳴る大きな音が聞こえた。
あれれ? まさか本気にしてないよね? だってヒモ男だよ。どう考えても犯罪だし、常識から外れてるから冗談だって分かる……はず、なんだけど……。
「……って言ってたろ」
「へ!?」
「セックスしたいって……」
冬馬の手を握っていたのに、逆に冬馬から手を握られた。その手は小さく震えてる。
これ以上はアウトだと、頭の中で警報が鳴り響く。だからいつものようにおちゃらけた笑みに変えた。
「冗談よ、冗談。ヒモ男なんて。だからこの手を離してくれる?」
「でもセックスは本気だった」
「そうね、それは本気だけど、私だって誰でもいいわけじゃないの」
「俺は……っ」
「ストーーーーップ!」
突然入ってきたやつのおかげで冬馬の声が途切れた。そしてすぐに私の体が包まれた。この逞しい腕の持ち主に早くぶち犯されたーい。
「それ以上はいくら冬馬でも絶対に許さねえかんな!」
ずっと待ち望んでた勇樹の首に腕を回してぎゅうぎゅうに抱きついた。このままセックス出来たら一番なのに。ほんと早くぶち犯されたい。
「あーん、勇樹ってば久しぶり。また筋肉ついたんじゃない?」
「お姉さまこそ、しばらく見ないうちに肉付きが良くなったじゃん。ほら、腹の肉がぷにょぷにょ」
「あらあら、しばらく見ないうちに生意気さも増したのね。しつけのし直しが必要かしら」
「お姉さまこそ浮気癖が酷くなってるみてーだし、しつけのし直しが必要らしいなぁ」
「んんー、何のことかしら?」
「例え冗談でも、言って良い事と悪い事、言って良い人と悪い人が居るんだぜぇ」
「えー、そうなんだぁ! 私っておつむが弱いから知らなかったぁ」
「えー、やっぱりぃ! お姉さまのおつむの悪さは世界一だもんなぁ」
「勇樹ってば、そんなにお姉さまに怒られたいのぉ?」
「お姉さまってば、そんなに俺をマジ切れさせたいのぉ?」
「えへ、えへへ……」
「マジ切れする前に早く謝れ」
「ごめんなさい。本当に申し訳ありませんでした」
「分かればよろしい」
最後にぎゅうっと力強く抱きしめて、勇樹は離れた。もっと引っ付きたいけど……今は放置されてた冬馬をどうにかしないと。さすがに今のやり取りでバレたと思う。
勇樹はこれをどうするんだろう。それによって私も身の振り方を変えないと。
「内緒にしててごめん」
「何が」
「俺、咲希と付き合ってんだ」
「……そっか」
「ずっと言わなきゃって思ってたけど、年の差もあるし……、その……」
「だと思った。つーか、ベッドに忍び込む仲でお察しだっつーの」
冬馬は立ち上がると、掛けてあったコートを手に取り、ドアノブを掴んだ。
「気分転換に一時間散歩してくる。まっ、その間はお好きにどうぞ」
そう言って出て行った冬馬に、思わず拍手をしてしまった。意外にも気が利く子だった。
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